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調子に乗っている友達の話

あまり気持ちのコントロールが上手ではなくて、何があったわけでもないのに勝手にものすごく落ち込んでたくさん寝て過ごしてしまったり、かと思えば何もなかったかのように元気になったりと、忙しい日々を送っている。

昔はそんなこともなかったのに、ここ1年くらいでだんだんとこんなことになってしまった。「大人なんだから、自分のご機嫌くらい自分でとりなさい」と自分自身に言い聞かせてはいるんだけど、ご機嫌取りとはなかなか難しいものだ。

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このまえ、ちっちゃな催し物があった。そこで、同じ世代のある友達と会った。

彼は世間一般の同世代が「歩くべき」とされているのとは少し違う道を歩いているんだけど、自分のやりたいことをやって、しかもそれでお金を稼いでいるようで、なんだかとても楽しそうだった。もちろん大変なこともあるだろうけど、ものすごく楽しそうだった。自分のやりたいことをやって、言いたいことを言って、生きたいように生きている。

私はそれを見て、「こいつは本当に調子に乗ってるな」と思った。だって、本当に調子に乗っているようにしか見えないのだ。なんでかよくわからないけど、なんか人生とても楽しんでいるっぽかった。知らんけど。

でも、腹が立ったわけではない。むしろものすごく気持ちがよかった。とても気持ちがいい調子に乗ったやつだと思った。

その前日、じつは私はとても調子が悪かった。調子が悪くて、1日中寝ていた。別に重大なことがあったわけではなかったけど、とてもふさぎこんでいてやばかった。

“調子に乗っていた彼”は、おもしろくて、かろやかで、とても楽しかった。「これくらい調子に乗って生きてもいいんだなあ」と思った。帰るころには、なぜか私はとても元気が出ていた。前日の死にそうだった気持ちは不思議と消えた。

自分みたいに調子の悪いやつは、理由がなくとも、ちょっと調子に乗って生きるくらいがちょうどいいのかもしれない。ちょっと調子に乗ったとして、マイナス値がやっとゼロになるくらいだ。「調子に乗る」というとなんだか悪いことに聞こえるが、薬物療法と同じで、使う人によってはむしろプラスに働くのかもしれない。

調子に乗ると、調子がよくなる気がする。たぶん健康にいいのだ。

とても気が楽になった。言いたかったのはそれだけだ。

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