見出し画像

【RIZIN.39超絶簡単解説】RIZIN=玉石混交 自分だけの珠を見つけるべし

*この記事は執筆者の個人的な考えや推測が多く含んでおり、また格闘技関係者から直接話を聞いて執筆したというものではなくただの一格闘技オタクが書いたものであるため間違った情報が書かれている可能性があります。もし間違いやご指摘、誤字脱字があった場合はコメントなどで教えていただけると嬉しいです。
 またこの記事内で選手や格闘技関係者の敬称を省略している場合があります。予めご了承ください。


➀はじめに

この記事は「RIZIN.39」(10月23日14:00開始予定)の全カードを簡単に解説しようという記事です。
RIZINフェザー級タイトルマッチや新たな外国勢の参戦などこれからのRIZINのストーリーを一気に加速してきそうな大会になっていますので盛り上がっていきましょう!


②REITO BRAVELYvs関幸一郎

開幕戦は将来有望な若手vs地元のベテランというわかりやすい構図のカードです。
「RIZIN.39」は今までの大会よりも比較的キックボクシングのカードへの意見が少ない気がします。MMAのカードの質が平均して高いのとキックボクシングのカードの少なさが理由だと思いますね。

REITO BRAVELY選手は現在22歳ながら戦績は21戦12勝4敗5分けでタイトルはM-1 JAPANライト級、KOSスーパー・フェザー級の2冠を獲得しているキックボクシング界の若手有望株の1人です。

180㎝の長身と伸びのあるストレートを始めとしたパンチ、そして9歳のころから培ってきたムエタイの技術が特徴です。

関幸一郎選手は熊本を拠点に活動をしている選手でファイターの傍ら飲食店の店舗経営をしているやり手のファイターです。
前にガンガン詰めながら止まらない攻撃の手数で相手を圧倒する激闘型のスタイルで人気を博しています。

試合展開はパンチを出しながら前に出る関選手に対してREITO選手が上手く距離を作って打撃を当てれるかが重要ですが、個人的にはREITO選手が圧勝する展開になるだろうと思っています。
というのも関選手はパンチのディフェンスがあまり得意ではなく逆にREITO選手は距離がある状態からストレートを当てるのが上手いので、早いラウンドでパンチをあっさりもらうと試合の流れが決定しそうです。

REITO選手がこの舞台をステップアップにうまく使うか、関選手が意地と根性の激闘を見せるか。これでREITO選手が名前を挙げて国内キックボクシング63㎏戦線に風穴を開けたら面白いですね。


③栗秋祥梧vs翔

先ほどの試合と違ってこちらは期待の若手同士のつぶし合いという構図です。
バチバチな殴り合いが予見される血気盛んな若者同士のマッチメイクですが、気合が空回りして塩試合にならないことを祈りたいです。

栗秋祥梧選手は先日の「RIZIN.38」で快勝した鈴木千尋選手の同門の選手です。アグレッシブなムエタイスタイルが特徴で多くの大会で勝利していたりと実績は十分です。

身体のバネや身体能力の高さを生かしての飛び膝やパワーのあるパンチでガンガン攻める誰が見ても盛り上がる試合をする選手ですので、キックボクシングにあまり興味ない人も楽しめるある意味RIZIN向きの選手と個人的には思っています。。
また自分のYouTubeチャンネルでは自己紹介・戦績紹介の後に好きな体位を答えたりとおちゃめな部分も見せているのでそちらも注目です。

翔選手は現在RISEが携わっている団体の1つであるRISE WESTを主戦場にしている選手です。ボクシングのバックボーンを活かした左ボディや試合で劣勢になっても最後まで諦めないド根性の持ち主の選手です。

RIZINのいわゆるジモキックと呼ばれるカードですが個人的にはかなり面白そうな試合だなと思います。
栗秋選手は序盤からその身体能力を生かして近距離でガンガン攻めたりムエタイの技術を生かした下段の蹴りで削っていくスタイルですが対戦相手の翔選手は序盤は相手の攻撃を被弾するタイプの選手ですので、割と序盤は栗秋選手が有利な展開になるだろうと思います。
ただ翔選手はその攻撃を耐えて2ラウンド以降の相手の動きが落ちたところに必殺の左ボディをブチ当てることが出来れば一気に試合の流れを逆転させることが出来る選手ですのでこの試合は3分3ラウンド攻め合う激熱の試合になりそうです。

先行逃げ切りの栗秋選手と後半追い上げの翔選手というお互いの強い時間帯が被らないことで出来た噛み合いの良さがこの試合の魅力ですね。


④手塚基伸vsメイマン・マメドフ

お互いの年齢が34歳ということがいろんな意味で感じられない両選手です。
でも少なくとも共通していることは両選手とも街で目の前に来たら道を譲る見た目をしています。

手塚基伸選手は元UFCの選手で「RIZIN.34」では鳴り物入りで参戦したものの8年前に一本勝ちしたアラン・”ヒロ”・ヤマニハ選手に一本勝ちでリベンジを許してしまいました。

RIZINしか見ていない人には前評判は高かったけどヤマニハ選手に負けた人というイメージだと思いますが、ヤマニハ選手に負けるまでは伊藤空也選手を倒しての6連勝やキム・スーチョル選手や石渡伸太郎さんといった世界レベルの強豪との鎬を削った経験などRIZINでまだ強さや魅力が十二分に出ていない選手ですので活躍を楽しみにしたいですね。

メイマン・マメドフ選手はRIZINライト級GP優勝者で現Bellatorライト級3位のトフィック・ムサエフ選手やRIZINフェザー級で活躍しているヴガール・ケラモフ選手と同郷のアゼルバイジャンの選手です。

打撃のスピードがとても速く特に蹴りの速さは相当なものです。さらに組み終わりにハイキックを撃つクセがあり打撃を怖がって組んだと思ったら一発でKOという危険性も持っているファイターです。
またアゼルバイジャン出身の選手であることやムサエフ選手やケラモフ選手と同じチームであるためかなり散打的な動きをします。特にミドルキックのフェイントからタックルといったように蹴りとタックルのコンビネーションはそのスピードも相まって危険な技です。
ちなみに宣伝ですが「散打って名前は聞いたことあるけどよくわかんねぇ」という方は筆者が書いた散打に関する記事がありますので興味のある方はそちらを読んで下さい!

試合の構図は非常にわかりやすく寝技で勝負したい手塚選手と打撃で勝負したいマメドフ選手というものです。その中で重要なのはスタンドの主導権をどちらが獲るかだと思います。
手塚選手はオールラウンダーなタイプの選手ですがスタンドでは被弾が多くまた圧力をかけると真っすぐ下がるクセがあるのでそこをマメドフ選手が鋭いジャブやストレートでうまく突くことが出来ればグラウンドに行かせることなく試合を終わらせることが出来ると思います。
逆にマメドフ選手は非常に良い打撃を持っていますがグラウンドの下からの攻撃の対処があまり上手ではなく寝技の展開になると手塚選手が圧倒的有利です。またマメドフ選手は四つ組みの展開に試合中になる事が多いですが、手塚選手は四つからの引き込みも上手でありマメドフ選手は自分の攻撃は当たるが相手の攻撃は当たらない距離感で試合を行いたいはずです。

その攻防のカギを握るのはマメドフ選手のミドルキックです。
マメドフ選手はミドルキックが上手くそれをスイッチしながら蹴れるのですがこの蹴りでうまく距離感を作れれば試合はかなり有利になると思います。しかし手塚選手がこのミドルをキャッチしてグラウンドに持ち込めば手塚選手圧倒的有利ですのでこのミドルキックの処理が試合の勝敗を分けると個人的には思います。
マメドフ選手の最初のミドルキックを手塚選手がどうさばくかに注目です。

3試合目ですが個人的にはかなり楽しみな試合です。手塚選手は実力的にタイトル戦線に絡んできてもおかしくないレベルですがRIZINでは黒星スタートしてしまったので仕切り直し宜しくここを順当に勝って次につなげたいはずですが、ここを負けてしまうとかなり国内での立ち位置は厳しいものになりそうです。
逆にマメドフ選手はRIZINでにぎわっているバンタム級の外国人枠として定期参戦を狙いたいですね。戦績や年齢的にも上を目指すのは難しいと思うので日本でいいキャリアを築きたいと思っているでしょう。
お互い34歳とキャリア後半ですのでここでの勝ち星がこれからの試合機会といった意味でも意外と重要だと思います。


⑤中原由貴vs原口央

この試合は元々ヴガール・ケラモフvs中原由喜の実質フェザー級次期王座挑戦者決定戦レベルのトンデモカードでしたがケラモフ選手がヘルニアをやっちまったので代わりに原口選手が対戦相手として名乗り上げました。
中原選手はRIZIN2戦連続対戦相手変更というちょっとした事故に遭ってしまいましたね。災難というほかないですが無茶な仕事をこなしたので次戦はビックネームを希望してもバチは当たらないと思います。

中原由貴選手は元ONE所属の強豪選手で鳴り物入りでRIZINに参戦しました。RIZINデビュー戦である関鉄矢戦では評判通りの剛腕にフィジカルの強さ、評判以上の打撃の打ち分けやプレッシャーといった細やかな技術を見せて最高のデビュー戦を飾りました。

原口央選手は現GLADIATORフェザー級王者で高校時代にはレスリングで全国選抜3位という実績を持っています。レスリング仕込みのテイクダウンが最大の武器で、緊急参戦ながら66㎏の試合を行えることから普段から試合を想定した体づくりや練習をしているといったプロ格闘家としての意識の高さがわかります。

試合展開は原口選手が中原選手のあの強打をかいくぐって組みに行くハードな展開になると思います。イメージとしては同門の武田光司選手みたいなスタイルですね。まさにジョニー・ケースvs武田光司のようなド根性ファイトの極みのようなあの試合が出来れば原口選手にも勝機があると思います。

両選手とも関選手と戦っていますが原口選手は完封されていて中原選手は逆に完封しています。実力や実績、三段論法でいうと中原選手が圧倒的有利なのは揺るぎのない事実であり現実です。ただこういう試合こそ何が起きるかわからないのが格闘技の面白さでもあります。
またこの試合を「中原絶対勝利だ!差がありすぎて見る気も起きねぇ!」という方は仮想ケラモフとしてこの試合を見るのも面白いと思います。原口選手もケラモフ選手もテイクダウン能力が高くフィジカルも強いのでこういう選手を中原選手がどう攻略するかを楽しみに見るのも悪くはないと思います。ただ進めといてなんですがかなり穿った見方ですけどね。


⑥芦田崇宏vs中田大貴

キャラの濃すぎるフェザー級において”地味”という唯一無二の個性を持つ芦田選手と試合以外ではあんな激しい試合をするとは思えないほど好青年である中田選手の試合です。
もしRIZINフェザー級が漫画でしたら編集からキャラが濃すぎるから削れ!と言われそうなレベルの濃さですね。フェザー級はこの後もまだまだ濃い階級になりそうです。

芦田崇宏選手は元DEEPフェザー級王者でバックボーンのボクシングとBRAVEジムで鍛えられたレスリングを組み合わせて戦うオールラウンダーです。

8月には古巣DEEPで今成選手相手に再起戦を行って今成選手の下からの仕掛けにビビらずに攻め続けて勝利しました。ただRIZINでは1勝2敗と良い結果は残せていないのでここで白星を取って次につなげたいですね。

中田大貴選手はPANCRASEを拠点にしている選手で打撃を撃ちながら前にガンガン出てきて誰とでも派手な殴り合いをする格闘技に興味があまりない人でも楽しめる魅力あふれるファイターです。

RIZINではフェザー級屈指のハードパンチャーである堀江圭功選手に一歩も引かないド付き合いをして会場を盛り上げました。また元UFCの田村一聖選手に勝っているなどその実力は確かなものです。

試合展開はパンチと蹴りのプレッシャーで試合を創りたい芦田選手と前に出て打撃を当てたい中田選手のぶつかり合いになると思います。
両選手ともパンチで試合を組み立てていくタイプですがインファイトをしたい中田選手とアウトボクシングで戦いたい芦田選手でベースの距離設定が若干違いますので、ここの距離設定をどうやって自分の有利な方に持っていくかがそのまま試合の勝敗に直結しそうです。
両選手に共通して言えるのですが自分のスタイルでは無類の強さなのですがそれが崩れると修正が聞かないタイプだと思います。なので多少強引にでも相手のやりたいことをつぶす力がどれだけあるかの勝負ともいえます。

おそらく距離設定が崩れればあれよあれよと決着まで展開が動くと思うのでまさに目が離せない試合になりそうです。この試合の前にトイレに行くのが吉でしょう。


⑦梅野源治vsトレント・ガーダム

もうまともに梅野選手の顔を見れません。
「RIZIN.34」での某ヤバいだろ⁉や例のインタビューでよくわからんキャラ付けをされたのは100歩譲ってわかりますが本人がそれ乗ったらあかんでしょと思ってみてましたが、意外と本人がノリノリでびっくりしました。
はたから見てると部活の寡黙で渋い先輩がクラスでは野球部みたいなウェイウェイ言っている人間からのよくわからんイジリに当たり前のように乗って一緒にウェイウェイしている瞬間を見た気分です。読んでいる方に伝わってくれれば幸いです。

梅野源治選手はムエタイ2大殿堂の1つのラジャナムダンの元ライト級王者でありキックボクシングでもRISEの61㎏トーナメントで準優勝するなどムエタイスタイルをうまくキックボクシングに適応させた選手です。

トレント・ガーダム選手はMMAとキックボクシング、コロナ禍にはボクシングなど幅広い格闘技を行っている選手です。MMAではバックボーンのムエタイを活かしたスピード感ある打撃を軸としたスタイルで勝っています。

現在RIZINでは2戦2敗と振るっていないですが相手があの井上直樹選手と現在UFCに所属しているビクター・ヘンリー選手でどちらも競った試合をしていることからかなりハイレベルな所にいる選手であると思います。

純粋なムエタイ、キックボクシングの実績では圧倒的梅野選手で試合の展開も梅野選手がプレッシャーを掛けながら右ミドルで相手に何もさせないと思っている人が多いと思いますが、個人的にはガーダム選手のスタイルなら立ち技でも梅野選手相手にワンチャンあると思っています。
梅野選手のキックボクシングスタイルはかなりムエタイの要素を色濃く残しておりガードは高いものの顔の前は割とスペースがある構えが特徴です。

ですがこの構えですとサウスポーの対戦相手が梅野選手の左足の外に踏み込んだ左ストレートに対して構えの真ん中を抜かれる危険性があるのですが、 梅野選手は反応やハンドスピードが良い選手ではないためこの左ストレートに対処できずに多くのサウスポーにここを狙われて倒されています。
それが如実にわかるのがRISE61㎏トーナメント決勝戦での白鳥大珠戦です。結果は白鳥選手が1ラウンドに2回のダウンを獲って勝ちましたがダウンを獲った攻撃はどれも梅野選手の外を取っての左のパンチでした。ダウンシーンでは白鳥選手の足の位置に注目してみて下さい。

そしてガーダム選手は相手選手とのハイレベルな内と外の取り合いが可能な選手です。下部に「MMA言語化挑戦中」さんの井上直樹vsトレント・ガーダムのバウトレビュー動画を張りますが、この試合も両選手ともスピーディーでハイレベルな位置取りの攻防を行って井上選手が勝ちましたがそれに付き合えるガーダム選手の技術もかなり高度なものだと思います。

個人的には相性的にはガーダム選手が勝ってもおかしくはない試合だと思います。
ただ梅野選手はムエタイ経験があるとはいえ本業MMAのガーダム選手に自身の土俵であるヒジありルールで負けたらやばいでしょう。極論RIZINからまともなオファーは来ないと思いますね。次にジジと戦うのは梅野選手かもしれません。


⑧阿部大治vs田村ヒビキ

なんだかんだ今年のRIZINは定期的にウェルター級の試合を組んでいるイメージです。これは個人的な読みですが来年3~4月の大会でウェルター級の初代王者決定戦を決める試合をすると思っています。流石に今のRIZINウェルター級ストーリーで阿部選手を無視する選択肢を取るとは思えません。

阿部大治選手は現DEEPウェルター級王者でライト級でRIZINに参戦したものの減量苦によるコンデション低下を考えて本来の階級であるウェルター級に戻したら、元UFCであるストラッサー喜一選手には右腕が折れても組みにシフトチェンジするMMAでの幅を見せて勝利してマルコス・ヨシオ・ソウザ選手には組みをしのぎ切り最後はサッカーボールキックで仕留め切りました。

パワーとスピード、そしてキレの三拍子そろったワンツーと柔道出身のバックボーンを活かした大外刈りなどの局面でも相手を崩せる武器を持った選手です。

田村ヒビキ選手は現修斗環太平洋ウェルター級王者で寝技の強さやバックボーンの競技が無いからこそのバランスの取れたスタイルが特徴です。

今回は地元での大舞台ということでかなり気合が入っていると思いますので今勢いに乗っている阿部選手をここで喰ってウェルター級をかき乱してほしいですね。

試合展開は自分から攻める阿部選手がガツガツとワンツーと下段の蹴りを撃って割とゆっくりめなテンポで試合を創る田村選手がそれを受けて立つ展開になると思います。
だからこそ阿部選手は1ラウンドから仕留める勢いで攻撃を振ると思うのでそれをどこまで田村選手が凌いで後半ラウンドにグラウンドに引きずり込めるかがカギですが、今の阿部選手の勢いや打撃のキレ、柔道出身ということで四つ組みでのテイクダウンディフェンスがかなり強いため田村選手がテイクダウンをするためにはかなりハードな試合をしなければならないと思います。どこまで阿部選手の強打に耐えれるかで勝敗の風向きが変わりそうです。

おそらくRIZINが今年や来年に軸にしようとした階級であるフライ級は堀口恭司選手がバンタム級から下げるかも⁉と話題になりましたが日本人エースである平良選手はすでにUFCですし、同じくエースの神龍選手はUFC契約のためにCFFCというアメリカの団体でタイトルマッチが決まりましたのでRIZINに長くいることは難しいと思います。
ですがウェルター級は国内の選手層が薄いもののエース候補である阿部選手が上手く育っていけばベルト設立は難しくはないと思います。RIZINのマッチメイカーである柏木さんがいい感じの外国人選手を連れてきて階級に厚みを付けたいですね。エースの擁立もそうですが階級全体を太らすことも階級の維持のためには欠かせない一手です。


⑨佐々木信治vs宇佐美正パトリック

遂に格闘DREAMERSの波がRIZINにまで届いてきましたね。
自分はしっかりとは見ていませんでしたが各競技のトップアスリートがしのぎを削り合う中で素人目戦でもモノが違うと思ったのは現在UFC契約を賭けてトーナメントを戦っている中村倫也選手とこの宇佐美正パトリック選手でしたね。戦績では計り知れない強さと覚悟を感じました。

佐々木信治選手は元修斗環太平洋ウェルター級王者で現GLADIATORライト級暫定王者です。フィジカルの強さとキャリア20勝の内11の一本勝ちがある通り”極め般若”の異名を持つグラップラーです。

ちなみにRIZINでの解説や浜崎選手の師匠として知られている藤井恵さんの旦那でもあります。

宇佐美正パトリック選手は極真空手世界3位、中学ではボクシングU15全日本大会を連覇、高校では6冠を取り世界ユース大会では銅メダルとまさに立ち技エリートの選手です。
勿論ボクシング技術はとんでもなくパンチの威力やスピード、キレもさることながらMMAでは打つ選手が少ないアッパーやボディ打ちを難なく使ってることからも上手く自分の打撃をMMAに適応させています。

また空手の経験もある事からローで牽制してハイを撃つといったようなパンチだけではない組み立ても出来る、現在22歳で戦績も5戦4勝1敗ですがすでに国内ライト級ではトップクラスの打撃を持っている将来が非常に楽しみな選手です。

試合の構図はグラップラーの佐々木選手とストライカーの宇佐美選手の当てるか極めるかの勝負になりそうですが、カギは契約体重と宇佐美選手のスタイルです。
今回の試合は75㎏契約ですがこれはウェルター級でも試合経験がある佐々木選手の有利材料であり、さらに寝技が不得手である宇佐美選手側が軽いため組み技勝負になった時にフィジカルの差で勝てないという展開が出る可能性がかなり高いと思います。
そして宇佐美選手のスタイルですが直近の試合である太尊信光戦では先ほどの菅原戦とは違ってステップや蹴りを使わずに足を付けてパンチ主体のスタイルに切り替えていました。この構えの場合はパンチの攻防には強いものの、相手と近距離で戦わなくてはいけないので苦手な組みの攻防をするリスクを常に背負うデメリットがあります。

個人的に宇佐美選手のスタイルは菅原戦で見せた空手×ボクシングのスタイルが1番強いと思います。
基本はステップで移動しつつ遠距離ではハイで牽制したり前蹴りで距離を測り、中間距離ではローキックや飛び込んでの右のパンチで相手にプレッシャーを掛けます。そして近距離では前蹴りで相手を横に逃げられなくした後にフックやストレートといった仕留めるパンチで倒します。またすべての攻撃が強打なので相手は打撃戦をやっているだけでスタミナが削れていったりプレッシャーをかけられて主導権を徐々に取る事も出来ます。
このスタイルで重要なのは前蹴りです。近距離の前蹴りは相手を動かさないためのモノですが、遠距離の前蹴りはおそらく前蹴りが当たる距離=飛び込みのパンチが当たる距離ですのでここの緻密な距離設定が超重要です。この距離設定の感覚をアマチュアボクシング時代に培った距離設定の感覚を応用することであれだけ良い距離で打撃戦が出来るのだと思います。

この試合は日本ライト級の未来のエース候補である宇佐美選手にわかりやすいグラップラーである佐々木選手をぶつけることでどれだけの器の持ち主かをRIZINに示せるかといったテーマだと思います。
現在サトシ選手の絶対王政が続いているRIZINライト級ですがそこにその剛腕で風穴があけば面白いですね。ただ王者のサトシ選手との相性が鰻と梅干しくらい悪いので、RIZINは食べ合わせをうまく考えたマッチメイクで宇佐美選手を育ててくれることを祈ります。


⑩武田光司vsザック・ゼイン

武田選手は「RIZIN.37」からの3か月未満の参戦、ザック・ゼイン選手は9月に行われたトライアウトから2か月ちょっとでの参戦とあまりにもスケジュールがぎゅうぎゅうでちょっとびっくりしています。

武田光司選手は元DEEPライト級王者でレスリング力と外国人選手とも当たり負けしないフィジカル、試合でどんなに劣勢でもあきらめない根性を武器に強豪外国人が多いRIZINライト級のトップ戦線で日本人エースとして頑張っています。

ザック・ゼイン選手は9月に行われたRIZINトライアウトでRIZINとの契約を勝ち取った選手です。荒々しい打撃とキャリア15勝のうち10勝の一本勝ちをしている寝技が武器です。ただ1つ1つの技は強いものの技のつなぎ目が粗く格下相手にもピンチになる場面は多いですがきっちり勝つ地力も持っています。

またRIZINが最近やり始めたデプスインタビューという企画でそのハードな人生と格闘技への情熱を語ってRIZINファンから一気に人気を得ました。

このデプスインタビューの良いところは翻訳でのラグが無いところですね。いかんせん今のワールドワイドな時代でも言語の壁は厚く日本人ファンが外国人選手の人となりを知るのはかなり難しいのですが、こういう企画があると初参戦の外国人選手にも感情移入がしやすく一気に楽しみが増えるのでどんどんやってほしいです。

正直実績的には元UFCで4勝2敗だったケース選手に勝った武田選手と海外ローカル団体で勝ってるもののDWCSやEFCといったレベルの選手には負けているいわゆる実力査定人であるゼイン選手というマッチアップですので、武田選手は圧倒的に勝たなければいけない試合ではあります。
しいて言うなら武田選手がゼイン選手の荒い打撃を嫌がって無理くり組んだところに下からの寝技で一本を獲られるのが怖いですね。逆にゼイン選手はそれを狙ってくると思いますがなんだかんだ激しい打撃戦で落ち着きそうな気がします。


⑪矢地祐介vsボイド・アレン

おそらくRIZINでは初の南アフリカからの選手です。ワールドワイドにもほどがありますね。RIZINでアフリカ系の選手と言ったらスリナム出身で現在はUFCにいるジャルジーニョ・ホーゼンストライクが思い浮かびます。

矢地祐介選手は2021年では泥沼の連敗ロードから脱出してタイトルマッチまでたどり着いたものの現在は2連敗とまた泥沼がちらつき始めるシチュエーションになってしまいました。勢い全開だったRIZIN初期とは違い現在では蹴りと組みを合わせて相手との適切な距離を創り相手の光を消す丁寧なMMAスタイルになっています。
ここからまたライト級トップ戦線に絡めるかが注目です。

ボイド・アレン選手はMMAとボクシングの二刀流の選手です。スタンドではボクシングで培ったパンチで丁寧にジャブで間合いを制してグラウンドでは10個の一本勝ちがある寝技の強さで相手を仕留める経歴では考えられないほどのオールラウンダーな選手です。

試合のカギはボイド選手が作ったパンチの制空権を矢地選手が突破できるかだと思います。
矢地選手としてはカーフキックとジャブの差し合い、四つ組みで勝負するプランだと思いますが、ボイド選手はジャブが上手くて組み技が強い選手なので近距離戦や組み技でのワンチャン全局面負ける可能性があるのが怖いですね。
個人的に見たいシーンとしてはRIZIN初期のオラオラ時代のメイン武器であった右フックで無理やり前に出てほしいですね。今の矢地選手はオールラウンダー相手には勝ちやすいでですが1つ秀でた武器を持つ選手には弱いスタイルですのでそういう相手に勝つための一発逆転の秘策としてまた昔みたいに使ってほしい気持ちがあります。

ボイド・アレン選手にしてもそうですがRIZINはこういう知名度がほぼない強そうな外国人選手の発掘が上手いですね。ただグスタボ選手やケース選手の時もそうですがこういう相手はとりあえずヤッチ君を当てる風潮は正直どうかと思います。武田選手と相手をチェンジすればもっと面白い試合になるだろうなぁと思った方は少なくないでしょう。
きつい相手やよくわからん相手ばっか当てられますが大会の出場機会はめちゃめちゃ多いというRIZINとヤッチ君の関係性はDV彼氏とその彼女みたいですね。


⑫スダリオ剛vsヤノス・チューカス

いわゆるセミメインの立ち位置であるこのカードですが、普通のMMAの団体なら多分このカードはもうちょっと下に組まれると思うんですよね。ただこれだけのメンツを抑えてスダリオ選手がセミメインの位置で試合をするのはRIZIN運営やファンの期待感の表れだと思います。

スダリオ剛選手は元十両力士で相撲で鍛えたフィジカルや腰の重さ、ヘビー級ではトップクラスのスピードを持つおそらく現在の日本人ヘビー級最強選手です。正直あのスピード感ある打撃に組み負けしない技術とフィジカルは夢を見てしまいますね。日本人初UFC王者は案外ヘビー級かもしれません。

ヤノス・チューカス選手は7戦7勝全フィニッシュという素晴らしいレコードを持っている選手です。両こぶしに爆弾と評されるパワーパンチを持ちながらもタックルで相手を寝かせることもできる隙の無いファイターです。

戦績的には似ている両者ですが実はチューカス選手のキャリアはほとんどの相手が1勝もしていない格下なので正直実力の大まかな予想すら難しいです。パンチ力は噂通りですが相手の攻撃をまっすぐもらってしまう印象です。スダリオ選手のパンチにまっすぐ下がってしまったらコンビネーションの2発目にそのまま当たってそのままKOの危険性が高いので、いきなりチューカス選手が前に出たり腹をくくって打ち合い上等のタフファイトを仕掛けてきてもおかしくはないと思います。

いかんせん現在のヘビー級事情は有望株の選手は海外団体に青田買いされている状態ですので国内やローカル団体から海外選手を連れてくる手法では底が見えてきそうです。スダリオ選手は来年あたりにBellatorの戦績が浅いヘビー級選手との試合が見たいですね。
日本の元相撲取りがMMAという現代のコロッセオでどこまで昇るのか、バキの板垣先生やケンガンアシュラのサンドロビッチ・ヤバ子先生に漫画にしてほしいです。


⑬牛久絢太郎vsクレベル・コイケ

クレベル選手がRIZINに来てから約2年です。RIZINフェザー級は朝倉未来選手が階級の装丁をして斎藤裕選手が中身を面白くした、そしてクレベル選手が来たことで階級を真の意味で設立したと思っています。堀口選手がバンタム級を成立させたのを3人の選手がそれぞれの持ち味で行った感じです。
ただそれを全部持って行ったのがストーリーに一切絡んでこなかった牛久選手というのが格闘技の筋書きのないドラマ感を際立たせて面白いです。

牛久絢太郎選手は現RIZINフェザー級王者で現DEEPフェザー級王者でもある選手です。RIZINには初戦で斎藤裕選手とのタイトルマッチで勝利して番狂わせを起こして、そして防衛線で斎藤選手のダイレクトリマッチを王者として堂々とした試合運びで防衛に成功しました。

以前は無類のスタミナでスクランブルのガチャガチャした展開をずっと行うだけの選手でしたが、RIZIN王者になったことで正に一皮むけて課題であった打撃でスイッチを使って相手に的を絞らせず必殺の飛び膝やハイキックのプレッシャーで相手を削る今の強いスタイルを身に着けたことで自身の目指していた到達点のMMAが完成したといっても過言ではないと思います。

クレベル・コイケ選手は元KSWフェザー級王者でRIZINでは5戦全勝ALL一本勝ちでタイトル挑戦権を掴みました。
まさに次元の違う寝技技術に怪物くんこと鈴木博昭選手から打撃技術を取り入れたことで牛久選手とは違う意味であらゆる場面で隙のない選手です。

打撃をもらってしまうのが玉に瑕ですが、圧倒的な寝技技術のプレッシャーで相手にそれ以上追撃をさせずにその間に自分は体力を回復させて一本を獲る流れが出来ているあたり誰もこのスタイルを攻略できていないクレベル選手のヤバさを感じますね。

この試合のカギはシンプルに牛久選手のクレベル選手対策です。
クレベル選手のスタイルは誰が相手でもローや前蹴りを蹴ってパンチを振りながら前に出てタックルや四つ組みからの引き込みで寝技に行って一本を極めるいつものスタイルを貫くので、牛久選手がどうやってクレベル選手を攻略するかが試合の勝敗に直結すると思います。
過去のRIZINでクレベル選手と戦った5人の選手は大まかに3タイプの攻略法のどれかで戦いました。

➀中間距離のパンチを軸とした打撃戦でクレベル選手を近づけさせずに戦う→カイル・アグォン、朝倉未来、佐々木憂流迦
②あえて危険な距離の打撃戦をして相手をKOする
→萩原京平
③テイクダウンして寝技で上を取って削る
→磨嶋一整

そしてこの中で牛久選手が選ぶとしたら➀と③に蹴りを合わせるプランだと思います。
クレベル選手対策の基本として寝技をさせないためにクレベル選手を近づけさせないという事がありますが、そのためにはまず打撃戦でクレベル選手が容易に近づけず自分は削ることが出来る間合いを作らなくてはなりません。そのためには蹴りで試合を創る必要があります。
牛久選手はスイッチを多用して蹴りで試合を創るスタイルですので、立ち位置や角度を工夫したり蹴りの種類で翻弄したいですがこのプランですとクレベル選手に蹴り足をキャッチされて寝技に移行する危険性もはらんでいます。ですので➀の選手はみんな蹴らなかったんですね。
それでもリスク承知で蹴ってくると個人的には思いますね。牛久選手陣営は寝技のエスケープに関しては牛久選手の師匠である”逃げ十段”こと横田一則さん直伝の技術があるためこのプランを選ぶと思います。

そしてどこかのタイミングで③をすると思います。
磨嶋選手との試合を見てるとクレベル選手はテイクダウンディフェンスをあまり重視していません。あの寝技の実力があるのでテイクダウンを切るよりもどんなタイミングでもいいから寝技に移行する方が合理的です。
そのためテイクダウンや上からの押さえつける攻防に関しては結構付き合ってくれますので、牛久選手が時間を使いたい場面ではあえてテイクダウンをするのではないかと思いますね。

ただこれらの対策を全部無視してあざ笑うかのようにポペガーかましてくるのがクレベル選手の強さで今回の試合もいつものようにあっさり一本勝ちをする可能性も大いにありますので、本当にこの試合はどっちが勝つかわからない非常に面白い試合になる思います。

「RIZIN.39」はいわゆるエンタメカードよりもガチめのカードが多い印象です。だからかBREAKING DOWNの盛り上がりや「超RIZIN」がふたを開ければ求められてたタイプのガチカードではなかったりが理由で、最近やたらと「RIZINは国内MMA団体の頂点だからこうあるべきだ!」とご高説垂れる人が増えてきた気がします。

タイトルにもありますが筆者はRIZINは”玉石混交”の団体だと思います。
玉の中に石が混じるというよりはRIZINは全部玉で出しているが観客の価値観の多様性が理由で同じカードでも玉に感じる人と石に感じる人がいるということです。朝倉未来vsフロイド・メイウェザーは良い例ですね。
正直RIZINのあのスタイルは多分誰が何と言おうと変わんないです。ですので自分が石に感じるカードを叩くよりも自分が思う”珠”について注目することがRIZINと長く付き合っていくコツだと思います。自分の思う”珠”を信じて貫いてください。


⑭おわりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか!
このRIZIN.39の視聴は今からでも間に合いますので、下部のリンクから自分の都合の良いPPVを買ってみて下さい!

この記事や今までのnoteに対しての感想や意見はドシドシお待ちしていますのでコメントやTwitterで反応や拡散をしていただけるととてもうれしいです!泣いて喜びます!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?