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THE YEAR IN MUSIC 2022

2022年。羊文学の”our hope“、ジョン・フルシアンテのいるレッチリをこんなに自分は好きだったのかということ、「ストレンジャー・シングス」とMetallica、来日公演再開、そして「30年弱生きてきて今気づいてきたが、この世で一番良い音楽スラッシュメタルかもしれん」という読み人知らずのツイートに自分の中で何かが吹っ切れたことなどで記憶しておきたい1年です。中2の誕生日に初めてCDプレイヤーなるものを買ってもらってからちょうど35年という年でもありました。

PLAYLIST 2022
1 “光るとき” 羊文学
2 “Eddie” Red Hot Chili Peppers
3 “Welcome To Hell” black midi
4 “Anywhere” Chat Pile
5 “Jump!! (Or Get Jumped!!!)” Soul Glo
6 “That Was Then, This is Now” Jack White
7 “N95” Kendrick Lamar
8 “Talk“ Beabadoobee
9 “Long Way” Eddie Vedder
10 “こわれそう” サニーデイ・サービス
11 “僕のジレンマ” 櫻坂46
12 “Attention” NewJeans
13 “D.R.I.L.D.O” WARGASM
14 “Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd” Lana Del Rey
15 “Cold Gin” Kiss
16 “Hold My Hand” Lady Gaga
17 “Angel With Severed Wings” Dream Widow
18 “Master of Puppets” Metallica


セレクション2022

BEST ALBUM
1 羊文学 『our hope』
2 Red Hot Chili Peppers 『Unlimited Love』 &『Return of the Dream Canteen』
3 black midi 『Hellfire』
4 Chat Pile 『God's Country』
5 Soul Glo 『Diaspora Problems』
6 Jack White 『Fear Of The Dawn』&『Entering Heaven Alive』
7 Kendrick Lamar 『Mr. Morale & The Big Steppers』
8 Beabadoobee 『Beatopia』
9 Eddie Vedder 『Earthling』
10 サニーデイ・サービス 『DOKI DOKI』

BEST SONG
"光るとき" 羊文学

BEST ARTIST
羊文学
Red Hot Chili Peppers
櫻坂46

BEST NEW COMER
NewJeans
Chat Pile
Wargasm

BEST LIVE PERFORMANCE
KISS @東京ドーム 12/4
Lady Gaga @ベルーナドーム 9/3
サニーデイ・サービス @恵比寿LIQUIDROOM 10/28
羊文学 @Zepp DiverCity 6/28
Mastodon @幕張メッッセ / DOWNLOAD JAPAN 2022 8/14


下記はその時々でインスタ @high_george aka #タケノート にしたためていた文章の抜粋です。読み返してみて、それらのアルバムや楽曲について新たに書くよりこっちの方が圧倒的に面白そうなので、今年はこちらにしてみることにしました。その時々の興奮を感じてもらえれば嬉しいです✌️ 

“光るとき” 羊文学  from “our hope”

“3ピース・バンドというミニマムだけど個人的に最もロマンチックだと思うフォーマット、シューゲイズっぽかったり70年代後半の(ハードコアじゃない方の)パンクっぽくなったりするギター、繊細だけど細いだけではない歌、コーラス、ジャケットに映る車や高速道路越しに見える風景等々、もうどの要素を取っても、今ここにあるもの(全てがすぐなくなってしまうのが前提だけど)を見事に描いていて。そんな中、”OOPARTS”では”沢山の円盤に囲まれて/最高の瞬間を記録した/僕のエンパイア/100年弱の夢”なんて歌われるんだもんなあ”

“Eddie” Red Hot Chili Peppers  from “Return of the Dream Canteen”

“2022年は、自分はこんなにもジョン・フルシアンテがいるRHCPが好きだったのかと痛感した年として記憶されることになりそう - ”Unlimited Love”の時にそんなことを思ったんだけど、そんな思いをさらに強くしてくれるアルバムの登場かな、と。このアルバムにも17曲(日本盤は18曲)収録されているのでその36曲をもってジョンがいるRHCPの現在地に身を委ねる、そんなアルバムなんだろうなと思う。多分1曲1曲に関してこれは良いこれは良くないとかそういう基準ではなくて、4人がカリフォルニアのリハーサル・ルームに集まって音を出しながら満遍ではない笑みをどことなく浮かべている姿に思いを馳せていたい”

“Welcome To Hell” black midi  from “Hellfire”

“今、サウス・ロンドンのバンドという括りでいろんなバンドが出てきているけど、このグループのフリーキーさと音圧(この音圧って結構重要なポイントだと思ってる)とそこはかとない歌ものなバランスはその一連のバンド群の中では随一だと思うし、個人的にも一番好み。ヘヴィ・ロックもプログレもジャズも飲み込んだミクスチャーのカオスと相変わらず人を喰ったようでもあり、程よい歌とラップでもなく早口でまくし立てるアジテーションを聴かせるヴォーカル(やはりマイク・パットンやジェロ・ビアフラを思い出す!)が、前2作を経てひとつの形として成立したような、そんな印象を受ける”

“Anywhere” Chat Pile  from “God's Country”

“単に低音の効いたギターとベースが硬いリフを繰り出すだけではなくて、そこにグランジの要素やアッパーな小気味良さがしっかりあって("Anywhere"という5曲目を聴いてもらいたい!)、そんな楽器隊の上に、歌うというよりは扇動するとか人を食ったような叫びと評するのがぴったりなヴォーカルが乗る。ちょうどリリースから30年を迎えたAlice In Chainsの"Dirt"もグランジもインダストリアルっぽい感じもベースにしたという意味で音は全然違うけど、実は去年と今年にリリースされたblack midiのアルバムに気づくと奇跡的に同じベクトルを持っていた、そんな印象がある”

“Jump!! (Or Get Jumped!!!)” Soul Glo  from “Diaspora Problems”

“アフロパンクをよりハードコアにヒップホップ的に解釈していけばこういう音になるという感じなのかなあ。Turnstileの去年のアルバムはその引き算によってかっこよさが引き立っていったと思うんだけど、こっちはその逆でBad BrainsやオールドスクールなヒップホップからFishboneからほんの数ミリ程度リンクしそうなものを全て積み重ねて、それを倍速にして吐き捨てるみたいな、そういう強烈さ。でも単にガシガシしてる訳でもなく、アジテーションの中にもちゃんと感情が渦巻いている感じもある。聴いてると頭がクラクラしてくるし、 “Diaspora”なんて言葉をタイトルに使っているだけあって、歌詞も強烈に政治的”

“That Was Then, This is Now” Jack White  from “Fear Of The Dawn”

“1曲目がシームレスにギターで2曲目に繋がっていく展開は古の時代からロックンロールが持っていた高揚感をビシッと提示していて、単に気を衒ったというものではなく、伝統と先達へのリスペクトの元にどこか違うところへ行こうとする姿、それがとてもいい。そして、それこそが真のリスペクトということなんだろうな。リスペクトする人と同じことをするのはリスペクトとは言わないよね”

“N95” Kendrick Lamar  from “Mr. Morale & The Big Steppers”

“どうやらそんな”全世界待望の”とか”この世代の声”とか”我々の救世主”とか、このアルバムについて使われそうな大仰な自分の手に負えなくなってしまったような枕詞がいくらでも浮かぶけど、そういういちいち全部を否定するのがこのアルバム、ということなのか。最後の曲で”Sorry I didn’t save the world, my friend / I was too busy buildin’ mine again”というリリックも出てくる。でも考えてみれば、この人って基本的にはそういう人だったか、なんてことを思う。家族、過去のトラウマ、ジェンダー、セレブリティ、キャンセル・カルチャー、セラピーといったことがあくまで自らのフィルターから語られているらしいので、これは早くどなたかの解説を待ちたいと思う”

“Talk“ Beabadoobee  from “Beatopia”

“実はこの日一番ライヴを観たかったのはこの人。初めて観る、こういう機会ってとても貴重だ。しかも、今年出た2ndアルバム”Beatopia”が、1stのような"90sでこれに抗える人いる?手放しで最高!"という感じよりは、パーソナルで内省的な方向に振った作品で、ライヴで観てみないとちょっとなんとも言えないなというのが正直なところだったので、超大きな期待とどうなるんだろうというほんの少しの心配の入り混じった中でライヴはスタート。

しかし、その2ndをどう表現するかに関してはびっくりだったかも!こんなに繊細にも表現できるのか、この人は。アルバムを聴いた時にまさに”See You Soon”とかどうやって歌うの?って思っていたので、あの曲をあのトーンのままちゃんと表現できていたという点でもう大勝利だったのではないかと思う。しかも、インスタで見る彼女のチャーミングさと毒気のバランスの良さがステージでもしっかり際立っていて、しかもギターを持った立ち姿の佇まいが良いんだよねえ。あんなの見せられたら、そりゃ好きになるよね!これで2ndももっと楽しめそう。これからがまた楽しみなアーティストに出会えて嬉しい”

“Long Way” Eddie Vedder  from “Earthling”

“ロックという長きにわたって存続してきたジャンルだからこそ、その中で”あまりに使い古された表現だからという理由でつい封印しがちな要素”ってあると思うんだけど、そういうなんとなく自分たち(もしくは先達たち)で決めた枠みたいなものを一旦全部取っ払って、それどころかそんな要素を全部盛り込んで、昔自分たちが聴いていた音楽ってこういうところに興奮があったよねと思い起こさせくれる感じがある。この曲をこんな風にプレイした時のこの感じ抗えないよなー!なんてバンドでわいわいやってるようなそんな感じが聴こえてくるような、本人やアンドリューのインスタで最近始まったツアーの様子も納得なアルバムに仕上がっていて、正直エディのソロでこんなに興奮するとは思ってなかった”

“こわれそう” サニーデイ・サービス  from “DOKI DOKI”

“10年後位にCD棚見て2022年にはこのアルバムもあったよねと思い出しそうな気がしたのでCDでも買った。もしくは20代の頃にタワレコの10連試聴機の4枚目位に入っているのを何気なく聴いてみたら、初めて聴いだけどこのバンドいいじゃん!なんて即購入するとかそんなイメージかな。

全曲、ロックンロールをこんな風にやったら無意識のうちに身体は動き出すんだろうなという曲たちをそのマナーに沿ったバンド・アレンジで創り上げているのが心地よくて、そしてそれが先達や同世代のバンド群に愛とリスペクトを捧げている。新しいドラマーが加入して前作で生まれ変わった印象があったけど、本当にそうなんだなと納得するアルバムでもあると思う”

“僕のジレンマ” 櫻坂46  from “As You Know?”

 “このグループの2年目ってメンバーの卒業が続いたこともあり、"別れの年"という印象だったんだけど、でも逆にそれって実在してる何かがあるからこそ別れが存在するということでもあって。そんなことがちゃんと感じられるイベントだったというのが良かった。こんなイベントができるようになったというのも嬉しい話。

そんな中、ライヴで披露された"僕のジレンマ"。超人気メンバーの卒業を記念して製作されたこの曲がこのタイミングで"卒業する人の歌"からグループ全員参加曲として"歌い継いでいく"ことになったというのは、2年目の象徴として残ることでもあって、それは歓迎すべきことだと思う”

“Attention” NewJeans  from “NewJeans”

こうやって振り返ってみて、実はこのグループについてポストしてなかったことに気づいた苦笑。でもこのグループ、今年出てきた新人の中では一番の衝撃だったかも。どこから紐づけていったのか、90年代あたりを彷彿とさせるサウンド、ビジュアル、アートワーク…その徹底ぶりに頭が下がる。しかも振付がどの国のどのグループとも違う感じが新鮮で最高!なにげにK-POPのグループで初めて全員の名前を覚えたグループかも✌️

“D.R.I.L.D.O” WARGASM  from “EXPLICIT: The MiXXXtape”

“エレクトロパンクかつヘヴィロック(敢えてニューメタルと呼びますか)、キャッチーなメロディと煽りまくるシャウトが予測不可能な興奮を生み出していて、今なだけでもないし、過去なだけでもない、その時代の連なりの中でヘヴィな音楽が進歩してきたということを2022年に証明してくれたような作品”

“Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd” Lana Del Rey  from “Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd”

“ラナ・デル・レイ新曲
これ、めちゃ名曲じゃないですか?テイラーのアルバムでフィーチャーされた曲もこの人以外の何ものでもなかったし、やっぱりこの人は凄い。
このトンネル、ロングビーチにある1967年に閉鎖されたトンネルのことなんだってね。歌詞もかなり良いな。アルバムは3月、楽しみです”
(facebookより)

“Cold Gin” Kiss  from “Kiss”

“山ほどのお約束と山ほどのツッコミどころ、絶対にハズさないセトリと耳にこびりついて離れない超大味な楽曲群、そしてド派手なステージセットに人を食ったかのようなメイク&コスチューム…全てがデカくて全てが仰々しくて…これら全てを2時間強のライヴに凝縮されたら…そりゃもうライヴ終わっても思い出してはついつい笑っちゃうよね。でも、本当に(本当に?笑)これで終わりになっちゃうのだとしたら、このエンターテイメントとロックンロールの全てを引き受け続けてきた彼らの十字架のようなものをその後に背負って立つのは誰になるの?と考えさせられたKISS日本最終公演!

いや、もう笑っちゃう位に最高だった!”

“Hold My Hand” Lady Gaga  from “Top Gun Maverick”

“「この向こう側には自分が見たこともないようなものがあるはず」という想いって誰もが抱くものだと思うし、そしてそういう想いこそが人を突き動かすと個人的に思うんだけど、そんな時のその”向こう側にあるもの”の理想ってまさにこういうものなんだろうなと感動したライヴだった。レディー・ガガ、8年ぶりの来日公演!もう最高でした!以外に言葉ないレベルで最高でした!”

“Angel With Severed Wings” Dream Widow  from “Dream Widow”

“Foo FightersによるC級ホラー&コメディ映画笑、"スタジオ666"に登場する、アルバム完成前にヴォーカルがメンバーを皆殺しにしてしまったためにレコーディング・スタジオに取り憑いたバンド=Dream Widowによる失われたアルバム、というていでデイヴ・グロールが映画のプロデューサーと制作した本気なメタル・アルバム。しかしどこまで本気なのか分からないけど、内容は結構よい笑“

“Master of Puppets” Metallica  from “Master of Puppets”

“カリフォルニアのピザ屋のバン、ソ連の錆だらけのバン、そしてホーキンスのキャンピングカー…そんなボロボロの3台がひたすら走る、前へ前へと。成長も葛藤も混沌と同時多発的に起こり、そんな中で登場人物それぞれの過去と現在が見事に描かれて、登場人物同士も、その登場人物自身の中でも、いろんなことが繋がっていって…ストーリーとしては過去イチだったのではないかと思う。「アベンジャーズ / エンドゲーム」ばりに余韻をひっぱりまくり、5まであるというのは情報として出ていたので、そこにしっかりと期待を持たせる形で繋ぎつつも4は4でしっかりと余韻を残して終わるという理想的な形だったのではないかと!これは、強いなあ。

1の頃から使われる音楽がとにかく素晴らしかったんだけど、1986年が舞台の今回、VOL.1のトレーラーから気になっていた新キャラ、エディがギターを弾いているところで使われているのがMetallicaの1986年発表の”Master Of Puppets”で、実際にMetallicaのメンバーの息子が弾いているとか、最近ヨーロッパをまわっているMetallicaがそのキャリアで初めてアンコール最後にこの曲をプレイしているなんて話を聞いてテンション上がらない訳がないよね”

2023年も幸福な音楽との出会いが一つでも多くありますように!✌️

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