立憲民主党がボトムアップって本当なのか(1) -パートナーズは立憲民主党の決定に参加できるか-

立憲民主党の方針である消費税の税率(8%)据え置きに対し、税率の引き下げを主張する参議院選挙の予定候補が現れた。宮城県選挙区の石垣のりこ氏と全国比例区のおしどりマコ氏である。

両氏の発言については、twitter上で支持者が賛否の激論を交わした。おしどり氏がボトムアップの政治を唱えたのに対し、ボトムアップの意味をはき違えているや公認取り消しはできないのかという声が相次いだ。

異なる意見を交わしているように見えて、両者には共通の前提がある。立憲民主党とは「ボトムアップ」の政党だという認識だ。ボトムアップの政党というのは、一般的な意味では大衆政党のことを指し、直接的であれ間接的であれ、構成員・支持者の議論のもとで方向性を決める政党である。大衆政党の正統性とは、まさに集う人間の数と民主的な決定プロセスに立脚される。

例えば、イギリスの労働党では規約改正については党員投票で決定する。各選挙区の候補は、選挙区ごとの組織の党員達が決定する。

パートナーズは立憲民主党の決定に参加できるか

立憲民主党の最高議決機関は何かと聞かれて答えられる人はいるだろうか?実は「党大会」である。

党の規約によるならば、「綱領及び規約の改定、年間活動計画、予算及び決算、その他本規約に定める事項、ならびに常任幹事会が特に必要であるとして決した事項」を審議して決定する場であり、立憲民主党内の議会と言える存在だ。

それならば、その議会に出席する議員は誰なのか。それは代議員だ。規約によるならば、代議員は「党所属国会議員、総支部長、および常任幹事会が定める基準によって都道府県連合などから選出され」る。加えて「立憲パートナーズ及び代議員とならない党員については、常任幹事会の定めるところにより党大会に参与できる」。代議員は「党員」から選ばれ、「パートナーズ」は代議員になることができない。パートナーズには議決権がない。党大会に出席できたとしても、議案を提出したり、投票したりということはできない。代議員とパートナーズの間には大きな差が設けられている。

立憲民主党規約

それでは、パートナーズは党員になることで、代議員の一人として党大会に出席する機会を得ることはありうるだろうか。少なくとも東京都内では難しそうである。立憲民主党の東京都連合の規約によれば、「本都連及び総支部長の指名」によって入党する。ウェブサイトを見ても党員募集の情報はない。他の党でも必ずしも自由に入ることができるわけではなく党員の推薦人を必要とする党もある。それよりも難しい印象を受ける。

立憲民主党 東京都連合規約

立憲民主党では、国会議員・候補者以外が、党の意思決定に携わる権利を得ることは難しく、「ボトムアップ」というよりは党幹部・議員による「トップダウン」の政党と言うことができる。

支持者が党を動かそうとするならば、党幹部の支持者の気持ちに寄り添う善意に働きかけるほかない。公式なアプローチは何もないのである。

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