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生きて帰ったぞ!オンネトー野中温泉

釧路で海鮮や蕎麦をいただき今日の宿の芽登温泉へと向かうのだが、その前にどうしても寄っておきたかったオンネトーの野中温泉へと車を進める。
オンネトーとはマリモで有名な阿寒湖から南西へ20分くらい走ったところにある雌阿寒岳の麓ににある湖のことだ。この湖畔にあるのが野中温泉だ。

もと国民宿舎なのかな?

実は野中温泉の隣に景福という温泉施設があり、10年くらい前に訪れたことがある。我々一行は羅臼岳に登るために知床に向かっている最中に台風が直撃し、からくも逃げ込んだ宿が景福だったのだ。当時は、温泉に関する知識も興味も大してなく、温泉があるのね、では入ろうぜよって感じで入浴したのだが、硫化水素の臭いがまたすごい。あまりに強烈で、ツレの一人は気分が悪くなり早々に退散。内湯はまずいので露天風呂へ。広い!これがめちゃくちゃ広いのだ。そして、この広さが仇になってかめちゃくちゃぬるい。9月の末とは言え北海道は大雪山が初冠雪をしており、夜は相当寒かった。おそらく35℃くらいじゃなかっただろうか?浸かっていても温まらず、出ると寒い。どうすりゃいいのかこのワタシ夢は夜ひらく。という状況なのであった。その景福、それから1年くらいして死者が出た。硫化水素の値がなにやら基準をオーバーしていたとのこと。そーか、そーか、そーなのか、さもありなんとニュース記事を読んで変に納得した記憶がある。過去写真を探したら、当時の写真があったのでここに投稿する。

2013年だと思う。景福の露天風呂。
2022年の景福、廃業してます

そして、そのすぐ隣に建っているのがここ野中温泉なのだ。
かなり激しい温泉地だと覚悟して臨む。

駐車場につくなり硫化水素の臭いが立ち込めている。
我ら素人温泉探泉隊シニア部は、ついに来たもんね、本格的な温泉だもんね、死なないからねウチら・・・とハヤる心と一抹の不安を胸にいただきながら、いざ受付へ。400円。

いい温泉ほど安いの法則

長い廊下を歩き脱衣場へ。シンプルな脱衣場。
そわそわ、そわそわ。

脱衣場

浴場をのぞくと、先客がお一人。内湯は乳白色で白骨温泉のような色合いだ。俄然テンションが上がる。
我々のような温泉素人は、濁り湯で、かつ硫化水素の臭い(硫黄臭)が激しく漂うだけで、温泉気分マックスになってしまうものなのだ。
温泉分析書には、
含硫黄、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムー硫酸塩、塩化物泉とある。なんだか、ややこしい。
まあ、それだけ温まるお湯だということだけは解る。

かけ湯をしていざ内湯へ。
あ、熱い・・・だが、私はこれくらいの熱さが最近のお気に入りなのだもんね。だからぜんぜん嫌じゃないんだもんね。と余裕を見せてグググと沈み込む。今までモール泉ばかり入ってきたけど、やっと求めていた湯にたどり着いたことにヨロコビを噛みしめる。
つまり、素人は、にごり湯なのである。そうなのである。濁っていることは正義であり、硫黄臭(硫化水素臭)は神なのである。
これだこれだこれだ、我々は正統的真実的圧倒的温泉に来たのだ浸かっているのだ女風呂のツレもそー感じているに決まっているのだと一人興奮する。
ただ、硫化水素臭は景福で感じたほどとは全く違う。これなら死なないぞ、立派にやり遂げて帰還できる!とさらに嬉しくなる。

内湯

さて、露天へ出てみる。お、透明だ。しかもそんなに熱くない。しかも浅い。となると、とたんに物足りなく感じる。
そう、何度も言うが、私は熱湯で硫化水素臭で濁り湯派でさらに言うと、そこそこ深めの湯船愛好派なのである。10秒ほど浸かってそうそうに退散し、もう一度安定の内湯へ。やっぱりここは内湯が好き。

露天

満足してエキジットし、受付の女性にお話を聞く。内湯と露天は源泉別なんですか?直球ストレートの素人質問だ。「あ・・・いや・・・その・・・、この辺りはどこを掘っても湯が出るので、同じといえば同じだし違うといえば違うんですよね・・・。」じゃあ、色が違うのは?あ、ここは硫化水素がすごいので、内湯は安全のため一度湯をタンクにためて曝気(ばっき)して硫化水素を逃してるんです。その時に酸化するんですね。だから白くなるんです。ほー!景福は、そういう一手間をかけてなかったから死者が出ちゃったのか、あるいは事故があったから一手間をかけるようにしたのか、真相はわからないが、まあ、老い先短い我々が無事生還できたのは、こういう並々ならぬ気遣いと努力があってこその話なのであった。この後、我々一行はいよいよ今夜の宿泊地、芽登温泉に向かうことになるのである。

温泉分析書

オンネトー野中温泉
0156-9-7321
この情報は2022.11.12時点での情報です。

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