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-山の神- 年に3日、山へ入らない日。

今日は「山の神」。

正五九月の十六日、山の神様が木を数えます。山へは入らず、木は切らず。日頃の恩恵に感謝し、明日からの安全を祈願します。

…と、いうことで今日は何かを作った話ではなく、風習のお話です。

山仕事をしていると、大切にしている日が年に3日間あります。

それが、「山の神」の日。

地域によっても異なりますが、この辺りでは「正五九月の十六日」。

つまり、1月16日、5月16日、9月16日の三日間が「山の神」の日です。

この日は、山の神様が木の数を数えます。

1月は朝に、5月は昼に、9月は夕に。

そのため、この日に山へ入っていると山の神様に木と間違われて数えられ、山から帰って来られなくなります。

この日ばかりは山仕事も、狩猟もお休みです。山へは入らず、朝から山の神様に感謝の御神酒を捧げ、あとは集落の各家に集まって宴会でもしながら過ごします。

…まぁ、なんて素敵な日。のんびり過ごしましょう。

と、言いたい所ですが、山へ入るなと言われると退屈なんですよ(笑 なんせ、この3日間以外は362日間、山入ってます。猟師・木樵・炭焼き…「山の神」を大切にしないといけない生業、全部当てはまります(笑

日頃沢山の恩恵を頂いてるので、この日くらいは山の神様に感謝しないとバチがあたりますね。

山は食べ物や燃料、建物、仕事、色々なものを分けてくれます。もちろん、山から何かを分けてもらうには、そのための術が必要で、まだまだ僕自身もその術が未熟で、時には怪我をすることもありますし、山へ入っても自らの術が未熟なために欲しかったものが手に入らない事もあります。

それでも、ここ数ヶ月は毎日山へ入っても大きな怪我をする事もなく、たくさんのものを山から分けて貰いました。山の神様ありがとう。

…今日はそんな事を、普段一緒に山仕事をしている集落の爺さん達と集まって話してた一日でした。

山で仕事をする人も減った昨今では「山の神」なんて風習も聞かなくなりつつありますが、皆さんの身の回りにも木材や、山菜や、風景、山の神様から分けて貰ったものは沢山あると思います。年に3日「山の神」に感謝すると何かいい事があるかも知れませんよ。

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「山の神」は地域によって様々な風習があります。この辺りは16日ですが、8日や12日という地域もありますし、春になると山の神が、山から降りてきて田の神となり、秋には再び山に戻るという来訪神としての信仰を重要視される地域もありますね。あ、でも山の神様が女性の神様だってのはわりと全国共通してるのかなぁ。あとオコゼの話。日本むかし話でもありましたね(笑

あと、狩猟も地域性の高い文化ですが、山の神様から獲物を授かった時に御神酒を捧げるとか、地域によって様々な風習がありますね。昔この辺りでは心臓を供えて、腹を出した猪の前後足を持ってパタパタ音を鳴らす。なんてのがあったそうな。他には空に向けて空砲一発を鳴らす、なんてのも。今ではもう数人の猟師しか知らない風習です。

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余談が長くなりましたが、明日からもまた山で遊んでおります。山の神様、明日からもよろしくね!

でわでわ、また何かつくったらこちらに投稿します。