見出し画像

「シー・ラヴズ・ミー」

はじめに

まず大きな感想としては、ミュージカルらしいミュージカルだったなという感じです。ダンスシーンもあまり多くはなく、時代背景もありますが古風な雰囲気のミュージカルでした。
翻訳や演出を担当された萩田さんも仰っていましたが、シーラブは恋というよりはジョージとアマリアはもちろん、周りの人間たちを含めた、愛の物語でしたね。
ジョージとアマリアが結ばれのは見る前から分かってはいますが、どんなやり取りを経て、二人の関係がどう進んでいくのか?といった過程がドキドキハラハラで。ジョージと周りの人物達とのやり取りに、客席から笑いが起こることもしばしばありました。そういった過程をみんなで見守る、コミカルで楽しいミュージカルでしたね😌💭
あと、薮くんの表情表現がとても豊かでしたね。真面目な表情はもちろんですが、ニコニコ顔、ぴえん顔、イラつき顔、困惑顔、などなど。お顔の表現力が凄かったです✨

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

キャラクターについて

✓ジョージ・ノワック(薮宏太)
本作の主人公。香水屋の店員。
15年もお店に勤めている。
新人店員のアマリアとは犬猿の仲で、顔を合わせればいつも言い合いをしている。
新聞で募集して出会った文通相手に思いを寄せている。

✓アマリア・バラッシュ(綺咲愛里)
仕事を探してマラチェック店まで単身突撃。
素直な性格だが、興奮すると周りが見えなくなる一面も。
見事新人店員となり店で働き始めるが、ジョージとは犬猿の仲でいつも喧嘩ばかり。
新聞の広告で出会った文通相手に想いを寄せている。

✓イローナ・リッター(宮澤佐江)
マラチェックで働く女性店員。
コダリーと交際中だが、遊び人のコダリーにいつも振り回されている。
図書館などの静かで真面目な場所は苦手な様子で、賑やかな空間を好む。

✓アルパッド・ラズロー(竹内將人)
お店の配達員。
明るく元気で前向きな男の子。
店を手伝いながら、仕事を楽しんでいる。
店員になることが目標のようで、働きぶりを店主のマラチェックへのアピールすることも多い。

✓スティーブン・コダリー(岡田亮輔)
マラチェックの男性店員。
イローナと交際中。イローナの他にも付き合いのある女性が多く、かなりの遊び人。
店ではあまりほかの店員から好かれてはいない様子。

✓ミスター・マラチェック(岸祐二)
香水店の社長さん。
ジョージの女性関係を心配したり、アルパッドの面倒を見たり。
ちょっと口うるさいところもあるけれど、本来は面倒みの良さそうな性格。
でも、妻の不倫を疑っていて…??

✓ラディスラフ・シーポス(坂元健児)
ジョージの同僚の男性店員。
少し小狡いところがあったりもするけれど、平和にみんなと仕事をするのが好きな様子。
登場人物の中ではいちばん人間味が溢れているかも。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第1幕について

お話の進みとしては、1幕でようやくあらすじが終わるという感じでしたね。
1幕序盤から終盤にかけて、マラチェックさんの言動や態度がどんどんどんどん変わっていくのに正直困惑しながらお話を、見ていました。
あまり女性関係の噂がないジョージのことを心配してやったりしていたのに、お話が進むにつれてどんどんジョージへの当たりが強くなっていきます。
ジョージとアマリアとの関係が進んで行くことはもちろんですが、マラチェックさんとジョージの関係性もどんどん変わっていきますし、目が離せないストーリーでした。
ここからは印象に残ったシーンを、少しの感想と共にいくつか書き残しておきます。

◎お客さま退店時の挨拶
劇中でお客さまが退店された時に、マラチェックの店員が全員で声を揃えて言う「サンキューマダム またお待ちしております マーダーム⤴︎︎︎」というセリフがあります。これがまた大変かわいらしく、聞く度に毎回ニコニコになってしまいました。
スタッフ全員が正面を向いてニコリとご挨拶。それは例え、揉め事が起きていても。何が起きていたって、このシーンだけはみんな必ずニコリとしてます。それが何だかおもろしくて。聞く度に「きた!」となってました(笑)
あとここ!双眼鏡で顔面ロックオンポイントです。みんなお顔が本当に美しいし、可愛らしい表情をされています🤭

◎衣装替え
さすが香水店の店員さんたちと思ったのが、衣装チェンジの多さです。シーズンやシーンに合わせて、主要キャラクターの様々な衣装替えが見られました。
特にジョージの衣装替えは、スーツやコート、ハットの色もガラッと変わるので、かなり雰囲気の変化が感じられて楽しかったです。

◎女性に不慣れなジョージ
マラチェックさんに女性関係を心配されてる時には少しオドオドとしており、困ったような表情がとても良かったです。
また、イローナと曲中にダンスをするも、イローナの腰にも触らないようにしてるのが女遊びの激しいコダックとは対照的で。女性に耐性がなさそうな感じの仕草が多かったですね🤔💭

◎アマリアの登場
仕事を探してマラチェックまで乗り込んできたアマリア。ジョージはもちろん、マラチェックさんにもはじめは全く相手にされていませんでした。
けれどハチャメチャな接客で、なんと売れないと思われたオルゴール箱を売ることに成功。それをマラチェックさんに認められ、なんとかお店に迎え入れてもらえました。
ここのシーンの前に、オルゴールが売れるかどうか、マラチェックさんと賭けていたジョージ。まさかの売れてしまい、すごく悔しがりながらマラチェックさんに賭け金を払ってのがすごく可愛かったです😆

◎犬猿の仲
晴れてマラチェックの新人店員となれたアマリアでしたが、ジョージとの仲はとにかく最悪。顔を合わせればとにかく言い合いをしていました。ジョージは直接嫌味ったらしい言い方でアマリアを責め、アマリアは周りにジョージの悪口を言いふらす、といった具合です。
ただ、この行動を取るのはお互いにだけであり、2人ともほかの店員とは問題なく接している様子。萩田さんも仰っていましたが、やはりこの2人は似たもの同士なのでしょうね。だから気に食わなかったのかも知れません。この時からお互いに特別な感情を持ち合わせてはいたんですね。

◎マラチェックさんとジョージ
はじめはジョージを心配していたマラチェックさんでしたが、話が進むについてどんどんジョージへの当たりが強くなっていきます。
ジョージは頑張っているのに何故…?と思ってしまうほど、マラチェックさんの当たりは酷かったなと思いましたが…🌀
パンフレットを読んで納得しました。仕事と私事を混同するのはまた違うとは思いますが、妻の不倫相手だと思えばああもなってしまうのかもしれません。ジョージはジョージで、あまりの対応に仕事を辞めるところまでいってしまいましたし…

◎募る想い
想いを寄せる相手とカフェで待ち合わせることになったジョージとアマリア。2人とも想いを寄せる相手に会うという事で、服装にも気合いが入っていました。この時のアマリアちゃんの衣装が大変可愛らしいので、ぜひ注目して見てみてくださいね🤭
2人とも初めて会うことに興奮はしているのですが、相手の想像と違うと思われるではないか?と心配していました。ちょっと盛ってやり取りしてるのも可愛いですね。
劇中でジョージが「あと10時間と3分2秒!」と会うまでの時間を話してくれるのですが、秒数まできっちり数えてるのがなんとも可愛らしい。緊張が伝わってきますね(笑)

◎アマリアとイローナ
クリスマスのラッピング中、アマリアが今夜文通相手と会うことを告白。2人は新聞の広告で出会った事が明かされましたね。アマリアの紡ぐ言葉たちから、文通相手のことを強く思っているのが伝わってきました。
また、このシーンは2人の掛け合いがとても楽しくて。それぞれの想いを、各々歌っています。ここ、どっちも聞き取りたかったのですが、やっぱり失敗しました。リベンジします🔥

◎ジョージの退職
「やめちゃダメ〜!」というシーポスの説得に一度は納得したものの、マラチェックさんからのあまりの扱いに、ジョージはついに仕事を辞めることになってしまいました。
15年もあのように真面目に仕事をして、理由も分からず、上司にあんな態度を取られるのはしんどいだろうな、と勝手に悲しくなりました…
ジョージが店を出ていく時、シーポスやイローナをはじめ、店員達も落ち込んだ様子を見せていました。信頼され、大切に思われていたのでしょうね。ジョージのそんな姿が何だかやるせなくて、すごくモヤモヤしたシーンでした。

◎カフェで待ち合わせ!だけど…?
お互いに赤いバラを用意し、カフェで待ち合わせることになっていたジョージとアマリア。ですがジョージはあまりの一日に自信を失い、シーポスに手紙を託して自分は行かないつもりでいました。
彼女が待ってるのにそりゃないだろ!?と思っていたら、シーポスが「男の子だろ!」と、ジョージにひと声。ナイスシーポス︎👍🏻
一方その頃、カフェで1人ぼっちで文通相手を待つ一途なアマリア。’’人生をかけた’’とも語っており、アマリアの想いの強さが窺えますね。

◎文通相手の発覚
シーポスに押され、文通相手を確認しに行くジョージ。なんとびっくり、相手はあの犬猿の仲のアマリアだったのです。この時のジョージの顔のリアクションったらないです。双眼鏡で覗いてめちゃくちゃ楽しみました🤣
ですがここで文通相手がアマリアだと気づいたのはジョージだけ。ジョージはバラを隠していたのです。ジョージは分かった上で勝手に相席しましたが、アマリアは分かっていないので「なんでこの男が!?早く帰れ!!」となってましたね。犬猿の仲の人間に、酔っ払った勢いとはいえ、あんなことされたらそりゃそうなりますよね。普通にアマリアが可哀想で…。結局アマリアは想いを寄せる相手と会うことも出来ず、帰宅しました。本当に可哀想でならなかったです😢
そしてここで、バラを落として帰宅するジョージ。お前はシンデレラか?と思いつつ。ここでのマスターの優しさが染みました。アマリアにバラが落ちていたことは教えず、スっと隠していましたね。さすがロマンを大切にするお店です…👏

◎自殺未遂
カフェでの出来事と時を同じくしてマラチェック店店内では、マラチェックさんの奥さまが不倫していることが確定していました。しかし、調査によって不倫相手がジョージでは無かったことが発覚。
不倫相手だと誤解したあまり、ジョージに酷いことをしてしまったと悔いるマラチェックさん誰かと電話をするシーンもありましたが、多くは語らず…。奥様でしょうか、娘さんかな。何を思って話をしていたのでしょうね…。
そしてこの流れをクリスマスツリーの影から見つめていたアルパッド。アルパッドがすぐ反応したからこそ、マラチェックさんは亡くならずに済んだのかもしれませんね。ありがとう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第2幕について

物語はここから一気に進んでいきます。
また、登場人物達の心境の変化も沢山あります。
マラチェックさんは本来の性格に戻り、ジョージはアマリアへの想いを自覚して丸くなり。アマリアは文通相手からジョージへ想いが移り変わり、イローナはコダリーと決別して新しい男性と新しい道を歩み始めます。

◎アルパッドの成長
マラチェックさん、なんと自殺が失敗してたことが判明。病院に入院していました。亡くなってなくて本当に安心しました。入院中はアルパッドが付いていたようで、奥さまに変わって身の回りのお世話をしていたのではないかと思います。たまに興奮して無意識にマラチェックさんを痛めつけてたけれど🤣
そして店員になりたいという熱意も凄かったです。これまでもアピール自体はしていますが…
アルパッドの成長や頑張りを認めたマラチェックさんは「苗字を聞いていなかったね?」と一言。そしてそれに答えるアルパッド。「ようこそ、ラズローさん」というマラチェックさんからの言葉に、嬉しさが爆発してたのが大変可愛らしかったです。また、彼の努力や想いが認められたのもすごく嬉しくて。良かったねって思ったら泣いちゃってました(笑)おめでとうね👍

◎マラチェックさんとの和解
ジョージもマラチェックさんのお見舞いにいきました。そこで無事和解。本当に良かったね、ジョージ。
そしてジョージのデキる男っぷりが細やかに表現されてましたね。マラチェックさんの靴を用意したり、痛がっているところを気にしたりと、細やかな気遣いの出来る男でしたね。そんな人物だからこそ、マラチェックさんもジョージに店長を任せたのではないでしょうか。
マラチェックさんから「ボスなんだから給料をあげてもいいんだぞ」と声をかけられても、「叶えてやるかもしれません」なんて答えたりもしていて。ジョージの真面目な性格が窺えました。
マラチェックさんがジョージとアルパッドを店に送り出したのですが、その後にとぼとぼと去っていく姿が実に切なかったです。マラチェックさんも幸せに生きられますように…。

◎アマリアのお見舞い
アマリアが具合が悪いこと聞き、心配したジョージは直接アマリア宅へお見舞いに向かいました。
けれど、アマリアにとってはまだジョージは犬猿の仲のままです。更に昨夜のせいで、ジョージに最悪なイメージが付いてしまっています。そりゃあ、ズル休みかどうか確認しに来たの!?って疑ってしまいますよね😵‍💫
ちがう!ちがう!!と焦るジョージでしたが、お土産のバニラアイスクリームでなんとかベッドに座らせることに成功し、少しお話をすることに…。
ここで「普通のバニラアイスとちがう…?」と言うアマリアに、「涙が〜…」と返すジョージ。こういった一言に、ジョージの小説オタクっぽさがチラリしてますよね🤭
余談ですが、ここのシーンでジョージのスーツの中がチラ見えしたのですが、なんと思ったよりめちゃくちゃ派手!赤ネクタイ×白赤のチェックシャツでした。やっぱりオシャレさんなんですね😌

◎ジョージへ向ける感情の変化
会えば口喧嘩ばかりしていたジョージと喧嘩せずに過ごすのははじめてだったアマリア。これまでのジョージに似合わない優しさに触れ、気持ちが文通相手からジョージへ移っていきます。そしてなんとアマリアちゃん、気分が乗ってきて、別れ際にはジョージのほっぺたにチューをかましました。「正直に言うとあなたが気になっているの!」と。アマリアちゃんの感情ジェットコースターすぎでは…??
そしてジョージ、小説オタク要素がポロリしちゃってましたね。アマリアの部屋の本棚を見て大興奮でした。「素晴らしい本が!!」とオタク丸出しでした。また、アマリアもそういった面が垣間見えましたね。「なんで泣くの?」という問いに「ぬいぐるみで魂を抜き取られてしまった」などの詩的な表現をしていました。アマリアも小説オタク気質なのが出てましたね。

◎シー・ラヴズ・ミー
本作のタイトルでもあるこの楽曲。どんな曲なのかは予習しないで公演に臨んだのですが、頭に残るとても素敵な曲でした。
アマリアから好意を向けられ、自分も変わろう!と決意するジョージ。想いが溢れだして抱きしめたい、でもまだ文通相手という事は告げられない、というジョージの葛藤や期待が溢れた素敵な楽曲でした。

◎決別と出会い
遊び人のコダリーに振り回されっぱなしだったイローナにも素敵な出会いがありました。なんと相手は眼科の視力技師!図書館で出会ったそうですが、とても真面目そうな男性でしたね。
ダンス中もイローナの身体に極力直接触ろうとはしたなかったり、1幕でのコダリー&イローナのダンスとはかなり対照的でした。イローナも素敵な女性なので、今度こそ自分だけを愛してくれる人と幸せになれるといいね…

◎コダリーの追放
マラチェックさんの指示で、コダリーを退職させることとなりました。ここの「コダリーさんと話さなきゃね…」というジョージの超えがなんでか凄く頭に残ってます。なんでだろうね🤣
いよいよ店員たちとの別れの時がやってきましたが、コダリーが同僚にまあまあ嫌われて笑っちゃいました。颯爽と去って行きはしましたが、せめてイローナさんに謝ってから出てけ!!って正直に言うと私はおこになっちゃいました😡

◎ついに結ばれる2人
12月に突入し、世はクリスマス商戦。マラチェック香水店もそれは同じです。クリスマスまでの目まぐるし日々にヘトヘトになりながら、ジョージがアマリアとの距離を縮めていきます。バス停まで一緒に向かったり、途中のカフェにお誘いしたり。意外と積極的なジョージ。アマリアも嬉しそうでした♡
そしてクリスマスイブにアマリア宅への招待を受けるジョージ。けれど、それは文通相手込みのお誘いでした。ここでついに、自分がアマリアの文通相手だと告げます。存在を明かすときに、あの日の手紙の内容を歌って見せたジョージに、何だかうるうる来てしまいました。
でもここ1個だけ言いたいのですが、もっと二人のイチャコラ見たかったです。チューしたら幕がおりてきて、「まって!?お家でパーティーするんでしょ!?見せてよお😭」と私の心の中のジョジアマ担が泣いてました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おわりに

休憩時間も含めて約3時間の公演だったのですが、本当にあっという間の3時間でした。
ジョージやアマリアはもちろんですが、ほかの登場人物達も人間味溢れる素敵なキャラクターばかりで。自然と愛着が湧いてきました。
また、歌唱力や演技力に関してもレベルが高く、そういった面でもめちゃくちゃ見応えのあるミュージカルでした。ストーリーに関しても、古めかしい設定ではあるけれど、たくさんの方に長く愛され続けているのが分かる作品だと感じました。
正直なところ恋愛ものはちょっと苦手なのですが、普通に楽しんで見ちゃいましたね😌

劇中で「好きになっちゃいそうなくらい、出会った時から気になってた!」と最後にアマリアが話してくれていましたが、やっぱり2人は似たもの同士だったんだなと。
ジョージもアマリアも普段温厚なのに、お互いに対してだけは最初から感情をむき出しにしていましたし。お互い、最初からどこかしら意識はしていたのでしょうね。
そんな2人が文通をきっかけに、傷つけ合い、何度もすれ違いながらも結ばれる、そんな愛の物語でした。

初日は行けるかどうか少し不安なところもありましたが、なんとか見に行けて。とても満足して宮城に帰ってきました。
あと何日か見に行く予定なので、更にパワーアップしたシーラブを見られるのが本当に楽しみです😊💕
どうか関係者の皆さまが誰1人欠けることなく、無事に大千穐楽まて駆け抜けることができますようにと祈っております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?