秘行中級を受けて二週間と少しが経ちましたので、コースを受けた感想をしたためてみたいと思います。

初級のテーマは自分でしたが、中級のテーマは他者です。他者と言われた時、一番に思い浮かんだのは夫でした。夫は私とは価値観が違い、私は日々の生活の中で言動を否定されることが多く、それで自己肯定感が下がりストレスを溜めることが長く続いていました。
私は昔から心理学や意識の勉強が好きだったので、大体どういうことが起こっているのか、自分なりに分析はしていました。
「世界は相似系なので、私が自分は悪くないと思っているということは相手もそう思っているだろうし、自分から変わるしか解決はない。私が解決できていない自己欺瞞があるからこうなっている」「いやいやこの軋轢も本当の願いを知るためのプロセスだから、問題にフォーカスするのをやめて、自分のモードを上げることに集中しよう」などなど。
しかしそれはそれとして「どう考えても相手が悪いとしか思えないし、モードを上げたくても日常的にディスられながら高いモードとか無理、いや、もう普通に無理」というのが正直な気持ちでした。
そんな私にとって、秘行中級は一番やりたくないけど、絶対に受けた方がいいコースでした。

レッスン自体は、初級と同様に３時間×２日間に渡り、淡々と進みます。
いろんな方法でひたすら他者と自分を見ていきますが、私はずっと、自分がうまくできているのか自信がありませんでした。というのも、自分が夫を見ようとしても、その見えるものは間違っているような気がしたのです。
私は自分を見るのも苦手でしたが、夫を見るのもまた、苦手でした。
しかし私が自分の出来の悪さを恥ずかしく思っていようとも、壇珠さんは全く気にしない様子でした。そこでようやく、「もしかしたら本当に、何が見えるか、どう見えるかに、正解なんてないのかもしれない」と気づきました。
壇珠さんは何度もそう言ってくれていたのですが（笑）、本当にただ、テキストの通りにやってみることそのものが大切で、その結果見えたもの、感じたことの内容がどうこうではないのでした。
（とはいえ、見てみた結果、自分が感じたこと、見えたことは興味深いものでした）

淡々としたまま2日間のコースを終えましたが、終えた段階では、「無事終えられた」と言う安心感はあったものの、手応えらしきものは（過去に受けたワークショップに比べれば）薄く、そのまま会社帰りのような感覚で日常に戻っていきました。「なんかものすごく普通だなぁ、こんなに普通なもの…？やっぱりちゃんとできてなかった…？」と思ったのを覚えています。

が、ここからが本当に不思議だったのです。
帰宅すると、夫がなぜか突然、マイルドなのです。
本当に不思議で不思議でならないのですが、必要最小限しか話しかけてこなかった夫が、口をひらけばダメ出しか嫌味だった夫が、同じ家にいながらLINEで長文の小言を送ってくる夫が、フレンドリーな雰囲気で、世間話をしてくるのです。それがまるで、昔からそうだったような感じなのです。
パラレルワールドに迷い込んだような気がしました。
夫の変化があまりに自然なので、自分だけが勝手にツンケンしていただけで、実は夫は昔からこういうフレンドリーな人だったのだろうか？と疑ってしまったほどです。
狐につままれたような気分でいながら、私もまた、まるで昔からそうだったかのように、夫の他愛無い話に興味を持って相槌を打っているのです。これは一体、何が起こったのでしょう？
壇珠さんのブログで何度も読んだ、旦那様との間に起こった魔法が私にも起こっている…？
ただ、淡々としたワークを6時間しただけなのに、しかも私の表層意識ではさしたる実感も興奮も特になかったと言うのに、現実がこんな即効性を持って変わるとは。なんじゃこりゃ？という気分でした。

不思議な気持ちで生活する中で感じたのは、自分はこれまで、夫と自分を「夫」「妻」「父親」「母親」としてみていて、そういうふうにみているとそこにはたくさんの「お互いに許せないこと」があったよなぁということでした。なぜかわからないけど、秘行から帰ってきてからはそれが緩んでいて、少し前まであんなに主張したかった自分の報われなさやしんどさや理不尽さが、もうそんなに気にならなくなっていました。
また、不思議なことに、夫に対して「この人はずっと私に片思いだったんだなぁ。私が全然振り向かないものだから、寂しい思いをさせたな」と言う感慨が浮かんできました。これまではむしろ邪険にされていたので、こんなふうに思うなんて不思議でしたが…。

そしてその後、一週間、二週間と経つうちに、また段々と、「夫」「父親」としてみる、前の状態に戻りつつあることにも気がつきました。何せ役割に簡略化して生活するのは省エネで楽なので、気づくとそうなってしまいます。そしてそうなるとまた、だんだんギスギスしてくるわけです。なんてわかりやすい！！

と言うわけで、もう一度秘行のワークを自分でも復習してやってみて、それによる変化を眺めてみていこうとしている、そんな今日この頃です。

おまけですが、もう一つ中級を受けてすごく良かったことがあります。
私は夫と仕事のストレスで半年ほど前にうつで2ヶ月くらい会社を休職していました。
今は体調もずいぶん良くなり復職していますが、日常的に不安になると動悸がしてしまうのだけは、なくなりません。瞑想してみたり、呼吸法を取り入れてみたりしていますが、これだけはずっと変わらない…と思っていたのですが、秘行でやるワークの一つをすると、スーッといつの間にか動悸がなくなることに気がつきました。
今まで、時間をとって10分の瞑想をしたり、トイレにこもって呼吸法をしたりしないと止まらなかった（しかもそれをやって止まってもすぐにまた戻ってくる）動悸が、このワークを何かをやりながらすることで、すぐに緩和するんです。ものすごくお手軽です！
秘行のワークで「自意識から抜ける」と、自意識が持っている不安が無効化されるのかな？仕組みはよく分かりませんが、ともかく、効きます！笑

このように、秘行には華々しいブレイクスルー体験や雷が落ちるような気付き的な派手さは全くないにも関わらず、知らないうちに現実が変わっているという、不思議なコースでした。

最後になりましたが、壇珠さん、長岡さん、お世話になりました。今から何年も前、壇珠さんのブログを腹を抱えて涙を流しながら読んでいた自分が、まさかその後壇珠さんが創られることになる秘行のコースを受けるに至るとは、なんとも不思議で有難いことだなぁと感じます。
その間に自分も子供を産んで、夫婦仲で悩んで、うつにもなって、回復して、コースを受けて…。そんな自分を少し遠くから眺めながら、良かったなぁ、自分よ、と思います。
素晴らしいコースをありがとうございました。上級も受けたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。長文失礼いたしました。