乙女の聖典バキ編サムネその14_LI

セッションしないと出られない箱に男3人が閉じこめられた色欲の夜に…… 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その14

 前回、ハチャメチャなBLが押しよせてきて、愚地克巳とドイルがおセックス様を営んでいた。なぜ秋田書店は『カツミSAGA』を出版しないのか。それともすでに801万部ほどが闇ルートで出回っているのか。法外な値段で取引され、非合法組織の資金源になっているのか。
 なぜか一般に流通していない『カツミSAGA』の手掛かりを得るためにも、今回は『バキ』通常版17~18巻を解読(よみ)とく。

 さっそく、強い男の芳香(かお)りを嗅ぎつけて、夜の公衆トイレに急行した我々は、シコルスキーとジャック・ハンマーお兄ちゃんが二人で見つめあっている現場を目撃した。そういえば、この二人には「尿」という共通点がある(※注1)。二人のお邪魔だったかしら……と事情(情事)を察し、遠くから凝視していると、もっと狭い場所で密着したいのか、シコルスキーが電話ボックスに移動。さすが俺たちのシコルスキー。

(心なしか、無関係の人も入っているような気がする)

 一般人が戦いを目撃して解説したり、巻きこまれてメインキャラばりにいい味を出したりする……という表現手法は、「刃牙」シリーズでは片平恒夫(※注2)で完成したと思うが、この電話ボックスのお兄ちゃん(ショウちゃん)も、片平に次ぐ良い仕事をしている。客観的に見てあまりにも可哀相なのだが、「渦中の二人と一緒に、狭い箱に閉じこめられる(居ないものとして無視されつつ)」というのは、同人女性がしばしば語る「壁のシミになって二人を見守りたい」の具現化なので、不謹慎ながら、不憫さよりも羨ましさが先立つ。お兄ちゃんファン、シコルスキーファンの夢女子(夢男子)も、親族全員を質に入れてでもショウちゃんと代わりたいのではないか。
 とはいえ、私がもし、愚地克巳と同じ電話ボックスに入れられたら、感極まって2秒で爆発四散するだろう。こうして「私がもし克巳と同じ電話ボックスに入れられたら……」などと、やや心身の健康が気遣われる妄想をしてしまうのも、公式が電話ボックスに男を詰め込んできたせいなので許してほしい。

(完全に事後)

 そうこうしているうちに激しいセッ……ションが終了し、シコルスキーが電話ボックス(とショウちゃん)ごと梱包されて、運ばれた先はおなじみの地下闘技場でした。出会ってしまった超雄同士、交わる場所は問題ではなかろうッッ(※注3)、ということで、シコルスキーとジャックお兄ちゃんの第二ラウンド。「もう勝負ついてるから」みたいな局面で、第三ラウンドはまさかのガイア再登場。

 ガイアはかつて13歳の刃牙さんに負けているので、その時点で「オーガと並び称され、恐れられている」という軍人業界での評判に疑問を持った読者も多いと思う。私も「極端な童顔の人」「二重人格」「初手で刃牙さんの人肉を食べようとした」というイメージしかなく、「環境利用闘法」のことを完全に忘れていた。「刃牙」に出てくる技についてあまり細かい追及をしたくないが、この能力も完全にスタンド使いだ。
 とはいえ今回のガイアは、スタンド能力で直接的にねじ伏せるのではなく、10秒ごとに攻撃するといういやらしい拷問で恐怖を煽って、シコルスキーから敗北宣言を引き出す。これがいかにも歴戦の軍人らしいK.U.F.U.(工夫)(※注4)に感じられたので、初めてガイアに対して「なかなかやるな」と思った。

 シコルスキーは、名前の語感とか、「全員喰っちまうってのもいいな……」(※注5)とか、放尿プレイに対する私個人の感謝もあって、第一印象ではかなり強そうに見えていた。しかし彼が確実にノックアウトできた相手は、猪狩完至(とその一味)だけだ。リミットブレイク状態の刃牙さん、ビスケット・オリバ初陣、改造後ジャック・ハンマー、ガイアという、対戦のめぐりあわせも不運だったと思うが、実際、強いのか強くないのかよくわからない。指の力は強いみたいだし、ロッククライミングか、遊戯王カード(※注6)で戦えば、そこそこ世界獲れるんじゃないかと思う。

 これでいよいよ、敗北を知らない最凶死刑囚は、柳龍光だけになった。果たして柳に敗北を与えるのは誰なのか。初読時の私は、120%、渋川剛気先生だと思っていたし、なんなら全財産と全内臓を賭けていたと思う。なぜならこの二人は明らかに、過去にめちゃくちゃセックスしている関係(永きに渡る因縁)(※注7)だからだ。眼球(光)を与え/奪うのはフィクション業界ではクソデカ感情の慣用表現でもある。このマンガ、眼球なくしてる人多いなとは思うが、金玉をなくしてる人もけっこういる。
 話がそれたが、渋川先生が柳に恋文(果たし状)を出し、トレンチコートに下駄というエロ渋い服装で現れた時点で、私のテンションは「キターーーー(゜∀゜)ーーーーーーー!!」と、00年代の人みたいになり、「㌧クス」と記念カキコしそうになった。

 しかし「夜の公園」といえば、この男を忘れてはいけない。

 ★お知らせッッ★
 このシリーズを加筆修正し、『「グラップラー刃牙」はBLではないかと1日30時間300日考え続けた乙女の記録ッッ』として、河出書房新社から2019年11月に書籍が発売されました! 電子書籍もあるよ! もちろん秋田書店さんの許可をバッチリと取っております!!
書籍に収録されている範囲は、その1〜その16まで(『グラップラー刃牙』『バキ』までの感想全部)です! ぜひ一家に一冊、いや百冊!! 

 さらにこの奇書を原案として、松本穂香さん主演の実写ドラマ『「グラップラー刃牙」はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』が制作されました!!(WOWOWさんが制作幹事) 2020年8月20日〜10月1日まで、全7回放映! 現在、いろんなサブスクで配信中ッッ! お一人で、またご家族で、そしてご友人とぜひお楽しみください!!

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