板垣恵介『餓狼伝』をBLマンガだと思って読みはじめたら乙女ゲーだった 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その19(餓狼伝その1)

 「お前、いいかげん『範馬刃牙』の感想を………あっ……『餓狼伝』……!?」 という、皆の喜ぶ(?)顔が見たくて……あとマガジン化の宣伝がしたくて、今回、超速で(予告の1日遅れで)更新しました。あまりの速さにG(重力)が生じて、肋骨が折れそうです。「金田淳子マガジン」のほう、詳細ページにも書いてあるとおり、「マガジンに加入しても、金銭的には得しない」という狂った仕様になっています。「自分の得にはならないが、金田に200円ほど多く払ってやろう」という狂った人だけ、加入をお願いします。

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 さて今回から数回にわたり、「刃牙」シリーズ(※注1)をちょっとお休みして、『餓狼伝』(※注2)の感想記事を書かせてもらう。テキストとして秋田書店・少年チャンピオンコミックス版を使用し、今回は主に1~8巻について熱論(かた)る。

 秋田書店版を買ってから気づいたが、初出表記が一切ないので、史料性が低い。かといって他の版も買い、逐一検証するほどの動機がいまのところないので、これで許してもらいたい。『餓狼伝』の画像を引用するときにつける出版年が、雑誌初出年とかなりズレるので、その点のみ注意してほしい。

 『餓狼伝』については、この「乙女の聖典」の連載を昨年9月に始めた時点で、すでに数人のグラップラーの方々から、『餓狼伝』も読んでほしい(期待)とか、『餓狼伝』は読まないのか(問い詰め)などの、ありがたい言葉をTwitterで頂戴していた。私も「時が来れば読みます」と、運命の三女神の次女・ラキシス(※注3)みたいな決然とした表情を見せていたが、遂にその時が来たのである。私の記憶違いかもしれないが、グラップラーの方が、『バキ』の後に『餓狼伝』を読むといいですよ、と教えてくれていた気がするのだ。

 なお、小説版は完全に未読で、ネタバレを防ぐため、Wikipediaで概要を見るという小技も封印している。このようにして、内容について前情報ほぼ一切無しでマンガ『餓狼伝』を読みはじめたため、今回、命の危険が生じた。

 『餓狼伝』1巻冒頭の、「サバ缶、牛乳、生卵の爆食い」シーンはとても良かった。エロい。こいつは期待できるぜ……と股間をふくらませて読み進めていくわけだが、意外や、3巻ぐらいではっきり「つらい」と感じはじめた。
 「刃牙」の最大トーナメントのザコキャラばりに、キャラの顔と名前が覚えられず、そのせいで内容が頭に入ってこないのだ。

 これについては正直な話、私の記憶力ではなく、マンガの描き方が悪いと思う。「小説をすでに読んでおり、主要キャラと関係性を把握している人」向けに描きすぎなのでは?と疑ってしまう部分が多々ある。なにしろ主人公(丹波文七)の氏名すら、第3話でやっと出てくるのだ。4巻ぐらいまでこういう場面が多すぎて、「こいつの名前いつワカるの?」「誰?」「何?」というフワッフワした感じで話が進んでいく。こんなマンガを読まされていては命がいくつあっても足りない。
 歯を食いしばって読んでいた私だが、「読者からは丹波文七っぽく見える人が、実は文七ではなかった(藤巻だった)」というくだりで、藤巻が輪郭まで変えていたので、普通に「この野郎」と思った。ここで私のHPゲージが真っ赤になったため、死の気配を感じてマンガを閉じ、数日間、読むのをやめていた。

 このときギブアップしても誰も責めなかったと思うが、誰に強制されたわけでもなく、再び1巻から『餓狼伝』と向きあうにあたり、私はついに「ノートにキャラの名前・所属などをメモる」という技を解禁した。ちなみに「刃牙」ではいまのところその必要がないため、ノートは作っていない。

 この「文字で記録する」という、人類屈指の凄技(ウルテク)の導入により、私もようやくマンガ『餓狼伝』の内容がつかめてきた。しかしこれ以降も、私の記憶違いではなく、マンガ内で提示される情報が少なすぎて、ごく基本的な関係性についてミスリードが生じ、後で「そうだったのか」と気づくという事件が起きている。後で気づくことにより「なるほど!」とスッキリするのならいいが、私の場合、「わかりやすく描けよ」「説明下手かよ」という怒りしかなかった。

 具体的に一番「この野郎」と思った描写は、3巻に登場する「冴子」についてだ。3~4巻の情報では、「冴子」という名前、「(私は)姫川の女よ」という発言、藤巻が冴子に一方的に恋慕していること、かつて冴子を強姦した男を藤巻が殺したこと、藤巻は泉宗一郎の弟子、ということだ。これだけの情報で、冴子が「泉宗一郎の縁者(娘?)」であると確信できる人間がいるだろうか。冴子が泉姓だとわかるのは10巻p135だが、あまりにもさりげなく出てくるので、冴子と泉宗一郎との関係について、私はいまだに断言できない(もしかしたら、偶然、泉姓であるだけで、完全に他人という可能性すらあある)。また、姫川と冴子がチュッチュしている場面も13巻までなかったため、私は冴子による「姫川の女よ」という発言についても、「姫川の恋人」という意味ではなく「姫川一族の女」という意味だと思っていた(姫川と冴子の顔がとてつもなく似ているから)。
 私の「文脈読み取り力」「察し力」が低いのも事実だが、冴子が泉姓(泉宗一郎の娘?)だという重要情報が、なぜ登場時やその前後にはっきり描かれなかったのか。私がマリオ(配管工)だったらこの事件だけで確実に20騎は死んでいる。

 とはいえ、「刃牙」を読んでいる時は、「説明下手かよ」という現象が起こったことはない(後付け設定やキャラのブレはあるが、「説明下手」とは違う)。だから板垣先生の資質によるものではなく、「小説のコミカライズ」であるために起きている現象だと思う。小説をすでに読んでいるファンからすると、説明が多すぎると口下手に感じるだろうし、コミカライズのあんばいというのは難しいなと思う。なお5巻以降は、ひととおりキャラクターが登場し終わっているためか、根本的な説明下手を感じる部分はない。板垣先生ありがとう。刃牙さんありがとう(刃牙さんへの定期的な感謝)。

 さて『餓狼伝』初期の説明下手ぶりへの恨み節はこの辺にしておいて、内容面はどうなのか。「刃牙」シリーズのように、男と男のエロいシーンが量産されているのか。

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金田淳子

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