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僕のような自閉症者もいます

「じっくり取り組んで」と言われることがありますが、昔は、それがどうすることなのか、よくわかりませんでした。
「ゆっくり」と、どのように違うのか、いつもは「早くしなさい」と言われるのに、なぜ今日に限って「早く」ではなく「じっくり」なのか、その理由が、理解できなかったからです。

自閉症の人には、あいまいな言葉をつかわない方がいいと言う人がいます。
普通の人より、あいまいな言葉の意味がイメージ出来ない自閉症の人が多いのは、本当なのかもしれません。

けれど言葉というのは、繰り返しつかうことによって、理解できるようになるものだと思うのです。

わからない言葉を聞くと、混乱するかもしれません。
でも、それが理由で、理解できない言葉をつかわないのだとしたら、僕は疑問を感じてしまいます。

生まれた時から、すべての言葉を理解できる赤ちゃんはいません。
さまざまな言葉の刺激を受け続け、神経は発達していくのだと思います。

日々の暮らしの中で、僕は今でも、聞いたことがないような言葉や、つかい方のよくわからない単語を耳にすることがあります。
そんな言葉に出合った時、ひとつひとつの言葉の意味を、誰かに確認しているわけではありません。

「あれっ」と思い、辞書で漢字を調べることもありますが、大抵は聞き流しています。
その後、何度か同じ言葉や似たような言葉を聞く中で、その言葉のつかい方のニュアンスが、頭の中に残っていくのです。

僕の周りにいる人は、いつも好き勝手に喋っています。
正しい日本語で、僕に話しかけることなど、ほとんどありません。
それが、いいのか悪いのかはわかりませんが、普通に話しかけられることで、僕がストレスを感じることはないです。

話しかけても返事も出来ない、聞いているかどうかもわからない自閉症者もいると思います。
そんな自閉症者と、どんな風にコミュニケーションをとればいいのかわからなくて困っている人もいるかもしれません。

僕は、普通でいいのではないかと思うのですが、おそらく自然体で接することが一番難しいことなのでしょう。

自分の気持ちを表出するために、僕は、文字盤ポインティングという方法をつかっていますが、聞くことに関しては、特別な配慮は必要としていません。

僕のような自閉症者もいることを知ってもらえればと思っています。


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