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20代で得た知見/F

「努力は報われない。信じていた言葉には裏切られる。永遠だと思いたかったものはどうやら永遠ではなかった。いや、ほんとうは大切ななにかがいつか消える予感も香っていた。それを肺一杯吸い込んで、承知しようとしていた。どうでもいいものこそどうでもよくないもので、いとおしいのだと、本当は内心気付いていながら。」(p.3)
「二十代は最悪の時代で、寂しさの時代で、引き裂かれる時代ではなかったか。」(p.3)
「一人の人間の人生は、ある夜友人が電話で語ってくれた台詞、または恋人がふとした瞬間吐き捨てた台詞、バーで隣の男が語ってくれた一夜限りの話、なんの救いもない都会の景色、あるいは、特別ではない夜道で雨のように己の全身を貫いた、言葉にもならない気づき。そういったものによって人生は決定されたように思うのです。」(p.4)
「「二十代の人生は、忘れがたい断片にいくつ出会い、心を動かされたかで決まる」私はその断片を「二十代で得た知見」と名づけることにしました。」(p.4)
「新宿より、ささやかな愛を。」(p.5)
「本能派も理性派もだからこそ「目に見えないものを言じなければならない」。その直感と賭けもまた肝要なのです。それこそが、人間の本質だからです。」(p.21)
「私たちは一人でも生きていける。それでも誰かと生きたがるのはなぜでしょう。」(p.21)
「4 20代に自信は要らない」(p.24)
「「いつかは来ない」と知った。」(p.25)
「ベストなタイミングは、永久に来ない。はいあなたの出番です、なんて調子の良いコールは滅多に来ない。必要なものは、現地調達するしかない。拾いながら走っていくしかない。扉を叩きに行くしかない。どうやら人生は、そういうもののようです。」(p.25)
「思えばこの世に絶対に必要なものなど、そんなにたくさんはないのですよ。」(p.27)
「「恋人や結婚相手はお金を持っている人がいい」なんて甘ったれたことを思う方々は、「まず、ご自身がお金を稼ぐべき」です。恋愛やら結婚は、その自立が大前提であり、この最低限の自立なくしてのロマンスはありえません。」(p.30)
「大人も大人がなにかよく分かっていない。」(p.31)
「期待しない生き方がお俐巧であるとインターネットや其処彼処で叫ばれて久しい。
ですが、友人に期待しない、片恋慕の相手に期待しない、あるいは来月公開の映画、未踏の町、場末の酒場で出会ったお客、あるいはマスターのお話に期待しないように、あと五十年も大人しく生きろだなんて言われたら、私は喜んで舌を噛み切ります。期待していたいのです。私は、人に。」(p.33)
「14 愛の暗数」(p.36)
「思えば「なにかを継続しない」「なにかを辞める」という喫緊且つハードな選択を、学校は提示してくれません。私たちがこんなにも「継続しない」「辞める」という選択におそれを抱くのはそのせいではないかと思えるのです。なにはともあれ、二十代は「いま辞めるのか、辞めないか」問題が、重大な決断を迫られる毎に立ち現れるもの。」(p.49)
「27 それを判断する基準」(p.52)
「松が唯一女に求めるのは、綺麗でも可愛いでもありません。曲線でも水分率でも、おべっかでも品の良さでもない。度胸です。仕事が飛んでも金がなくなっても一人で生き残る気迫と気概を持ち合わせた度胸です。その孤独に耐え得る、生き様です。」(p.56)
「あなたがいなくても生きていける。でも、あなたがいると、もっと楽しい。あるいは、もっと楽しかったのかもしれなかった。」(p.63)
「40 矛盾を愛する3」(p.67)
「せっかくならば最高の遺品に囲まれてくたばりたい。なんて言ってるからいつまでも貯金できないのですが、物で買える幸せなんかさっさと買ってしまえや、とも思うのです。」(p.70)
「45 すべては白でも黒でもなく、灰色である」(p.74)
「「本を読まないということは、そのひとは孤独ではないという証拠である」とは太宰治の金言です。そこには羨望が混じっている。それと同等以上に、嫌味が滲んでいる。本は読んだ方がいいのです。なるだけたくさん読んだ方がいい。読んだ本の数だけ、言葉が、孤独が通じる人の数が増えるからです。そして面白い本に出会ったら、なるべくたくさんの人に薦めた方がいい。あるいは大切な一人に贈った方がいい。それが急速に分断していく世界への、最善の抵抗手段だからです。」(p.79)
「 王道の人生から外れざるを得なかった時、人生の本番は始動する。」(p.86)
「逃げても、それは背中を追ってくる。」(p.86)
「見た目も内面も大事、それでも度胸が最も大事。」(p.86)
「傷つくことを失うと、人生を見失う。」(p.86)
「いまできない、は、ずっとできない、を意味しない。」(p.86)
「お金がないことはなにもできないことの理由にはならない。」(p.87)
「それが無駄か決めるのはいまの自分ではなく、未来の自分。」(p.87)
「人は心が動いた瞬間のみを記憶する。」(p.87)
「過去でも未来でもなく、現在に全神経が集中している時こそが幸福。」(p.87)
「言葉の扱い方が似ている人とは、上手くいく。だらしなさが同じくらいの人とは、上手くいく。嫌いなものを嫌う、その理由が同じような人とは、上手くいく。誰も見ていない部分に支払う美学の質量が同じくらいの人とは、上手くいく。」(p.87)
「友人かどうかは十年経って初めて判断できる。」(p.88)
「どれだけお金を遣っても痛いと感じないのは愛です。」(p.88)
「素直でなくてよい、この世に一人素直になれる相手がおればよい。」(p.88)
「「誰か」になろうとしなくていい、同じ人間は二人もいらない。」(p.88)
「「何者か」になろうとせんでいい、何者でもない期間は一生続く。」(p.88)
「優しさがすべて。」(p.88)
「己が持っていないものを相手に求めてはいけない。」(p.89)
「与えて与えて与えて、返ってきたらラッキー、くらいでいよ。」(p.89)
「なにもしない人間がなにもできない人間になるのは当たり前。」(p.89)
「普通の人でありなさい。よく怒り、よく泣き、よく話し、そしてよく黙り込みなさい。気取らなくていい。面白いことを言わなくていい。天才にも異常にもならなくていい。普通の人だから多くの人の痛みが分かる。弱さが分かる。やるせなさが分かる。普通なら普通なりに考え抜いて、なにかやってみせなさい。」(p.91)
「54 才能と呼ばれるものの正体」(p.93)
「56 不条理な世界と戦うための武器一式」(p.95)
「この世に星の強い人間は確実にいる。逆に星の弱い人間もまた確実にいる。そして残念ながら、運というものは存在する。」(p.102.103)
「なにひとつ、なかったことにしたくないのです。」(p.105)
「65 最後の砦を、死守する」(p.110.111)
「66 言葉より行動、写真より動画、数字より情動」(p.112)
「69 嫌われることも、好かれることも、ややどうでもよい」(p.116)
「72 愛することの一側面として」(p.119)
「74 最強の通貨は貨幣ではない、美貌でもない、信用でもない」(p.121)
「75 優しい人は冷たい人、冷たい人は優しい人」(p.122)
「やってみたいことはやってみたい。好きなものは好き。そう言いふらしておいた方が、いざその話になった時、あなたの名前を周囲が挙げやすい。黙っているより訴えた方が、伏線を撒き散らしておく方が、機会は増えるのです。」(p.125)
「本当はやりたかったこと。それから目を背けることは、一度ならずあるものです。しかし、それは必ず自分の背中を追ってくる。なかったことにしても、なかったことにはならない。いよいよそれに追いつかれそうになった時、きちんと振り返り、それと戦わねばならない。その宿命を、彼らのことを思う度、思い出すのです。仮にそれと戦って勝っても負けても、その時、きっと後悔はないのです。」(p.128)
「85 よいものを見つけたら、よいと叫ぶといい」(p.134)
「難しいことを、難しいままに語ってくれる人が、誠に信用できるのです。」(p.135)
「「嫌いなもの」は「好きなもの」より、ほぼ常に学ぶものが多いのです。」(p.140)
「Netfixにしても、Amazonにしても、求人情報にしても、「いま目の前に流れてきたものすべてが、世界のすべてではない。本当に良いものは、簡単には流れてこない」という事実を私たちは忘れがちです。」(p.142)
「依存先を一つにすれば、病。しかし依存先を複数持てば、それは多趣味です。」(p.144)
「93 もう二度と会えない、という猛毒の花束」(p.145-147)
「真夜中。送信できなかった言葉、既読にならなかった言葉を思う。なかったことにしたかった話、なかったことにできない話を思う。私は、そんな話ばかり聴いていたい。そんな話ばかりしていたい。」(p.148)
「99 タクシードライバーに見る幻としての海」(p.155)
「「私たちが生きている理由ってなんだろう」するとその直後、アイコン未設定のアカウントから、こんなDMが来た。「SNSに載せられないことをするためですよ」。」(p.157)
「105 出産前夜の父親」(p.162)
「109 深夜の磯丸水産で」(p.166.167)
「118 真夜中0時に何度でも集合せよ」(p.179)
「泣きたい時こそ泣けない。が、その後、泣くはずもない時に、私たちはきっと泣くことになる。たとえば地下鉄へと下りる階段の踊り場で。終電過ぎの屋外駐車場で。あるいはセブンティーンアイスの自販機の前などで。ある日、底無しに泣いてしまうようにできている。でも、そのトリガーはなにか分からない。予感も説明もできない。ところで、このどうしようもない領域を私は、文学の領域と呼んでいる。」(p.182)
「121 夏」(p.183)
「123 質問」(p.186)
「133 現代」(p.198)
「見ない振りをするわけじゃない。ちゃんと、見る。でも、黙って距離を置く。胸糞悪いニュースに沈黙を選ぶ人は、どこにでもいると思う。でも彼らも、ちゃんと見ている。なにも言わない人は、なにも言わないから、ただこちらからは見えないだけだ。でも、確かにいる。それを静かに想像するんだよ。」(p.203)
「141 地下アイドル曰く、異常な愛の裏には異常な自己愛がある」(p.208)
「144 ありえないハッピーエンドより、最高のメリーバッドエンドを」(p.211)
「「好き」に理由は要らない。悲しいが、「嫌い」にも理由は要らない。」(p.212)
「敬意がベースにある関係は、長続きする。」(p.212)
「双方が経済的に自立してない恋愛は茶番。双方が精神的に安定してない恋愛は危険。双方が生活的に自足してない恋愛は短命。」(p.212)
「我々は完璧な相手には惚れず、なぜか相手の不完全に惚れる。」(p.212)
「騙す時は、完全に騙せ。」(p.213)
「すべてを話すことが正義ではない。」(p.213)
「すべてを知られたら即刻飽きられると思え。だからこそ未知であれ、意味不明であれ、勉強せよ、ゆるく変化し続けろ。」(p.213)
「「好き」とか「愛」とかより「ふとした愛おしさ」を信じた方が気楽である。」(p.213)
「まず、礼儀として、褒めろ。」(p.213)
「誰も褒めていない箇所を発見し、褒める時は、すべての言葉を尽くして褒めろ。」(p.213)
「本当に好きになった相手に人はスマートに振る舞うことはできない。」(p.213)
「どちらも会いたいと思っているだけなら、永久に会えない。」(p.213)
「「付き合う」とは楽しむこと、楽しませること。そのシンブルさだけでよい。」(p.214)
「外見か性格か、なんて二択があるが、どれひとつ自他ともに妥協するな。」(p.214)
「最初に持った違和感や、飲み込んだ妥協点は、確実に膨張するものと思え。」(p.214)
「長続きさせることを目的にすれば、恋愛は終わる。」(p.214)
「好き好き言い合うだけが、愛の仕事ではない。」(p.214)
「愛、この意味不明な単語に、一生振り回される覚悟を持て。」(p.214)
「ストーリー機能が教えてくれたのは、たった一人に伝えたいがために、全員に伝えようとする人がこんなにも多いということ。」(p.225)
「言うまでもなく本当に充実している人はSNSを毎日更新したりはしない。」(p.225)
「どんなになにかがデジタル化しようが、時代は今も昔もずっと、本人に直接伝えるのが最高の幸せのように思います。」(p.225)
「152 遠距離恋愛について」(p.227)
「ひとりで生きていこうとするのは、もうやめにしませんか。」(p.231)
「だって人間は、一人で生きていけるはずがないもの。」(p.231)
「うるせえ。黙ってろ。私は私の好きなように生きる。おまえもおまえの好きなように生きて死ね。」(p.232)
「いやいや、元々同棲は非合理的・非論理的、不条理の連続です。愛や親切は、合理とは大変、相性が悪い。」(p.242)
「163 幸せになるために不幸になる必要はない」(p.243.244)
「究極の選択を迫られた時、ぜひ思い出していただきたいことがあります。それは「自分が選んだ選択とその結果を心から受け入れた時、かつてのその選択は判断時に遡及して、正しい選択となる」ということです。「正しい選択も、誤った選択も、私たちにはない。だからどちらを選んでも、同じである」「導かれた結果すべてを強く受け入れることで初めて楽になる」ということです。」(p.246)
「選び続けましょう。死なない限り、次があるのです。」(p.247)
「人間がふたりいればどちらも悪い。そして、どちらも正しい。」(p.250)
「でも死ぬ間際に幸せだったなら、その一生はすべて幸せだったと言えませんか。」(p.251)
「169 水色の砂時計」(p.253)
「172 結婚するわけでもないのに付き合う意味」(p.256)
「173 でもそれが、なんの役にも立たなくて良かった」(p.257.258)
「インスタに載せられないほどの幸せ」(p.259)
「離婚しても、仕事を首になっても、人生は続く。癌になっても未亡人になっても、人生は続く。お腹は空く。突然シャンプーを変えたくなる時もある。新譜に頭を振る時もある。最低な冗談を言いたくなる時もあれば、とびっきりのお洒落をして街を歩きたい時もある。人間は可愛い。いつもワクワクしていたい。一度不幸な目に遭った。一度脛に傷を持った。だからと言って私たちがずっと不幸でなければいけない理由は、どこにもない。」(p.265)
「180 私の愛」(p.268)

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