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2021.12.19 天皇杯決勝観戦記

天皇杯決勝のチケット安くて6000円は高いなぁ……今年は大人しくTVで観戦するか。

そう固く思っていた。だけど、天皇杯決勝が開催される時、俺の体は国立競技場のスタンド席にあった。

遡ること1週間前、等々力で行われた天皇杯セミファイナル。川崎フロンターレvs大分トリニータの一戦。
J1の絶対王者にJ2降格チームが挑む構図、ホームチームが圧倒的優勢の見方と思われていた。が、90分間すんでのところで猛攻を耐え、延長戦で先制されながらも後半ATに同点。そしてなんとPK戦でアウェイチームが勝利を収めたのだ。

その年の降格チームが超強豪チームに勝利する。試合内容やユニフォームの色合いが12-13のFAカップ決勝、マンシティ-ウィガンの一戦を想起させるような試合だった。これが「決勝でトリニータの勇姿を見たい」と思った最後の決め手となった。

最後の決め手と敢えて言ったのには勿論理由がある。それはトリニータの2010年代の戦績を見ればすぐに合点が着く。2013年にホーム未勝利でJ2降格が決定した後、2年後にまさかのJ3降格が決定。J1経験チームとしては初の屈辱であった。そんなどん底の状況の中、監督に就任したのが片野坂知宏監督である。就任1年目、理想と現実の乖離に苦しみながらも至上命題のJ3優勝とJ2昇格を達成、2年後の2018年にはJ2で2位となり昇格。翌年、久しぶりのJ1の舞台で快進撃が続いたのは言うまでもないだろう。

2018年シーズン、大分と共に昇格(J2優勝)を果たしたのが松本山雅FC。ご存知の通り、1年でJ2に逆戻りするとその後昇格争いに全く絡めず、大型補強で昇格候補とされた今季は誰もが予想だにしなかった悪夢の最下位。J2降格後2年でのJ3降格を喫した。J1経験チームとしては大分に続いて2クラブ目。そう、境遇が酷似しているのである。

話が逸れてしまったので戻すことにする。とどのつまり

  • ここ数年の山雅と同じようなルートでJ1からJ3を経験した前例クラブ。そこからV字回復のトリニータ先輩が天皇杯決勝に進出

  • 2段階昇格でチームをJ1に押し戻した片野坂監督のラストマッチ

  • 対戦相手もリカ将1年目でのタイトルを狙い、阿部勇樹の引退、槙野や宇賀神の退団が決定していた浦和レッズ

このように様々な要因が重なったことで、国立決戦を現地観戦する運びとなった。


インターバルの1週間でなんとかチケットを入手し、迎えた12月19日の天皇杯決勝当日。肌寒さは感じられたものの、雲ひとつない快晴。

肌寒さは感じられたものの、雲ひとつない快晴。決勝に相応しい舞台。旧国立時代に何度か足を運んでいたが、改修後初めて目の当たりにした国立競技場は、何もかもが違って見えた。

3層メインの最前列。「国立の座席は狭すぎる!」みたいな声を多数聞いてたけど、さほど窮屈じゃなかった。あと、陸スタってこんなに見やすかったっけ?と疑問に思う程によく見えた。ぜんぶ1列目のせいなのかどうか一概に判断し難いが、便器だのなんだの言われた割には、個人的に満足度は高かった。

両チームのコレオ。やっぱり浦和の方は圧巻だね。あのサポーターの熱量は日本トップクラスだと思う。この写真だと見づらいけど大分は2008→2021らしい。ナビスコで優勝したのが多分その年。主要カップ戦ではそれ以来の国立、ってことなのかな?めっちゃくちゃ邪魔くさいゲートの存在を感じさせなかった気がする。でもやっぱりあれどうにかならないのかね。

キックオフ。

国立、お前久しぶりだなぁ……
なんて久しぶりの聖地での観戦に浸ってたら早速試合が動いちゃったよ。レッズ先制。

(写真撮るのは逃さないマン)

この後は前半はなんとなーくで終了。先制点を早い時間に取ったこと、相手に殆ど何もさせなかったレッズが間違いなく優勢だった。後半トリニータどうするんやろなぁ。。なんて思いながら後半へ。

後半はトリニータが巻き返してきた。前半と比べて明らかにチャンスを作る、が、あともう一歩。レッズの方も好機は作るも相手のナイスセーブに阻まれたり、ネットを揺らすもオフサイドの判定だったり。膠着状態が続く中時間だけが過ぎていく。

このままレッズ優勝かなー。なんて思っていたら、ついにトリニータが同点に!!!!90分!!!!準決勝に引き続き土壇場でのゴールに湧き上がる大分ゴール裏。

これで延長行くんだろうとさすがに思わざるを得なかった。が、これで終わりではなかった。90+3分、レッズが勝ち越し。本当に一瞬何が起きたか分からなかったし、ディフレクションで仕方なかったのかなぁなんて思ってたけど槙野が触ってコース変えてた。これがエンターテイナーなのか。

そしてそのまま試合終了。2-1で浦和レッズが天皇杯優勝。おめでとう🎉

大熱戦の余韻が残る中での表彰式。

印象的だったのはこのシーン。表彰式の準備中、トリニータの選手と監督とコーチとが円になって何か話してた。何話してるんだろうなぁ、なんて当時は思ってたけど後にこんなことが話されてたそうで。

6年間の集大成、最後の試合の後にこれを語るのカッコよすぎないですか!?


J3に落ちて地獄を味わった大分がここまでずっと頑張ってきた結果、J1復帰、天皇杯で決勝まで勝ち上がった。そして現在、J3へ降格し彼らと同じ境遇に立ってしまった山雅。はここからどうやって這い上がっていくのか。このまま下降の一途を辿ってしまうのか。

「奇跡のクラブ」と評され他クラブから羨望の眼差しが絶えなかった時代はもう終わり。ここからが本当の勝負。頼むぞ山雅。



天皇杯決勝、近年稀に見る大激戦で感動した。行ってよかった。


P.S.
2021年、様々なことがありましたがとにかくお疲れさまでした。来年こそは昔の日常が帰ってくることを懇願してこの記事を締めさせて頂きます。

それでは、良いお年を。

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