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-玄翁の柄- 材料を山から選ぶお話。

朝から暖かい雨の一日でした。

特にやることも無かったので、「玄翁の柄」をつくりました。

玄翁(ゲンノウ)。トンカチ。ハンマー。…の、握る所です。

3月になると椎茸の駒打ちの季節。一年で一番たくさん玄翁を振る季節です。なので、それに合わせて毎年、秋の終わりころか今頃に玄翁の柄を作ってます。別に毎年作らなくても、一生に数本あればいいんですけど、人にあげたり、気分転換もあり、結局毎年作っています(笑

さて、そんな「玄翁の柄」に最適な材料。山には色んな木があります。ホームセンターなんかに売ってる木の柄だと「樫(カシ)」が多いですね。

他にも山にある材料だと「梅(ウメ)」「柞(イスノキ)」「山桑(ヤマグワ)」「鼠黐(ネズミモチ)」「山桜(ヤマザクラ)」「蜜柑(ミカン)」「栗(クリ)」「柚子(ユズ)」「琵琶(ビワ)」…などなど。

…はい、ここで気が付いた方は野遊びの才能があります(笑 

「実のなる木」が多いですね。まぁ、玄翁の柄くらいだと短いので何でもいいと言えば何でもいいのですが、せっかくならいい材料を選びましょう。

玄翁の柄として最適な木はこちら。「山茱萸(ヤマグミ)」。この辺だと単に「ヤマグミ、グミノキ」と呼ぶけど、正式名称だと確か「苗代茱萸(ナワシログミ)」かな。注意して山を歩いていると割と何処にでもありますね。

グミで柄を作ると「適度に硬く、しなりがあって、手汗を吸う」ので玄翁の柄には最適なんだそうです。「山茱萸(ヤマグミ)」の筋の良いもの(なるべく真っ直ぐなもの)を見つけたら水分の少ない「秋以降の寒い季節」に切っておき、そのまま一年以上乾燥させます。

作り方は簡単。切って、削って、磨くだけ。ひたすら削りましょう。早く丁寧に作りたい方はベルトサンダーなんかを使うといいです。

削ると少し黄色かかった綺麗な色です。特に匂いはありませんが、とても良い手触りです。一番右(一番下)は去年つくった柄。長く使えば少し色が落ち着いて艶が出てきます。

大工道具でも高級なものだと玄翁やノミの柄にグミを使っていますね。

…と、いうことで完成。「山グミの玄翁の柄」。

下は猪を解体する時に使う骨叩き。

山でいい山茱萸を見つけたらぜひ取っておいてください(もちろん地主さんに断ってね)。いい玄翁が出来ますよ。

(おまけ)

他にも山には色んな用途の木があります。これは「烏山椒(カラスザンショウ)」山でよく見かけるトゲトゲの大木。あれ。昔は桐の代用品として下駄の材料なんかに使ったそうですね。

この辺の爺さん達がカワタビ(タンポス)と呼ぶ木。樫と同じ位いい炭が出来るということで、昔はこの辺でも炭焼きに使ってたそうです。葉からでる白い液は昔は魚の目の薬。枝はしなやかさがあるので玄翁の柄にしていたそうな。正式名称はたぶんイヌビワ(イタビ)かな。

これは「樫(カシ)」でつくった鉈の柄。玄翁と違って、斧や鉈など、こういう長い柄は木目の通り方も考える必要があるので、それはまた別の機会に書こうと思います。

でわでわ、また何かつくったらこちらに投稿します。