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令和の農機具業界で自由とテクノロジーは共存できるのか

前回の投稿から元号も変わり、農機具の宅配レンタルに関する記事には各所から反響の声を頂きました。資本に依存しがちな農業の世界において、今後も様々な自由を提案できればと考えています。

実は僕も5~6年前にIT業界から農家を志したことがあり、お客さんの見えないデスクの前よりも、自然や人の中で仕事をし、昔ながらのライフスタイルで生きることに魅力を感じたのです。一時の流行に乗っかってました。

自宅に僅かばかりの農地がありましたので、友人の農家さんのところでバイトをしながら機械を借り、就農給付金を頂いて事業化をしようと試みました。
しかし当時23歳・高卒エンジニア・子持ちの僕に対して「いきなり人生の全てを投資するのはリスク高すぎじゃない?」という妻からの一声により、ふと目が覚めたような気分になり就職活動を開始、たまたま地元で事業拡大中の農機具屋さんに拾われ、店頭接客・バイヤー・CS・物流・ECサイト構築...etc 様々な経験をさせて頂き今に至るというのが僕のキャリアになります。

上記の友人には形は違えど今もお世話になっていますが、今思えば、元々ミーハーな僕に対しての「ナイス嫁ブロック」と言わざるを得ません。

「農家というカルチャー」への憧れから

今になって思うことは、僕は「農家というカルチャー」に魅力を感じていたんですね。自分で作ったものを自分で売り、時には自然と戦い、共存しながら生きていく、そんな生活に憧れを持ったのですが当時の浅く不器用な僕には「農家になる」以外の選択肢を見つけることができなかったのです。

様々なチャレンジを繰り返しつつも、今も自分なりの選択肢を見つけることは叶っていません。実際に今の仕事をしながら趣味として実家の畑を耕し、野菜を作ってみたこともありましたが、仕事と家庭を抱えながら車で実家に通い、畑を耕し続けることは当時の僕にとって「ハードすぎる遊び」でした。

なので作業時間を短縮するために、仕事で得た農機具の知識やマルチング等、農業資材の知識を活用して色々と考えてみるのですが、余ったら市場へ持っていく程度の趣味園芸ではそこまで投資もできないので、現実としては祖父母が残した古い機械を騙し騙し使うのが関の山でした。

「テクノロジー」を活用できない農家は消えゆくのか

農業を続けるためには土地だけでなく、お金 × 人手が必要で、資本があれば上記のような問題はある程度解決可能です。
収穫を自動化するロボットを導入するとか、除草や防除作業を効率化するとか、特にここ数年は様々な選択肢が増えてきました。

特に「スマート農業」に属する商品・サービスの数々を使えば従来よりも低コストかつ高効率に作業をすることが可能になりましたし、そういった機械を使わずとも様々な工夫で高収益を実現している農家の方も多くいらっしゃいます。

また、農業を取り巻くビジネスも盛んになっていたりもするので何かと収益性や生産効率が重視されがちですが、いわゆる地元の農機具屋として活動をしていると、「年金貰って畑耕してるから、跡継ぎもおらんしそこまで儲かってなくてもええねん」という声を聞くこともあります。

「良くないでしょ」とツッコミを入れるまでが一連の流れなのですが、本当に良くないのかな?と考えさせられることもあります。

収益を伸ばしたい農家の方はこれから劇的に生産効率と収益性を上げていくのだろうと思う反面、後者の方はテクノロジーは積極的に取り入れないでしょうし、そもそも仕事ができなくなった後、地元の農地はどうなるのかというのも大きな問題のひとつです。

実際にそういった離農者の方から機械を買い取ることも増えてきましたしね。

「カルチャー」としての農業に取り組む自由

テクノロジーを取り入れたビジネスとしての農業と、旧来からのカルチャーとしての農業、幸いにも前者の農業には日本全国だけでなく世界中から人材も資金も集まり始め、令和の時代に大きな躍進を遂げることが予想されます。

また同時に、僕が求めた後者の農業には大きな解決策はまだありませんが、それぞれの地域で、それぞれの有志が農地に関する問題や農業に付随するビジネスに取り組んでいます。

その中で僕は「年金貰って畑耕してるから、跡継ぎもおらんしそこまで儲かってなくてもええねん」という言葉に抗うようにレンタルの農機具を全国に届け、「年金」ではなく若い人が自分の収入の範囲、自分の休日の範囲で取り組めるような農業を実現できればと考えます。

GW10連休という過去にない休日からはじまった令和時代、おそらく農家ではない方に向けて、連休中に耕うん機や草刈機など様々な機械を全国へお届けするスタートを切ることができました。

新時代のテーマとなるであろう「副業・働き方改革・多様性」、そんな若者の価値観のひとつとして、僕が未だ成し遂げられていない「農業というカルチャー」が広がっていけばいいなと思います。

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