「対話」を阻むもの

集団的自衛権をめぐる議論について、国際NGOのスタッフである鈴木洋一氏が、THE PAGEの取材に答えている。

「国際NGO職員が国会前デモに参加して感じた「違和感」とは」(THE PAGE 2015.10.10 15:00)

問題は、安保法案反対派が対話を求めていないところです。安倍政権が対話しない姿勢だからといって、自分も対話しない姿勢で良いのでしょうか。そのような姿勢で、公明党穏健派や自民党内にいる穏健派を、どのように切り崩すつもりなのだろうかと疑問に思った

この鈴木氏の感想は最もな話で、素直に問題を解決しようとするならば、相手との交渉が必要なことは当然なことだ。では、なぜ、彼らは、素直な方法をとらなかったのだろうか。日本の政治文化の伝統的な戦術がそこにはある。

日本では、総理大臣が衆議院の解散権を持ち、任期満了を待たない衆議院の解散が非常に多い。その結果、各法案の審議の議論・交渉よりも、選挙で多数派になりフリーハンドを得ることが戦術的に合理的であるように考えられてきた経緯がある。実際、自民党以外が政権を握ったことは数えるほどしかなく、1/3の議席で自民党に都合の良い憲法改正を防ぐことが最優先に考えられてきた。

今回の安保法制で考えるならば、戦術的に以下の三つの点が挙げられるだろう。

与党による法案可決を前提に置く
不戦敗にならないように最大限抗議する
自らの意見をPRし反対世論を掻き立て与党の支持率を落とし、次期の選挙に備える

鈴木氏がどこまでご存知かわからないが、このような戦術が取られるのは、国政テーマに限ってのことである。地方においては、首長は議会の解散権を持たず、そもそも1990年代以降、首長選挙での政権交代も現実的ではないので、直接首長に働きかけ交渉する動きが活発である。

愛知県小牧市の図書館問題でも、住民投票に至る前に反対派と行政の懇談が設けられている。
住民投票と同時に行われた市議会議員選挙で選ばれた議員のうち、賛成派・反対派ともに半数を超えていないという状態であり、市民の反応を見ている中間派の議員達への働きかけも重要になってくるだろう。

「当選した議員の「現在の新図書館建設計画」に対する賛否態度」(小牧無答塾 2015/10/9)

諸外国でもこれほどまでに解散権が使われる国はなく、国内でも解散権のない地方議会と比較すれば明らかである。解散権の乱用が対話を阻んでおり、これを制限していく方向に進んでいかなければならない。

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