シン・仮面ライダー感想

やっぱりネタバレたっぷり

「シン」シリーズ4作目である「シン・仮面ライダー」見ました。
実は仮面ライダーシリーズは「V3」と「クウガ」「アギト」を所々見た程度で、初代に至っては大まかな設定とあらすじ程度しか知らなかったくらいだった。
(仮面ライダーやショッカーの存在とか「やめろショッカー」とかライダーベルトやらその辺)
そんなため、過去作オマージュとかリスペクト部分の良さについては正直わからない勢から見た感想と思ってもらえれば。

・怒涛の序盤設定の情報量

東映の権利表示が終わったかと思ったら、怒涛のカー&バイクチェイスシーン。
何だなんだと思ってるうちに崖落ち!大爆発!囚われ!ライダー参上!という、なんともいわゆる特撮テンプレというべき状況へ。
行けショッカー!ライダーをやってしまえとおもうが、なんかちょっとまって。
このショッカーやたら現代銃器な装備してるね……って思った矢先の打撃とスプラッタびっくりな流血表現。
なるほどPG-12というのも頷けた一方、なんだかんだ「シン」シリーズではこういった露骨なスプラッタ表現はなかったのでちょっと驚いた。

その後体感5分で詰め込まれる仮面ライダー設定。プラーナがどうのこうのと、初代のあらすじだけでも知って置かなかったらここでオーバーフローする勢いだった。
なるほどこりゃシン・ウルトラマンとは濃度が違うぞと。

・もはやレギュラーなあの人

自分は正直俳優とか役者の名前は覚えてないのがほとんどなんだけれども、もはやこの人は覚えてしまった「政府の男」こと竹野内豊さん。シン・ゴジラからのシン・ウルトラマンで相当話題に上がった出演なのにまた出てくるとは。これでシンシリーズ3作も出ている。実はシンエヴァにもこっそり出ているんじゃなかろうか?
しかもその相方は神永さん――もとい斎藤工、これもどこぞのCMで連呼されるせいで覚えた。
ところでシン・ウルトラマンの監督の話にしても、当の竹野内さんにしても、この配役は一種のパラレルワールドをうっすら意識しているとかなんとか。
そうならば輪廻転生的な縁のつながりでこの人は政界に関わり続けているんだなと。

・火を吹く銃器群

前回のシン・ウルトラマンの感想でも言ったが、銃器が登場する割になかなか発砲率が少ないシンシリーズ。このシリーズに限って言えば、おそらくシンエヴァのリツコとサクラのパアン!くらいじゃないだろうか。
今回仮面ライダーは等身大の敵味方が登場する関係か、まあよく撃ちますことで、コウモリオーグのアジトをグロック一丁で制圧してくのはちょっとばかりシュールだった。
日本という関係上どうしてもそのほかはMP5くらいで、それでも最序盤のショッカーの警察変装部隊が持ってたのと後半の量産ライダーが持ってたのとは若干差が合ったのが嬉しい
あとサソリオーグを追撃した部隊は416だったか?ちょっとはっきりと見えなかった。モブには厳しいシーンであった。
ただこの見せ場なのに協力キャストに東京マルイの名前が見えなかったのが意外。シン・ウルトラマンには出てたのに。

・仮面「ライダー」であること

バイク自体も正直あまり知らないのだけれども、CGをよく使った変形機構は大変心くすぐられるものでありました。あれで飛行形態になって空飛んだのは笑ったが。
ブイブイ走らせるもので、特に終盤のトンネル内の疾走はあんなに狭く暗い場所なのにスピード感はよく出ていた。あの斜めバンクはすごいって感じがした。
バイクアクションは疾走感があるの好き。あと爆破。

あとは等身大のアクション。仮面ライダーはヒーロー物ゆえ殴り合いと爆発、ライダーキックと言うのは知っているものの、今回は先の通り意外にもモブには厳しいスプラッタ。容赦ない血飛沫が飛び跳ねる。
意外だったのは空中戦があること。バッタらしく超ジャンプで硬化しながらというものだったが「なんかドラゴンボール始まったぜ」ってちょっと思ってしまった。

面白かったのはハチオーグとの超スピード戦。特撮というよりはアニメ調な表現でコマ送りと飛ばしの見せ方がスピード感出していて好きになった。

・真の安らぎはこの世になく

今作で、悪役であるSHOCKERは単純な武力による世界征服を目的としているわけではない。
最終的には世界征服に違いないが、その目的は人類の幸福の希求、それが複数の方向で進められているような形。
その方法が「全てのプラーナを別世界に一つにまとめる」という、どこぞの補完計画を連想させるものであった。
共通して、それは他者の存在の否定に始まり、他者が存在するからこそ人は傷付き、傷つけ合うという。だがそれでも人を信じてみる、というのが往々にして人で有り続けることを選んだ人々の意思にもつながっていて、今作でもこれが最後のカギともなった。
人を信じる。本郷とルリ子がそうなって、1号と2号がそうなったように、今作の軸となっている部分でもあった。
あとはこの章題の漫画版も読まないと…。

・まとめ:カロリー爆弾

ここまで見て、なるほどこりゃ好み分かれると思った。
シン・ウルトラマンのときも似たことを書いたが、アレはまだ優しかったこっちはもう仮面ライダーか特撮を理解している人にボールを投げつけている。
逆に自分のようにあまり知らない人には、序盤をキャッチと庵野テイストを飲み込むことができればそれなりに楽しめる作品なのかもしれない。

感想の投稿で「シン・ゴジラは水割りのカルピス、シン・ウルトラマンはちょっと濃い目のカルピス、シン・仮面ライダーはカルピス原液をもっと濃くしたもの」みたいな総評があったものの、なるほどという感じ。

ただ、とにかく進むペースが早い。特に序盤にも謙虚な怒涛に飛び込んでくる設定と演出と、もしかしたらライダーファンにとっては過去作品のオマージュの群れが押し寄せてくるので、考察しながら見るよりは頭を空にして詰め込んで後から考えるほうが楽しめるのかもしれない。後半になるといい感じに間が出てきて落ち着くのだけど、序盤は本当に進みが早くて心情変化を察するのがやや手間取る。
ただその辺を飲み込めば、飲み込む勢にとっては、いい感じに面白い作品でした。

・余談

どうでもいいんですけどね、先の通り仮面ライダーあまり知らないもので…
下のポスターのライダー二人、本郷はもちろんもう一人をルリ子と思っちゃってたりしたんですね私……
なんせこれの前が二人で写ってたから……

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