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インテリア北匠工房 2017/1/30

「旭川家具」というブランドは100社を超える家具メーカーが東神楽町、旭川市、東川町に集まって形成され、今や日本が世界に誇るブランドとなりつつあります。

そんな旭川家具を支えるメーカーの一つが、今回ご紹介する「インテリア北匠工房」です。本日は豊口さんと吉村さんのお二人に工場を見学させて頂き、お話をお伺いしました。

(左)営業企画 吉村浩平さん(右)工場長 豊口雄介さん

広い工場内では沢山の機械が設置され、それぞれに担当の方がついて作業されているのですが、思ったより若い方が多いのに驚きました。

皆さん、真剣な眼差しの中にも自然体でリラックスした雰囲気が感じられ、「決して高給というわけではないですが、この仕事が好きだからと希望される方が多いんですよ」という豊口さんの言葉がすごく納得できます。

作業台を見ると、我々男性の場合はどうしても
学生時代の技術の時間を思い出しますよね!

各機械には粉じんを吸い込むバキューム機能が
あり、働く人に優しい環境になっていました。

ビットをトリマーやルーターに取り付ける事に
より、木材に対していろんな加工ができます。

それにしてもこの数!
用途や材質によって使い分けるそうですが、
職人さんの知恵と技があっての
細分化なのでしょうね。凄い!

これは裏側に丸ノコがあり、カットする寸法を
入力すると自動で計測して切断するよう
電子制御されています。

こちらは長いヤスリが回転し、必要な個所を
手で圧迫すると研磨される仕組みです。

塗装はエアーコンプレッサーで吹き付けます。
左の背面に見える大型の機械にて、
空気の換気が強制的に行われています。

作業している方々が日々の業務の中で気付いた改善点を毎月一人につき、
1点以上を提出し、月末に発表するという仕組みを作られているそうです。

現状に満足することなく、常にアップデートできる体制作りを!という事で、
自分達の職場は自分達で良くしていきたいという精神の元に
10年前から行っておられるようですね。

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(左)営業企画 吉村浩平さん(右)工場長 豊口雄介さん

―――お隣り町である東川町のヨシノリコーヒーさんとコラボされているケースをたまに目にしますが、どのようなご関係なのでしょう?

(豊口)実は僕の家のご近所さんなんですよ!引っ越して来られたのがたまたま近所だったという事で、家族ぐるみで仲良くなれる人ができた!と、すごく嬉しくて!元々は会社勤めしながら営業されていたようなのですが、本腰を入れて珈琲一本で営業されるようになり、当社でイベントをする際に声をかけさせてもらったのがキッカケで、ちょくちょくお手伝い頂いています。
珈琲が本当に美味しいんですよ!

―――先日FB上で「小学生感謝デー」と称してワカサギ釣りのイベントされていましたが?

(豊口)我が家は子供が5人いまして、そのうち3人は小学生なんですが、我が家のルールで小学生に上がらないとワカサギ釣りに参加できない、という決まりがありまして。普段怒る事が多いので「なるべく怒らずに過ごす」をモットーに楽しんできました。

―――最近で5人のお子さんというとかなり多い方ですね。私も男ばかり5人兄弟の次男なんですがね。

(豊口)子供5人連れて歩いていると大変そうに見えるんでしょうか、よく物を頂くことが多くて助かりますね(笑)。にぎやかで面白いですよ、我が家は!

―――吉村さんはお父様がこちらの代表取締役でいらっしゃるんですが、昔から家業を手伝いたいと?

(吉村)はい、学校を卒業後に岡山本社の家具屋さんで3年半ほど勤め、そこで人と接して販売する楽しみを知ることができました。元々は凄く人見知りする子供だったのですが、専門学校時代に居酒屋でバイトするようになってから人と接するのが好きになりました。

(豊口)中学生のころは暗くてね(笑)。私が入社した頃はまだ子供だったのですが、この子は大丈夫かなあと心配するぐらいに人と話さなかったんですよ。

(吉村)特に初対面の人は苦手でしたね。その居酒屋のバイトでいろんな人達からロクでもない話を聞く機会が多くありまして、その時の体験が自分にとっての大きな財産になりましたね!

―――製造されている家具類はOEMのものが多いとお聞きしていますが。

(吉村)今はそういう状況ですが、今後は個人用の販売を伸ばしたいですね。オンラインショップのMUKU工房さんや、旭川家具センターさんを窓口として更に個人販売の拡大に力を入れていきます。

―――「旭川家具」を作っておられる会社として、東神楽町内では他に匠工芸さんとの2社だけですか?

(豊口)他にもTUCさん等も頑張っていらっしゃいますよ。他に個人として、たとえばGOOD DOGWOODとして志比内にて業務されている菊地さんなどがいらっしゃいますよ。


アウトドアでも使用できる折り畳み椅子(北匠工房)


―――木工や家具などに興味を持たれたのは、どのようなきっかけですか?

(豊口)父の知り合いに木版画を教えてくれる人がいて、年賀状の季節になると毎年教えてもらっているうちに、自分は木に触れ合うのが好きなんだと気付きました。あと、机に向かって大人しく勉強する集中力があまり無かったので、デスクワークよりも身体や手先を動かす仕事が自分には向いている、そっちの方が面白い!と思うようになりました。

地元は苫小牧なのですが、旭川高等技術専門学院で木工の専門知識を学んだ後でこちらにお世話になり、ふと気が付けばもう19年です(笑)。たまたま習った先生が、社長の学生時代に習った同じ先生でして紹介してもらって入ることになりました。就職の面接用にとリクルートスーツも買って準備していたのに、先生から「今日に面接行くぞ!」と突然連れていかれたものですから、着替えもせずそのまま面接に行ったので、結局スーツは無駄になりました(笑)。

※現在の従業員のうち、5割以上が高等技術専門学校の卒業生とのこと。

(吉村)私の場合、流れでこの仕事を選んだ部分も少なからず有りますが、高校時代は音威子府にある家具作りが学べる学校(北海道おといねっぷ美術工芸高等学校)に行き、その後に豊口さんと同じ高等技術専門学院へと進んで、自分の道が見えてきましたね。

―――このお仕事をしていて「やってて良かった!」もしくは「ここがツライなあ・・・」という点があれば、お聞かせ願えますか?

(豊口)ショールームにお越し頂いたお客様が、僕たちの家具を気に入って買って頂いたと報告を受けた時がなによりも一番うれしいですね!お客様と触れ合えるキッカケが工場にいるとなかなか作れないので、Actyという若手木工集団をみんなで立ち上げまして、ワークショップ等で直接お客様とやり取りできる機会を作っています。イベント等でお客様が喜ぶ顔を見ることにより、それが製品に反映して技術力も上がって、木工産業全体が少しでもよくなればいいと思っています。モノ造りの根底でしょうね。

ツラいのは、自分達がきちんと責任をもって検品して出荷し、お客様に届いた後にクレームが発生する場合です。こちらとしては製品を万全の状態で提供しているのに、いろんな人の手を渡ってお客様に届いてからそのような連絡が入る時は、ツライというよりも悔しいですね。

(吉村)自分が意図した提案が上手くハマって結果につながった時は「やった!」という、とても嬉しい気持ちになります。展示の見せ方ひとつを取ってもいろんな方法があるので、そこが思った通りにハマると次に繋がります。

ヘコむ機会ですか・・・・、私の性格上あまり無いのですが(笑)、お客様の生活水準をもっと上げられるような取り組みがなかなか伝わらない時がとてももどかしいですね。本当に良いものは実際に生活のシーンで使って頂かないと良さが伝わりづらいので、単に価格だけみて「高いから買えない・・・」と思ってしまうのではなく、少し無理をしてでも購入して頂きたいと思いますね。そうすれば絶対に良さが理解してもらえるはずなんです。それが伝えきれない時は本当に悔しいですね。

この人はセンスがいいな!と思える人って、高い服装やブランド物のアクセサリーとかじゃなくて、自分の場合はお家を見させてもらって感じる事が多いんです。家の中にその人の表情が表れると思うので、外見の見た目だけではなくそのあたりを気にしてもらえる人が一人でも増えたらなあと感じます。


<広いショールームでゆっくりと自分にあった家具と向き合える>


―――北匠工房として、お二人が思う今後のビジョンをお聞かせください。

(吉村)道内シェアをもっと伸ばしたいですね!すでに大きく展開されている木工会社を今から当社が真似しても正直なかなか追い付けないと思うので、当社の規模にあった小回りの効いた取り組みで臨みたいと考えています。今年の6月で当社も30周年を迎えますが、これだけの長い期間を継続してこられたのはとても大変な事だったと思います。今後も継続してご愛顧いただく為の取り組み策を現在纏めている最中なので、皆様に今まで以上に可愛がって頂ける会社作りを一から作り上げるつもりで進めていきたいですね。

(豊口)現状で慣れてしまった作業を変えるのは決して簡単ではないと思いますが、今よりももっと良くするための努力や改善を常に皆で行っていきたいと思っています。過去や現状に満足していたらそこから先はないので、向上心を常に持ち、一人ひとりが常に考えながら作業するという貪欲な姿勢で今後も望みたいと思っています。

―――今後も期待しています。本日はお忙しい中、ありがとうございました!



「神は細部に宿る」という言葉があります。職人さんの繊細な作業によって描き出される艶やかな曲線や滑らかな木目の美しさを際立たせた家具類を眺めていると、まさにこの言葉が相応しいと感じます。

この東神楽町という町から、美しく使い勝手の優れた製品群を、これからも続々と世に送り出し続けて頂きたいと、強く思いました。

有限会社インテリア北匠工房
〒071-1511 北海道上川郡東神楽町北1条西4丁目1
Tel 0166-74-4890

(記事:小島茂)

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