経産省 若手ペーパー 先輩方の胸を借りて一言二言

経産省の若手が作成したというパワポエムじゃなかったペーパーについて色々指摘がありますが、元経産省職員の望月優大氏の指摘が簡潔でわかりやすいかな、と思います。

経産省「次官・若手ペーパー」に対する元同僚からの応答

鈴木謙介氏によるブログ記事に対して「胸をお借りする気持ち」で望月氏がまとめたのが以下の記事。

鈴木謙介氏の整理に沿ってーー経産省「次官・若手ペーパー」論(3)

鈴木氏の整理、望月氏のコメントは概ね同感。あれだね。製造業がオワコンだからこれまで通りの社会を保証できないけれどどうするっていう時に、いくつか選択肢があるよね、というしばしされる話。

ただ、僕は諸先輩方の胸を借りて一言・二言言いたいことがあるんだよね。

1.製造業中心の社会は終わったのか?

製造業中心の世界の終わりっていう話は、ダニエル・ベルの『脱工業化の時代』という本から来てるんだと思う(思うっていうのは私が未読だから)。統計のカテゴリー上「工業」のジャンルに入る職業(つまり第2次産業だ)の人の割合が下がることがそのまま脱工業化を意味しないのではないか、というのが、私の一つ目の言いたいこと。

どういうことかというと、例えば、工場の自動化が進んで組み立てラインの人が減って、その一方で通販が盛んになって物流倉庫で働く人が増えたとして、統計上のカテゴリーは第2次産業から第3次産業に人は移動するかもしれないが、ものづくりに関わる人の人数は変わらない。製造された商品・サービスを運んでいるんだから。サービス業だと言われている職にいっぱい製造業に関するものがあるので、結構この議論は乱暴だと思う。

確かに新しい世代の企業の活躍は目覚しいものがある。けれど、あのアメリカであっても旧来の産業セクターの大企業によって雇用が担われていることを考えると、産業構造の変化は言い過ぎなのではなかろうか。

2.AとB-1は果たして違うものか

B-1の「財政拡張によるセーフティーネットの拡充を目指す」という選択肢は、ブレアの「第三の道」以前の労働党をはじめとした左派政党の方針と大きく違わないのではないか、というのが、私の二つ目の言いたいこと。それを保守党のサッチャーが「英国病」と批判した訳で。

スペインのポデモス、スコットランドにおけるスコットランド国民党や、フランス(大統領選挙)のメランション氏の躍進というのは、ブレアの「第三の道」に代表されるような新自由主義的な政策の取り込みを行なった既存左派政党への批判の表れだと言われている。今の左翼は産業の国有化を唱えないかもしれない。しかしながら、反緊縮・再分配強化というのは1990年代以前のあるべき姿に戻るという意識が強いのではなかろうか。

3.日本的文脈

先輩方に特に言いたいわけではないが、日本においては、「低負担、低福祉」「自助努力」の日本型社会保障という方針できたという前提がこの議論に不可欠だと思う。他国では緊縮だと思われるような政策でさえこの国では、社会福祉の拡充になるという特殊な状況の理解が必要ではないか。


こうやって書いてみると、あまり本質的なことじゃないかもしれない。

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