立憲民主党がボトムアップって本当なのか(3)-左派政党との比較-党員の権利と義務-

前回は、国民民主党および旧民主党・旧民進党のやり方と、立憲民主党を比較した。そこには、極力、党員としての資格を有権者に与えず意思決定から遠ざけよう代表選挙にもこだわらないという立憲民主党の強い意志を再発見した。党幹部による迅速な決定、支持者からの拍手喝采、カール・シュミットの主権者とは「例外状況にかんして決定をくだす」者という決定主義のフレーズさえ想起してしまいそうである。まあ、カール・シュミットは政党そのものに否定的であったけれども。

今回は前回に引き続き、他の党と立憲民主党を比較する。今回。比較の対象とするのは、社会民主党と日本共産党という長い歴史を背景にした伝統的な左派政党だ。

党員の権利と義務

社会民主党と日本共産党、両党に共通するのは規約に党員の権利と義務が明記されていることである。具体的というよりは、理念的な記載に近い。「〇〇できる」という動詞ではなく、明確に「権利」という名詞を使っていることに目を留めよう。

社会民主党の場合、ウェブサイトによると党員は会議の出席ができるようである。党大会は代議員が出席するので、党大会の場合、代議員になる権利、地方の会議の場合は出席する権利を意味するのだろう。立憲民主党の場合は意見交換会のようなイベントに出席できても運営会議に出席することは実質できない。

社会民主党 党員募集

社会民主党の場合、「党員」と「協力党員」があるが、党員の場合、党首選挙に立候補でき、国政選挙の候補者にも立候補できる。自治体議員であった石川大我氏が党首選挙に臨んだことは記憶に新しいだろう。協力党員は立候補こそできないが、党内の選挙で投票することができる。他方、日本共産党の場合、準党員資格は存在しない。

旧民主党系のパートナーやサポーターと異なり、社会民主党の場合、協力党員であっても二重党籍は禁じられている。

政治参加権利である。結社もまた権利である。政党は人間一人一人の権利を遂行するために組織された。立憲民主党をはじめとした旧民主党系の政党は、何のために存在しているのか。

集権と分権

日本共産党でよく知られているのが、民主集中制である。中央委員会が、対外的に党を代表全党を指導する。最高機関である党大会の議案を準備するのも中央委員会である。

共産党の党組織については規約に以下のように書かれている。

「党組織には、上級の党機関の決定を実行する責任がある。その決定が実情にあわないと認めた場合には、上級の機関にたいして、決定の変更をもとめることができる。上級の機関がさらにその決定の実行をもとめたときには、意見を保留して、その実行にあたる。」

いわずもがな共産党の内部の役職は立候補と投票によって決められる。それは他の政党と大きく変わらない。大きく違うのは上意下達の意思決定が明確であることだ。

意外なことに現代的な企業指示命令系統民主集中制は合致する。全国的なことは本社の経営陣(中央委員会)が決める。支社や子会社(都道府県組織など)はその職責たる地域のことについては決めることができるが、全社(党)の方針に従わなければならない。

地方のことであっても全党に響いてくることになれば、中央委員会はトップダウンで動かなければならない。熊本市議会ののど飴事件・小金井市議会の辺野古基地の議決の問題。まさに企業のコンプライアンス対応のようではないか。

上意下達の関係は、組織間だけではない。党員に対しても以下のように規約は記されている。

「全党の行動の統一をはかるために、国際的・全国的な性質の問題については、個々の党組織と党員は、党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない。」

日本共産党は、党員に対して「調査」ができることになっている。世間では「査問」と呼ばれている。有田芳生氏は、共産党に批判的な書籍の出版に協力したということで取り調べを受け、除籍された。

日本共産党規約

社会民主党の前身である旧日本社会党民主集中制を取っていた。現在の社会民主党では、地方組織の連合体という形を取り民主集中制を取っていない。国政選挙の候補者についても、地方の組織が候補者を選び、全国連合という中央組織の常任幹事会に申請し、全国連合の常任幹事会が決定する。

社会民主党 党則

政党結社とはどうあるべきなのか。地方分権型政党である社会民主党は低迷を続けている。国会の議席もいつか失うかもわからない。

先にも述べたが民主集中制は異様な形態ではない。企業社会で私達が慣れ親しんだ論理である。組織内での意思決定は階層的である。所属する組織と反する見解は外に述べない。私達はそれを当たり前にして働いているのではなかったか。資本主義社会は高度化すればするほど官僚主義を帯びる。その時代精神の中で生まれた党の支持者が、党の決定を振りかざした議論をするのは当然のことだ。

けれども、左派政党には建前として党員の権利があった。建前かも知れないか、日本共産党でさえ党員が党に意見する権利が規約内に盛り込まれていた。立憲民主党をはじめとする旧民主党系では、何を根拠に党員は党組織に意見すればいいのか。加えて言うのならば、党員が組織に意見する根拠は、立憲民主党の規約に示されないが、立憲民主党もまた党員を「調査」できるのだから。

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