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窓際従業員、世にはばかる

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ある若い窓際従業員が、窓から外の世界をのぞいてみた。 窓の外は、広かった。
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記事一覧

上から目線のエリートは安倍自民党を支持するか?-都内・参議院選挙の比例代表の得票率から見える風景

上から目線のエリートは安倍自民党を支持するか?-都内・参議院選挙の比例代表の得票率から見える風景

 よく、野党はなぜ勝てないのか、的な記事がありまして、そこでの答えはたいてい上から目線で大衆の期待に応えないからだ、ということになっている訳です。逆に、TikTokで受ける安倍晋三とかが反例として出されてくる、と。本当にそうなんですかね、と私は訝しく思います。

 アメリカではエリートへの反感からドナルド・トランプの支持が高まった、ヨーロッパでは既存左派への不満から極右に支持が集まっているという話

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旧民主党と若いエリートの共犯関係:誰が政治を壊したか

※この記事は、2020年の2月にほとんど書いたうえで放置していたものであり、COVID-19の感染拡大に伴う社会変化には言及できていないことをご了承ください。

立憲民主党の議員のTweetが大炎上2/6-7という短い期間に、立憲民主党を代表する議員のtweetが大炎上。以下が、発端のtweetです。

よりによって、おんなじ様なテーマで炎上するものです。

若いエリートと「企業活動的自己」  蓮

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菅直人の原爆死没者慰霊式のあいさつがおもしろい

 安倍晋三首相の広島と長崎の平和記念式典でのあいさつが、批判を向けられています。私は、広島と長崎で内容に差異がないこと自身は問題視しない立場ではあります。ただ内容は淡白なものであったと思います。原稿を書いたのは官僚たちだと思うので、今の政府のやる気のなさを表していると思います。

広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式あいさつ
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/

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反「市民」の運動論-こたつぬこ(木下ちがや)の『「社会を変えよう」といわれたら』を読む

  twitterでは、こたつぬこというアカウント名で知られ、3.11以後の国会前における社会運動シーンにおいて奮闘した、新進気鋭の社会学者で民医連の事務員でもある木下ちがや氏の『「社会を変えよう」といわれたら』を遅ればせながら読みました。

 最初、読んだときは、社会運動本にありがちな人々の語りに基づいた濃厚かつ克明な記述は乏しく、肩透かしを食らったような気がしました。一般的に社会運動の本はどう

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『ドイツにおける原子力施設反対運動の展開』より気になった点

 たいへん、面白い本を読みました。

 この本の面白いところは、活動家ありがちの「素晴らしい市民意識の高いドイツ人」という描き方をしていないところです。いかにヨーロッパが進んでいて日本が遅れているかというのは、「自虐史観」だな、と思います。

ビュルガーイニシアティブについて
 日本の社会運動の議論では、「住民運動」と「市民運動」は違う意味合いを持って語られてきました。前者が地域に閉じたもの、後者

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21世紀の翼賛選挙か!-政治参加業界における特定候補対談番組への登壇事件-

 現職の都知事である小池百合子氏が次回の都知事選挙への出馬を表明した会見の翌日である6/13、主権者教育等に従事する政治参加業界に激震が走った。告示日の直前(五日前)であるこの日に、政治参加業界の団体が、特定の予定候補、小池百合子氏のみと対談を行う番組を作成し、Youtube上で放映した。この業界の各団体は政治的中立性を謳い、選挙においては公正性を重んじてきた。そしてすでに複数の候補者が立候補の意

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歴史になるということ

 歴史という営みは、どの時代まで扱うのだろうか。明治維新以前までだろうか、アジア太平洋戦争の終結までだろうか、冷戦の終結までだろうか、もしくは昨日までだろうか。

 歴史上の人物との関係はどうだろう。徳川慶喜は教科書の中の人物であって、現在を生きる個々人が様々な感情を伴って評価する対象ではないだろう。それでは、小泉純一郎の場合であったら。構造改革の是非、ポピュリズムか否か人々が思い思い語るかもしれ

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よく知らないけど京都市長選挙とか

よく知らないけど京都市長選挙とか

 京都市長選挙のせいで小金井市長選挙が言及されることにイライラするので、よく知らないけれど京都市長選挙についてまとめた。今回の流れで、小金井の市民は多かれ少なかれ傷ついたんだ、どの立場でも。ほっといてほしい。

共産党系候補、過去30年で最低だった前回の得票数を上回り復調か 第三の候補がいると接戦になるが得票数は減る、一騎打ちだと得票数は伸びるが、非共産票が全て保守系候補に乗るので差が広がるという

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自民党が伸びるほど「野党共闘」は成功する?-参議院全有権者比得票率に見るパラドックス

自民党が伸びるほど「野党共闘」は成功する?-参議院全有権者比得票率に見るパラドックス

 そうだこのグラフを見てほしい。

 東北の赤みが比較的強く一見、野党の得票率か何かのように見える。しかし、このグラフは、自民党(参議院・比例)の、全有権者を母数とした得票率の伸びを表している。

 参議院・選挙区の1人区で野党が勝った県は東日本に偏っていることを考えると、与党自民党が強いほど「野党共闘」が成功する、というパラドックスが生まれる。

野党第1党の旧民主党系はこの10年の得票の変化は

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政治の終わりを生きて-忘却の淵から立ち上がる

 「政治の終わり」と言われると、保守政治家が権力を私物化したり反動的な政策を施行したりすることだと思う人もいるだろう。また、ある人はアニメ銀河英雄伝説から「政治家が賄賂を取っても、それを批判できない状態」と言うかもしれない。

 この世にはそれなりに経済力のある人で、まじめで比較的社会的な事項に関心があり、勇敢な人がいる。お金持ち全員が自分のことだけを考えている訳じゃない、利他的な人もいる。そのよ

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「コンプライアンス」社会と「脱政治化」

社会調査での明確な権威主義傾向こんな社会調査の結果は枚挙にいとまがない。

 NHKが2014年に1593人を対象に実施した社会調査、ISSP国際比較調査(市民意識)によれば、良い市民であるために重要なこととは何かという設問で「法律や規則を守ること」という項目を重要だと答えた回答が一番多く(83%)、10年前の調査に比べ、4%上昇した。世代別に見るならば、10代後半から20代の回答の増加が大きく6

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性別投票率からみる自治体選挙

性別投票率からみる自治体選挙

 もうすぐ、市長選挙のある小金井市ですが、性別の投票率を見てみましょう。市長選挙ではなく、候補者が誰かによる市議選挙のデータを使います。

 1997年が欠けているのは、市立図書館でデータが見つけられなかったからです。

近隣自治体も見てみましょう。(武蔵野市・三鷹市・国分寺市は投票率データをネット公開している数少ない自治体です)

 まず、言えることは、男女間の投票率差がかつては明確にあり、この

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「小金井モデル」という困難(4)

  この記事を書こうとしたきっかけは二つであり、一つは立憲民主党の東京のパートナー達は小金井の選挙戦に注目し「小金井モデル」と呼び研究しようとしているらしいということである。もう一つは、同じく立憲民主党の東京のパートナー達から聞いた話だがどうも彼ら彼女らがSNSを過信しているようだということである。これまで書いてきたように小金井モデルはSNSだけで成り立つ話ではなく、また、そのことが、この連載のタ

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何が起こったのか-「小金井モデル」という困難(3)

 この連載の冒頭にも書いた通り、山岸氏と塩村氏の得票率の差は2%である。小金井での取り組みがなければ、隣接する三鷹市や武蔵野市と同じく五分五分であったと推測されるため、市民の取り組みで1%ほどの有権者を動かしたこととなる。では、どのような取り組みがされたのか。

 今回、小金井では山岸一生を高く評価し応援したいと考えた市民達が呼びかけ人となり「チームいっせい@小金井」が結成された。山岸一生を熱烈に

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