「未来のミライ」の感想と、トイアンナ氏の未来のミライ評はここがおかしい(ネタバレします)

まあ、「未来のミライ」を見てきたんですけど、世間の評判どおり、おもしろいかっていわれたら「サマーウォーズ」の方がおもしろいよね。

んで、その原因は「物語の構造が対立の激化を伴ってないから」だと思うんですけど、んー、説明すると、物語というのは「対立が解決する一連のお話」です。んで、おもしろい物語の場合、対立は時間とともに激化します。「未来のミライ」ってはなしはまとめると、『主人公、4歳のくんちゃんが、生まれたばかりの妹への嫉妬を克服するはなし』です。んで、はなしの中に、幻想的な、時間軸を異にしたいくつかの挿話が入る、という構造です。

んで、冒頭30分みたとき、「このはなし何を何と対立なの?」がわかるように提示されてないんですよね。見終えて嫉妬の克服の話ってわかる。

いくつかある挿話はその中に小さな対立を含むんですけど、それがそれぞれ独立していて関係してない。時間がたっても対立が激化しないんですね、『中盤で盛り上がらない』のよ。それが「つまんない」と感じる人の理由でしょうね。

あと、細田って人脚本、っていうかセリフうまくないよね。2つあって

・言いたいこと、わかんないことを全部セリフで説明(致命的)

・『え?そこでそんな単語ではなしかける?』ってセリフ多い

まあそんなカンジですかね。

んで、タイトルに入れたトイアンナって人の「未来のミライ評」なんですけど、

つまんないことを「設定の失敗」にしてるんだけど、そんなことないから。

以下、何箇所か抜粋して引用

したがって、『未来のミライ』に出てくる子ども2人の家庭は、すでに上流家庭であることを示唆させる。そして、自分と階級が異なる家庭のドラマを見ても親近感がわかないのは当然だろう。

今の30代未満は一人っ子が多い。そもそも兄弟同士での嫉妬心すらフィクションじみているのだ。そして2人以上の子どもを持つことが「ぜいたく」である以上、同様の傾向はこれ以降の世代にも続くだろう。

細田監督は、自分の子どもたちをテーマに映画をつくったと語っているが、それが上流階級のぜいたくとなっている点には無自覚だ。

細田監督が「普通の中流家庭」として提示している風景は、どれも一部のアッパー層だけが楽しめる暮らしであり、共感しづらいのである。

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2018/08/post_24265_2.html
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いや、違うから。設定の失敗じゃなくて、劇構造の失敗だから。

階級が違うから共感できない、兄弟がいないから共感できないって、じゃあ今を生きてる人は大阪の上流家庭の四姉妹を描いた「細雪」に共感できないか?イタリア貴族の恋愛を描いた「ロミオとジュリエット」に共感できないか?んなことないでしょ。

はい、んなんで、他でもたまにある「私は○○がわからない/○○を経験していないのでおもしろくありませんでした(わかりませんでした)」って感想は大体間違いです。つまらなさは劇構造に起因します。

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