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【UFC286感想戦】悪夢が醒めたらそこはアルマゲドンだった 神の階級は戦乱へ向かう

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


・はじめに

この記事は3月に行われた「UFC286」の感想を書いたものです。
もしまだ試合を見ていない方や興味があるけど視聴方法がわからない方がいたら下部リンクのUFC Fight Passに登録することをおススメします!毎週日曜日をMMA観戦で豊かな日にしましょう!


・大英帝国×UFCの相性

今回の「UFC286」はイギリスで行われました。その理由はメインを行うレオン・エドワーズが幼少期にジャマイカからイギリスに移住をしてそこでMMAを始めたからです。
イギリスでは今まで26回UFCの大会が行われていて今回を含めると27回目となっております。個人的にヨーロッパはまだそこまでMMAという文化が浸透していない印象があるのでこの数は結構意外でしたね。

結論を先に言うとイギリスとMMAの相性は良いと思います。
もちろんイギリスはボクシング大国ということで別種とはいえ他の格闘技を受け入れる下地がととのっているということもありますが、それ以外にもいくつかの要素があると思います。
イギリスでMMAは市民権が広まっている理由として「Cage Warriors」の存在は大きいと思うんですよね。2002年のMMA黎明期からイギリスで活躍している団体で元UFC2階級王者でMMA界のスーパースターであるコナー・マクレガーや今UFCで活躍しているパディ・ピンブレットもここの団体からUFCにステップアップしていきました。黄色いグローブが特徴です。

多分この団体がイギリスやその周辺のヨーロッパ各国のMMA選手の活躍の場として長くあり続けたことがイギリスでのMMA人気につながっているんですかね。最初はマクレガーの影響かなぁと思いましたが、勿論それも一因でしょうがイギリスとアイルランドは国家間の仲がガチで悪いのであんまり関係ないのかなと思いました。気になる方はウィキペディアあたりで両国の歴史を調べてみて下さい。

後はメインイベントの所でも書きますが個人的に格闘技が盛り上がる要素の一つとして激しい国民性は重要なファクターを占めていると思いますね。
ブラジルやオーストラリア、同じヨーロッパのフランスにも同じようなことが言えますが、自国の選手に勝った選手に対して大ブーイングを行ったりオクタゴンから帰る際にジュースの入った紙コップといったような物を投げたりとおおよそ日本では考えられないような事が当たり前のように起こっています。イギリスもそれと同じくメインのエドワーズvsウスマンでも敗北したウスマン相手にブーイングをしたりと結構激しめの国民性です。

(敗戦直後のウスマンのインタビュー。YouTube上でもはっきりとわかるほどのブーイングがされている。)

まぁだからこそ多くの選手が日本で試合をしたいっていう理由もなんとなくわかりますね。試合中は黙って一挙手一投足を観察して自国の選手じゃなかろうと素晴らしい試合をした選手を拍手で称えるなどファイターとしてもモチベーションになるんだろうなぁと今回のウスマンのインタビューを見ていて思いました。

(元UFCバンタム級王者ドミニク・クルーズがコロナ禍の無観客試合に対して日本での試合のようだと答えたインタビュー記事。)


・エドワーズ初防衛 ウェルター級a.k.a地獄の1丁目へ足を踏み入れる

「UFC286」は人気者を起用した試合が想定以上に跳ねたカードが目立った印象です。具体的にはモカエフとゲイジーの試合ですね。
だからと言って他の選手の試合がつまらなかったというわけではないですがね。元Cage Warriorsフライ級王者のハドリーが体重超過した相手に打ったボディーブロー決着での試合とかコナー・マクレガーの元チームメイトであるグンダー・ネルソンの素晴らしい腕十字とか、マルヴィン・ヴェットーリvsローマン・ドリューゼのどこに目を付けて何を評価しているのか現代のMMAファンにはわからないはるか未来のジャッジ基準を導入した素晴らしいジャッジとか見どころたっぷりの良い試合が多いのでまだ見ていない方はUFC Fight Passに入会して試合を観戦してみましょう。

ムハマッド・モカエフは2018、2019年のIMMAF(世界最大規模のアマチュアMMA団体)世界王者でアマ戦績23勝0敗のとんでもない実績を引っ提げてUFCになってきた今フライ級で再注目されているファイターです。

現在プロ戦績10勝無敗UFC戦績10勝0敗と順調にトップへの階段を上っているモカエフですがUFCで思わぬ局面でピンチを迎えています。
それは”1試合1回は寝技でピンチになる”ということです。
前戦では柔術ベースのゴードンにグラウンド状態で粘られてバックまで取られてあわやの状況まで陥りました。そこから腕十字を獲って一本勝ちをしたのは流石ですがグラウンドの不安が抜けないままに今回の試合が始まりました。
相手のジャフェル・フィーリョはKO勝利5回、一本勝利8回のフィニッシュ率の高さが売りの選手で得意技は膝十字です。そして今回の試合もモカエフ相手に果敢に得意の膝十字を狙っていって3ラウンドに完全に決まったシーンを作りました。

膝十字が完全に決まってるシーン
そして本人がリツイートしたコラ。草

並の選手ならここでタップアウトですがモカエフはそんじょそこらの選手ではありません。なんとこの膝十字をしのいでバックを取り最後はネッククランクで1本勝利!バケモンにもほどがありますわ。ちなみにモカエフはこの試合の2週間後に練習を再開しています。バケモン過ぎて言葉が出ませんわ。

練習再開時の写真。左の選手はUFCフライ級ランキング2位のパントージャ。

そして今回”も”その激闘でファイトオブザナイトを取ったジャスティン・ゲイジー。これでUFC参戦後全11試合でボーナスを取ったある意味とんでもない選手です。

その激闘でファンを楽しませるものの最近はヌルマゴメドフとのタイトルマッチに敗北してその後チャンドラーとの年間最大の激闘を制したものの、あくまでランキングは下位であるチャンドラーを倒しただけでまたタイトルマッチに挑戦出来たりとUFCの推しっぷりの凄さから一部では下位の選手と戦っていないだったりあの激闘では通じないなどちょこちょこ意見が出ている印象です。
自分もどちらかと言えばそっちの人間でしたね。ゲイジーの激闘スタイルに関してはもうそういうファイターなんであまり考えてないですが、下位ランキングのファイターとあまり戦っていないのにすぐタイトルに挑戦させているのはどうなんだろう?とは思っていました。

現在のUFCライト級ランキングは4位ベニール・ダリウシュ(現在UFC8連勝中。UFC288で元王者チャールズ・オリベイラとの対戦が決定)7位マテウス・ガムロット(元KSW2階級王者。クレベル・コイケにも勝利している)8位アルマン・ツァルキヤン(現王者イスラム・マカチェフを最も追い込んだ選手)9位ハファエル・ドス・アンジョス(元UFCライト級王者)…とトップ10を軽く上げるだけでも化け物しかいない正にUFC最激戦階級です。
そりゃあこの化け物とゲイジーのようなトップ5達の試合が見たいと願うのは必然じゃないですかねぇ⁉と思っているので今回のラファエル・フィジエフ戦は正に願ったりかなったりでした。
ラファエル・フィジエフはUFCライト級ランキング6位の選手でアマチュアムエタイで200戦以上の戦績を誇る立ち技エリートです。UFCデビュー戦は敗北したもののそこから6連勝でランキング上位まで昇り詰めました。ムエタイで培った蹴りで距離感を創るのが上手く、相手の攻撃を状態をそらして避けるマトリックスディフェンスで一躍有名になりました。

試合に関しては相変わらず見ている人間の度肝を抜く激闘でした。
1,2ラウンドはフィジエフが多彩な蹴りとスイッチで距離感をうまく創って言ってゲイジーの攻撃は空振りが目立っていました。しかし2ラウンド後半からゲイジーの左ジャブが当たり始め徐々に形勢を取り戻していき最後にはなんとタックルでテイクダウンを獲ってゲイジーが勝利しました。
本職のストライカーからMMA特有のオープンフィンガーグローブのジャブのような軽いパンチでもダメージは蓄積するという特徴を生かしたゲイジーらしい打撃戦での勝利でしたが、何より驚いたのはゲイジーが自発的にタックルに行ったということです!
あの「レスリングで疲れるなら打撃で疲れたい」と言っていたゲイジーが、NCAAディビジョン1でオールアメリカンに選出されたレスリング力を持ちながらもUFCで自分から組みにはいかなかったゲイジーが自らテイクダウンを獲りに行くシーンが衝撃でしたね。

件の衝撃シーン

どれくらいすごいかというと朝倉未来が「平本蓮と七輪で焼き肉してみた」っていう動画を撮るくらいすごい事です!!

そしてメインのレオン・エドワーズvsカマル・ウスマン3
前戦はエドワーズの衝撃的なハイキックでエドワーズがベルトを奪取しましたがその前戦について世界のTKこと高坂剛氏がわかりやすい形で言語化してくれました。詳しくは下部リンクの記事を読んでいただけると幸いですが要はエドワーズの四つ組みが強くてウスマンの距離感にひずみを生じさせたまま試合を続けさせたことを挙げています。

実際の試合は1,2戦目を超える試合となりました。
ウスマンは前半からジャブ、ワンツーからのテイクダウンという自分の必勝パターンを貫き続けて2ラウンドにはテイクダウンを獲りましたが、エドワーズはそれを冷静に対処してインローやカーフで足元へダメージを蓄積させていきケージ際では膝蹴りでコツコツと削っていきました。
そのかいあってか後半になるとエドワーズの動きをウスマンがとらえきれないシーンが増えたりウスマンのタックルが決まらなくなってきました。そのままラウンド後半になっても下段の蹴りにミドルキック、そして前回劇的KOを呼び込んだハイキックを出して最後まで自身の距離で戦い続けたエドワーズが金網つかみによる減点があったものの防衛に成功しました!

次戦はランキング2位で元UFCウェルター級暫定王者コルビー・コヴィントンになりそうです。UFCきってのトラッシュトーカーで試合前には徹底的に相手選手を煽りますが、そのスタイルはパンチと蹴りを撃ち続け手数に優位に立ちNCAAディビジョン1のオールアメリカンに2回選出されたレスリング力でテイクダウンを奪う堅実なスタイルで最大の武器はそのきついスタイルを5ラウンド続けられるスタミナです。

筆者自身結構コヴィントンが好きなので色眼鏡が入った見方ですがウスマンよりは対エドワーズに適しているスタイルだと思います。
というのはウスマンは長い腕を活かしたジャブとタックルの圧力で相手をケージ際まで下げてのテイクダウンが基本戦術ですが、スタンドでは蹴りで削りに来て組み際では膝でダメージを与えてくるエドワーズには通じないことはこの2戦で明確になりました。
しかしコヴィントンは近距離で打撃の差し合いをしながらタックルに向かうスタイルなのでエドワーズの散らしが上手い蹴りを気にせずにテイクダウンを獲れるんじゃないか…というのが筆者の見立てです。もちろんエドワーズがミドルキックで距離感を制して無理くり出てきたところをハイキックや膝でKOという可能性もあるので一概にコヴィントン有利とはいえないとは思いますが、ウスマンには2敗した似たスタイルのコヴィントンがエドワーズには有効というのが格闘技の面白いところですね。

ウェルター級という階級は昔から”神の階級”と称されていました。これは軽量級のスピードと重量級のパワーが両立する階級だということでいわれましたが、その階級は近年はウスマンという悪夢が制した1強環境でした。
しかしエドワーズがハイキックで光明を見出してそれを盤石なものにした現在はそのベルトを腰に巻くべくUFCという地獄でしのぎを削っている神々たちが今か今かと待ちわびています。現に4位ベラル・ムハマッド(ノーコンテストを挟んで現在9連勝中)と6位シャフカト・ラフモノフ(現在無敗。UFC5連勝中)の対戦が決定したりとこれからの神の階級も楽しみでしょうがありません。


・おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
記事中に何回も言いましたが今UFCを見るならUFC Fight Passがおススメですので登録しましょう!
さらにU-NEXTが「UFC287」から視聴可能となりました!また他にも多くの格闘技団体の視聴が出来るようになったりと今まさにU-NEXTの登録に1番ベストな時期ですので皆様も登録して豊かな格闘技ライフを楽しみましょう!

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ここまで読んでいただきありがとうございます!


・余談

これは余談ですが、約1か月ぶりの投稿が若干時期のズレた試合感想戦ということに対しての理由はシンプルに筆者のリアルが忙しくなって以前のような記事を書く時間が取れなくなったというのが大きいですね。
まぁ正確にはそのスケジュールに体を合わせることがまだできていないので記事を書く時間を作れない…という感じです。なので下書き状態の記事が他にも2,3本ありますので時期外れの感想戦が多く出てきたら「あぁ、あの時書ききれなかった下書きを出しているんだなぁ」と読んでいただけると嬉しいです。

スケジュール変更に伴う時間の話ですが今までは自由な時間が多くあったので記事を書くエンジンに火が入っていなくても間に合う感じだったのですが、今はエンジンの火入れの時間が無くて焦っていました。
このままだと下書きだけを無為に作る路傍の石ころになるのではと思ってた時にとある動画を観まして考えが180°変わりました。

スマブラやカービィシリーズの生みの親である桜井さんが出した動画ですが、まさに筆者が今悩んでいる問題に対して明確な答えを出していただきました。
一言で内容を言うと、

そもそもエンジンに火をつけてから行動するのではなく動き始めてからエンジンに火が付くわけなので、思い立ったらとにかくやれ!!!

ということです。
まぁ目からうろこでしたね。
自身の直面している問題に対して尊敬している方から明確に答えを出していただけた天運もそうですが、それが自分がやっていたスタイルの真逆でしたのでそれも驚きました。
まぁそっからはとにかく書き始めることに重点を置いてnoteを開くようになりましたね。以前よりも明らかに時間は取れませんがやる気や危機感といったものは増しているので自分の中のつり合いは取れているのではないかと思います。とりあえず迫る「RIZIN.41」の解説記事を書き進めていこうと思います。4月1日の試合開始までには書き終わりますのでその時は読んでいた抱けると幸いです。

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ここまで読んでいただきありがとうございます!


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