Inked乙女の聖典サムネその8

わくわく範馬(ハンマー)フェスティバル 乙女の聖典~女子こそ読みたい「刃牙」シリーズ~その8

 皆さん、平成最後のグラップル、楽しんでますか。ここぞという試合や試験や会議の前に、おじや(※注1)、飲んでますか。おじや、バナナ、炭酸抜きコーラは消化が良く、梅干しも添えると栄養バランスがいい。そういった初心を忘れず、『グラップラー刃牙』33巻~42巻の最大トーナメント後半戦、いよいよ刃牙さんvs烈海王(れつ・かいおう)と、決勝について語ります。(ジャック・ハンマーvs渋川剛気は、「その7」で先に取り上げています。)
 
 さっそくだが、準決勝を前に、範馬勇次郎(はんま・ゆうじろう)が、烈さんにちょっかいをかけにいく場面がある。
 これはあれじゃないですか。勇次郎a.k.a.オーガのお得意のアレ、「いい芳香(かお)りだ…」「そそられたぞ」「あんたとヤリたかった」……通称「オーガズム」が飛びだす流れじゃないですか。がぜん興奮してきた私ですが、なぜか今回、ノーオーガズム。いや……そそられろよ。烈さん、どう考えても鎬紅葉(しのぎ・くれは)より強いだろ。けっこう闘う気になってる烈さんにも失礼だろうが……。刃牙さんに遠慮してるのだろうが、あまりにも勇次郎らしくない。

 勇次郎がなぜ烈さんの前に現れたかというと、刃牙さんが何やら奇怪なウォームアップを「烈海王本人と」しているぞ、という情報提供をするためだったようだ。烈さんをはじめ皆がいぶかしむ中、定刻にやや遅れて、血まみれの姿で闘技場に登場する刃牙さん。

(刃牙が血だらけだ~~~~~ッッ)

 「現れた瞬間、すでに血まみれ」これは意外性のある良いシーンのはずだ。しかし申し訳ないが、私の心が汚れているせいで、どうしても『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん』(※注2)のワンシーンに見えてしまうのだ。

(烈ちゃん! ミッチ! それにみんなーーーー!!)(うすた京介、1997、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!マサルさん』7巻、集英社、P172。)

 そういえば、戦いの中で皆がどんどん脱衣して薄着(半裸)になっていくのはセクシーコマンドーの一種だし、「親が子どもにおしっこをさせるポーズ」もあったし、危険な薬を飲んでマッチョになる人も出てきた。まさか「刃牙」こそが、セクシーコマンドーの「本編」だった……!?

 などと考えているうちに、シルクロードの解説が始まる。古代ローマの闘技場が歴史を閉じた真の理由、それは、東方からはるばる古代中国人たちが武者修行に来るようになり、圧倒的強さで毎回優勝するようになってしまったからである……あっ……こういうの見たことある……アレだ……民明書房(※注3)だーーー!? 知っているのか雷電……いや、烈さん!?
 
 「俺は「刃牙」を読んでいた思ったら、いつのまにか『週刊少年ジャンプ』を読んでいた」な……何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった……。
 (気を取りなおして)人間は、初めて好きになったマンガ雑誌を、親だと思ってついていってしまうという。だから私が勝手に80~90年代の『ジャンプ』っぽいと思っただけで、実際のところは、別に『ジャンプ』っぽいわけではないのだと思う。きっと、格闘マンガではよく起こりがちなことなのだ。

 そうこうしているうちに、烈さんがついに「靴を脱ぐ」という、ドキッとする行動に出た。中国拳法家にとって、靴を脱ぐことはボクシンググローブを脱ぐことと同じであるらしい。たぶん、ピッコロさん(※注4)とかが、戦いに際して肩のおもりをドサッと落としたりするあれだ。また『ジャンプ』になぞらえてしまったが、私にとって一番理解しやすい方法なので、許して欲しい。

(足の稜線のグラデーションがエロい。)

 しかしこの生足攻撃すらも、刃牙さんは事前に読んでいた。刃牙さんがこの試合に血まみれで登場したのは、セクシーコマンドーではなく、なんか宗教体験的な新技「リアルシャドー」の結果だったのだ。皆さんにとっては何らかの興奮どころなのかもしれないが、個人的には、リアルシャドー実演を見ていてなぜか急速に恥ずかしくなり、「家でやれ」と思った。
 理屈はよくわからんけど、ここでやっと「ハンデなし」のフェアな戦いがはじまる。烈さん優勢かと思われたところで、刃牙さんが「巨凶(きょきょう) 範馬の血」を覚醒させ、烈さんの首を「ビキ ミキ ゴキ」と折り曲げる。オイオイオイ、烈さん死ぬわ、という流れだが、中国4000年のアレがアレして、命は大丈夫でした。それで思い出したけど、烈さんに転蓮華をかけられて普通に生きているセルゲイも、ロシア1000年の凄みがあった。

 いよいよ決勝……だがその前に、やったーーーッッ!!!! 出、出~~~~~~~ッッ!!!


★お知らせッッ★
 このシリーズを加筆修正し、『「グラップラー刃牙」はBLではないかと1日30時間300日考え続けた乙女の記録ッッ』として、河出書房新社から2019年11月に書籍が発売されました! 電子書籍もあるよ! もちろん秋田書店さんの許可をバッチリと取っております!!
書籍に収録されている範囲は、その1〜その16まで(『グラップラー刃牙』『バキ』までの感想全部)です! ぜひ一家に一冊、いや百冊!! 

 さらにこの奇書を原案として、松本穂香さん主演の実写ドラマ『「グラップラー刃牙」はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』が制作されました!!(WOWOWさんが制作幹事) 2020年8月20日〜10月1日まで、全7回放映! 現在、いろんなサブスクで配信中ッッ! お一人で、またご家族で、そしてご友人とぜひお楽しみください!!

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