農機具を選べる自由と「ゆとりの時間」

農機具業界について知ってもらいたいとか、SNSで皆さんから農機具の宅配レンタルECについてもっと意見をもらいたいとか、何か面白い話が転がってきたらラッキーとか、そんな邪なことを考えながらだいたい月一ペースで今までnoteを掲載していたのですが、今回はちょっとコンセプトを変えてみようかと思います。(あんまり変わってないかもしれません)

農機具をコミュニティツールとする世界観

IoT×AIによるIndustry 4.0とか第四次産業革命とかが叫ばれる現在において、コンピューターやインターネット技術を中心とする第三次産業革命について多くを語れる人材は農機具業界にあまり多くありません。

PC・スマホを使いこなせる人はもちろん多くいますが、メーカーや販売業者を含め平成30年間において農機具の世界においてはそのような革命が必要とされなかったからです。いや、本当は必要とされていたのですが、目を背けていたのかもしれません。

「馴染みの農家さんと毎日コーヒーを飲んで話をしながら、そこで培った信頼関係で新しい機械や資材を買ってもらったり、修理をお願いされたり、時には収穫を手伝ったり、古い機械の貰い手をマッチングしたり、就農者のお手伝いをしたり」。

そんなコミュニティの世界がずっと続くと信じていたのです。

弊社では2007年から農機具通販サイト「アグリズ」を運営していますが、当時は「農機具なんてネットで売れるの?」という声が大半だったようで、車のような高額品から生鮮食品までWeb経由で購入できるようになった現在、ご存知のようにその世界観は少しずつ変わってきました。

若い方は同じものなら量販店やECで安く買いたい、馴染みの農機具屋さんは高齢化で跡継ぎがおらず、または競争に負けて廃業、農協さんにも近くのメーカーさんでもエンジニアは常に不足状態。少しずつコミュニティの世界は崩れはじめました。

それでも地域の力は強く、少なくとも最低1県に1社は有力な農機具屋さんが地域の皆さんとの繋がりを残そうと頑張っていますが、地方では過疎化や高齢化による離農も進み、農機具について相談できる場所や人はどんどん少なくなっていきました。

コミュニティから生まれる「ゆとりの時間」

前述の通り、農機具屋は農業における「サロン」のような役割を果たしてきました。しかし、EC化や情報化が進み、欲しいものはネットで買え、農家同士のやり取りもSNSでできる、そんな時代に旧来の「サロン」としての役割は終わりを迎えようとしています。

僕の住む和歌山県は別荘地や分譲地も多いのですが、管理事務所の方とお話をしていると、他府県から土地を契約をされた方でこんなお客様がいたそうです。

「造成地の雑草を手入れしたいんだけど、鎌はどこで売ってますか?」
「えっ!?その広さを鎌で刈るんですか?草刈機とかのほうが良くないですか?」
「いや、1回の作業ですし、機械も使ったことないし、業者さんに頼むとお金かかるし、家族4人でがんばります。」

結果的にホームセンターで鎌を買い、真夏に1日がかりで家族4人でがんばって雑草を刈りきったそうなのですが、農機具レンタルを生業とする僕としては少し耳が痛い話です。

ですが、それはそれで一生の思い出になったかもしれませんし、もしかしたらその日に夕食を食べながら、もしくは10年後、20年後、「あの時は大変だったね」なんていう「ゆとりの時間」を過ごしているのかもしれません。

または、もしそのときに草刈機をうちで借りてくれていたら、気軽に相談できるサロンのような場所があれば、午前中には作業を終わらせて昼食を食べて近くの観光地を回っていたり、ゆっくり温泉に浸かったり、そんな「ゆとりの時間」を選択していたのかもしれませんね。

農機具から生まれる「ゆとりの時間」

少しだけ宣伝ですが、「もし農機具が使えたら・・・」最近はそんなコンセプトで農機具の宅配レンタルサービスを展開しています。

昔は地域のコミュニティやサロンのような場所、あるいは町内会の草刈りで近所のおじさんが使っているのを見て「あ、こんな便利な機械があるんだ」という情報を手に入れることができ、更に「僕の機械貸してあげるよ」とか「なんならついでに刈ってあげるよ」というおじさんもいました。

先程の「耳が痛い話」は、実は管理事務所の方に対して向けた言葉でもあって、「誰か紹介してあげたらいいのに」とか「なんなら何かのついでに刈ってあげたらいいのに」とかを考えたのですが、リスクやコストを考えてなかなか動けない、そんな世知辛さを感じていました。

情報過多になりすぎた現在において、周囲との信頼が薄れてきてしまったことは仕方ありませんし、昔のようなローカルな繋がりと全く同じものを求めても、近すぎる距離感で誰かと接することから悲劇が生まれる場合もあります。

そんな世界で、「家族4人でがんばったね」というゆとりの時間を選ぶだけでなく、「行ってみたかった温泉に午後から行けたね」「はじめて草刈機使ったけど意外と楽しかったね」「次はこのメーカーのものを使ってみようか」「今度は家庭菜園もやってみようか」という、様々なゆとりの時間を選べる自由があっても良い。

損得とかコストの話ではなくて、そんな価値を提供できるサービスにしていきたいと思っています。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

3

higashinaoto

農機具レンタルが「自由」を生むまでのプロセス

「農機具屋」店員の僕が、レンタル事業の担当として農業に「自由」を生み出すためのプロセスに辿り着くまでの過程
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。