「VR認知症」レビー小体病 幻視編 のための配布資料

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❶「レビー小体病」って何ですか?

レビー小体と呼ばれるたんぱく質の固まりが、脳や全身の細胞内に現れる病気の総称です。 現れる場所により、「レビー小体型認知症」「パーキンソン病」「純粋自律神経不全症」 など病名が異なります。しかし共通する症状は多く、レビー小体が現れる範囲が広がると 病名が変わることもあります。

❷「幻視」って何ですか?

幻覚の1種で、存在しないものが見える症状です。アルツハイマー病など様々な病気でも 起こります。高齢者が、薬の副作用や脱水など身体状態の悪化などで起こしやすい「せん妄」という状態の時にも現れることがあります。 レビー小体病の幻視は、リアルに見えることが、特徴です。今、目の前で見えているものや過去に見たものを詳しく説明できることは、珍しくありません。

❸ 幻視は、必ずこう見えるのですか?

人により見え方、見えるもの、頻度は、異なります。多くの場合、人(性別、年齢、人数 等は様々。)、動物、虫を繰り返し見ます。見間違え(錯視)、壁のシミ等が顔に見える (パレイドリア)、部屋が歪んで見える(変形視)など色々な種類があります。暗い所で 見やすいですが、明るさや時間に関係なく現れます。

❹ 幻視を消す方法はありますか?

触ると消えることが多いです。家族が触っても有効です。手をパンパンと叩く音や照明をつけるなどの刺激によって消えることもあります。レビー小体型認知症では、薬、特に抗精神病薬に対して副作用が出やすいという特徴(薬剤過敏性)がありますので注意が必要です。

❺ どう接したらいいですか?

レビー小体型認知症といっても理解力、記憶力がある方も多く、説明すれば症状であるこ とを理解されます。頭ごなしの否定は、絶対に避けましょう。 安心感を与えて下さい。 初期には、不安から混乱したりしますが、本人も家族も慣れれば、症状と受け入れ、幻視があっても平穏に笑顔で暮らすことができます。幻視を異常視しないことが大切です。


        《 幻視を体験する本人の気持ち 》

樋口直美著『私の脳で起こったこと』(ブックマン社)より抜粋。(本書は、日記からなり、時間の経過とともに、幻視に対する感情や考え方は、変化していきます。) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

目の錯覚と思おうとしていた。でも錯覚にしては、リアル過ぎた。 【p.10】

とても大きな虫を見た。驚いて凝視すると目も毛も見えた。完全に本物だと思った。でもあんな虫が実在するだろうかと思う。肉眼で見える限度も超えている。 【p.13】 

 幻視を見た。恐い。幻視がたまらなく恐い。どうやって平静を保てばいいのだろう。見たくない。人は見たくない。今、ひとりで居て、部屋の中に男が立って居たら、こちらに向かって歩いて来たら、私はいったいどうしたらいいのだろう。誰がこの恐怖を理解 できるだろう。 【p.18】

別に虫を見たところで何の害もない。ただ、本物との区別を「自分で」つけられないと いうことが恐い。自分でまったくコントロールできないものを自分の中に抱えているとい うことが恐い。 将来、私は、目に見えるものひとつひとつを本物か偽物か確かめるために触って歩くよ うになるのか。自分の見たものごとの真偽を何ひとつ自分では確認できなくなるのか。 1匹の小さな虫は、そんな風に私の存在を揺るがせる。 【p.70】

幻覚(幻視・幻聴・幻臭・体感幻覚)は、私の場合、正常な意識と思考力の時に起こる。 意識障害を起こして朦朧としている時には、起こっていない。 全く正気の状態で起こるのだから、錯乱や妄想などの精神症状とは違うと感じる。脳の 感覚機能の一部分が、一時的に誤作動を起こしているだけ。      【p.216】

みなさん今夜、お家に帰られて、夜、寝室の扉を開けた瞬間に、知らない男が眠っていたらどうされますか。(略) レビーの、特に高齢の方が叫ぶと(略)「頭がおかしい」と怒鳴ら れ、説教され、バカにされ、BPSDだと決めつけられます。病院に無理やり連れて行かれ て、抗精神病薬を飲まされるかもしれません。 「認知症だから、ない物をあると言って、わけのわからないことをするのよね」と家族の方は言います。違います。思考力があって、本物にしか見えないものが見えるから、正常 に反応しているんです。不審者がいれば怖いです。でも慰められるどころか、狂人扱いさ れます。言いようのない悲しみ、悔しさ、孤独、不安、絶望を感じるということを、本人 になって、初めてわかりました。 【p.239】(講演録。動画あり)

       《 レビー小体病 編の台詞は、聞き取れましたか?》

「ずっと体調悪そうだったから...」

「田中さんのお母さん、覚えてる? 1月の演奏会の時、 杖をついて...。ほら、階段から落 ちかけた時、リーダーが走って行っ て受け止めた...。あの時、パーキンソン病って言って たけど、病名が変わったんだっ て。(略) 物忘れもそんなにいし、時々ぼんやりする時があるけど、それ以外は、すごくしっかりしてるって。大きな寝言まで症状だったって、驚いてた。」

「ああ、幻覚があるっていう病気でしょ? レビー小体型認知症。」「認知症が出る病気は、70種類以上あって、症状も違うんだって。同じ病気でも一人ひとり症状が違うし、合併も多いって、読んだよ。」

「レビー小体型は、うつ病とか統合失調症とか色々な病気に誤診されやすいんだって。 体質が、薬に弱くなって、普通の風邪薬や胃薬でもぼんやりしたり、寝込んじゃう人もいるみたい。」

「田中さんのお母さんは、立ちくらみとか、便秘がひどくて、寝汗とか…、随分色々あるみたい。自律神経が、うまく働かなくなる病気なんだって。」

「でもこの病気に詳しい先生を見つけてからは随分良くなって、最近は、普通に暮らせてるって、田中さん、喜んでたよ。」

⭐️実際の音声を聴くことができます。(90秒)→YouTube

⚪️    レビー小体病は、認知症のない病気も含みます。この病気に特徴的なリアルな幻視は、認知症がない状態でも現れます。レビー小体型認知症にも種類があり、病態は大きく異なります。(下の図参照)。まだ解明されてない部分が多い病気です。


🌟 幻視が見られます。NHKの特集(2017年2月1日「おはよう日本」)↖️

⚪️「VR認知症」は、(株)シルバーウッド(社長・下河原忠道氏)のプロジェクトです。問い合わせは、メールで VR@silverwood.co.jp まで。

⚪️ この配布資料は、レビー小体病の樋口直美が書いたものです。「レビー小体病幻視版」のシナリオを担当し、撮影に立ち会い、編集にも協力し、自身や同病の方たちが見ているレビー小体病に特徴的な幻視・錯視を正確に再現しています。

�✴️  樋口直美公式サイト https://peraichi.com/landing_pages/view/naomi

       (撮影現場でプロの役者さんたちに説明。左がVR用カメラ)


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樋口 直美

『私の脳で起こったこと』(2015年日本医学ジャーナリスト協会賞優秀賞)著者です。医学書院の「かんかん!」というwebマガジンに『誤作動する脳』を連載しています。樋口直美公式サイト→https://peraichi.com/landing_pages/view/naomi
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