見出し画像

おきゅたんbotさんへのインタビュー企画~VRの”すきま”に光をあて続けて見えてきたこと~

みなさんはVRの世界に興味はありますか? VRは仮想現実と訳され、画面の中の映像が、あたかも現実の出来事のように感じる技術のことです。ViveOculusなどのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を被ることで、体験できます。

VRを体験できるソフトの一つにVRChatというものがあります。ミライアカリさん、ねこますさん(のじゃロリおじさん)と電脳少女シロさんのコラボ動画などで紹介したことでも話題になりました。この中では、好きなアバターで歩き回ったり、好きな世界を作ったりすることができます。

おきゅたんbotさんは、そのVRの魅力を多くの人に広めようと活躍されている方です。普段はVRChatでの出来事をYouTubeで配信して紹介しています。特に大きな活動としては、アルテマ音楽祭というVR空間での音楽ライブの司会と配信を務めたり、バーチャルマーケット3という3Dアバターや3Dモデルなどを自由に試着、鑑賞、購入できる、VR空間上の展示即売会を公式放送として紹介したりされました。xR転職合同相談会では、Activ8株式会社さんやFictyさんなどVtuber界隈でも有名な企業さんもお呼びした相談会の配信も担当しました。

VRのある日常と未来をお届けっ「やってみよ!」の精神でVRのすきまを開拓&光をあてたいVTuberです。
VRツアーガイドとして、いろんなVR世界やVRカルチャーを紹介したりしています。音楽も好きで、アルテマ音楽祭、くらげビートといったVR音楽イベントを配信、オリジナルVRソングを歌ったりも。他、バーチャルマーケット公式配信、幕張FAVRIC出演、NHKテンゴちゃんに出演など。
原作は「まいてぃ999」さんの漫画「VRすきまガールズ」。
(本人紹介より)

この記事で初めておきゅたんbotさんを知った人もこのままお読みいただけますが、より楽しみたい方はご本人の自己紹介動画や、てすてさんの紹介記事を先にご覧ください。

おきゅたんbotさんの各種リンクはこちらから

VRの魅力ってなんだろう?

―――今回はよろしくお願いいたします。まず、簡単に自己紹介をお願いします。

おきゅたんbot:色々あるのですが、一言でいうならVR応援キャラですね。元々Vtuberではないのですが、今は分かりやすくVR応援Vtuberとして活動しています。VR応援キャラとして、VRデバイスを持ってる人にも、今はまだもっていない人にも、VRのある日常と未来というものをお届けするために、Twitterやyoutubeでの活動をしています。

―――VRのある日常と未来ですか。

おきゅたんbot:VRの楽しさ、VRがあることでこんなことが生まれている、こんなイベントがある、こんな人がいるとか、そういったことの記録を残して、将来、何年何十年経った後にも「こういうことがあったんだな」ということ伝えるために、アーカイブを残しています。

―――私自身も、おきゅたんbotさんの動画を見て「VRでいまこんなことが起こってるんだ」と感動したことがあったので、なんか伝道師みたいですね!

おきゅたんbot:そういっていただけて嬉しいです! そうなれたら嬉しいなと思っていたので。私はよくすきまって言葉を使っていて、英語でいうとニッチですね。まだVR自体がそもそもニッチだと思うのですが、その中の「ニッチだけど良いものがある。そのすきまに光をあてたい。」ということを伝えたくて活動しているので。

―――まだ知られていないだけですごく良いものってたくさんありますからね。

おきゅたんbot:VRCに入っていると「こんな人がいるの?!」「こんなことができるの?!」「こんなことやってるんだ!」みたいなことがいっぱいあるし、VRの開発されてる方もすごいですし。音楽にも関わっているのですが「そんな素敵な音楽がこんなにいっぱいあるの?!」ということが世界にはたくさんあって、私と一緒にそういう出会いに感動してもらえたり、楽しんでもらえればいいなって思います。

―――新しいことを発見する楽しさもありますし、そうやって知ったものを広めていきたいなって思いがありますよね。そのように発見していく楽しさに気付いたキッカケのようなものはありますか?

おきゅたんbot:色々とキッカケはあるのですが、VRCでの衝撃を受けたキッカケはお蕎麦屋さん(タナベさん)との出会いですかね。

おきゅたんbot:この前話題になった「ふうふマートさんのバーチャル結婚式」のプロデュースなんかもされていたんですが、それよりも前にお蕎麦屋さんはVRCで自分たちの結婚式をあげていて、そのぐらいバイタリティーのある方なんです。出会いは、ある日VRCのファンタジー集会所をふらふらっと歩いていたらお蕎麦屋さんが「新年会やるからよかったらこない?」とその場にいる人に話しかけてて、それがキッカケでした。それまで私もソーシャルVRで何をどこまでできるかって、あんまり分かっていなくて。ボーリングとかあらかじめ作られたゲームや場所があって、そこで楽しむVR体験ってありますよね? お蕎麦屋さんは、ただ場所を作ってるんじゃなくてその場所で何かするということをしていて。その時だと、外国人に向けて日本語教室を行ったり、カプセルホテルや銭湯など日本の文化を体験できるワールドを作って伝えていて、こういうことができることも知ってほしいし、やってる人がいることも知ってほしいので、動画で伝えていけたらいいなぁと思い始めました。

―――確か初期は海外の人が多くログインしていたそうですね。

おきゅたんbot:前はそうだったんですが、ねこますさん、ミライアカリさんたちの動画や、Vtuber文化の流れも重なって。まぁ、ねこますさんはずっと前からVRCを広める活動をされていたんですけどね。それらがあって、日本のVRC人口はかなり増えていきましたね。

―――それらがあり、伝えていくしかないという決意のようなものがみなぎってきたわけですね? VRCは知ってるけれど、まだアクセスしたことがない人へ魅力を伝えるとしたら、どんなことを伝えたいですか?

おきゅたんbot:チャットというくらいなので、お話がメインではあるんですが「お化粧もせずに、パジャマのままでも、VRなら自由自在で、自分の好きな見た目で行ける」ところとか、いいですよね。「漫画みたいな、夢みたいな場所に、現実が夜でも気にせずにいけるもの」なのかなって。

―――たしかに、ほとんど制約がないですもんね。見た目も、身分も、時間も、そういったものに囚われずに楽しめますもんね。

おきゅたんbot:あと、外国語を勉強したいとき、海外にいくのも、英会話教室にいくのも大変じゃないですか。でもVRCでパブリックにいけば、いくらでも外国の方とお話できます。それに電話と違って、身振り手振りも使えるし、絵や文字をかいて伝えることもできるし、そういう色んなものを使ってコミュニケーションが取れるので楽しいと思います。

―――そのように伝える手段が多ければ知らない人と初めて電話するとかよりも安心できますね。

おきゅたんbot:コミュニケーションに苦手意識をもってる人ほど、いいかもしれませんね。全員がパリピのようにガンガン話しかけてくるわけではないですから(笑) リアルだと目線逸らしたり、瞬きが多くなったり、そういう緊張が隠せないと思うんですけどVRならそういう部分が柔らかく伝わると思うんですよね。

―――VRなら可愛いアバターを自慢するくらい自信を持つこともできますからね(笑)。

おきゅたんbot:良い面ばかり話したのですが、パブリックは色んな人が集まる場所なので、迷惑行為をする人も出てきてしまうことを皆さんには伝えておきたいです。人種差別をしてきたり、暴言を吐いてきたりする人もいます。良い人もいれば悪い人もいるので。ただ悪い人に出会っても場所を移動すれば離れられるし、その人をミュートやブロックをすれば声や姿を完全に隠すことができますから。

VRCには様々なワールドが存在します。友達だけを招待して、身内の空間で楽しむこともできるし、パブリックとよばれる「誰でも入れるワールド」で、様々な人とコミュニケーションを取ることもできます。

―――人とのコミュニケーションの場ですから、そういうこともありますよねぇ……。

おきゅたんbot:VRCの中で殴られても、銃で撃たれても痛くないので(笑) ただ、精神的にダメージをうけることもあるので気を付けてほしいですね。

VRでイベントを開くということ

―――VRでのイベントに多く関わってると思うのですが、何か心がけていることはありますか?

おきゅたんbot:一番心がけているのは私と関わった人が良かったと思ってもらえるようにすることですね。

―――すごく素敵なことですね。

おきゅたんbot:VRでのイベントはトラブルがつきものなんですよね。だから「こういう問題が起こるかもしれないから、こうした方がいい」ってお伝えしたり、大事なことがダメにならないよう準備するようにしています。でもゆるいイベントや即興での対応も得意分野なので、トラブルが起こったときでも、みんなに楽しんでもらえるように対応したり、繋ぐことを意識しているつもりですっ!

―――私もリアルイベントに関わったことがあるのですが、最初はそもそもどんなトラブルが起こるかが想定できないんですよね。だから経験の多いおきゅたんbotさんがトラブルを考慮してくれているのは、参加者から見ても安心できるのかなと思います。

おきゅたんbot:あとVRは臨場感・没入感が大事だと思っていて、YouTubeで見てる人も一緒に参加している目線で楽しめるようにカメラワークを工夫しています。

―――バーチャルマーケットの配信は一緒に歩き回ってる気持ちで見れてすごく楽しかったですね! 「紹介しなきゃない」という義務感みたいなものもあったかと思うのですが、本当に心から楽しんでいるのだなぁという印象を受けました。

おきゅたんbot:あまり嘘をつけないタイプなので、楽しいときにしか楽しいリアクションできないんですけどね(笑)。だから、どの放送でも楽しそうなのは、いつも本当に楽しいんです。

紹介していく中での反響や思い出

―――紹介する活動を1年以上続けておられますが、反響が大きかったものや特に印象に残ってることはありますか?

おきゅたんbot:再生回数でいうのであれば、やはりアルテマ音楽祭バーチャルマーケットの公式放送などが反響が大きいですね。あと、VRCでVtuberさんのコラボがほとんどなかった2018年2月末に、VtuberさんをVRCに集まって人狼をやったことも反応が多かったですね。思えばその人狼もお蕎麦屋さんきっかけで……あとVR落語したりもお蕎麦屋さんがきっかけですね。お蕎麦屋さんの無茶ぶりは私を成長させているのかもしれない……(笑)。

―――お蕎麦屋さんの発言は師匠からの試練みたいですね(笑)。たくさんあって、絞り切れないとは思うのですが、特に印象に残ったワールドはありますか?

おきゅたんbot:そうですねぇ、どこも好きなので……(かなり悩む) いくつかあげるのなら、パンダさんの作った温泉のワールドとか面白かったですね。中は混浴だから関係ないのですが、入り口の男湯・女湯で悩んだり……。そのバーチャルの人は性別が難しい人も多いので(笑)

―――心の性別と、体の性別と、アバターの性別と……色々ありますからねぇ(笑)

おきゅたんbot:バーチャルの中で温泉に入るという行為ができるし、わちゃわちゃ楽しめる場所で印象に残ってますね。

おきゅたんbot:ブタジエンさんの雪のワールドもよかったし、ちょっと入場が特殊なんですがGHOST CLUBなんかも「未来だなぁ」という感じがしてすごいですね。どのワールドも一期一会みたいな気持ちです。

―――そういうワールドはどのように見つけてるのですか?

おきゅたんbot:友達から教えてもらったり、ランダムに飛んでみたり、一覧から気になったところに遊びにいったり、海であれば「sea」で検索かけたりと様々ですね。あとは「#VRChat_world紹介」などのタグを見てたりしますね。Twitterだとオススメポイントスクリーンショットも載せてあるので分かりやすいです。HAPIBATOさんVRC HAPIBATO TOURというシリーズもナレーション入りで分かりやすいのでオススメです!

オリジナル楽曲に込めた想い

―――1曲目の「Virtual Wonderland」に続き、2曲目の発表おめでとうございます。オリジナル楽曲「まぼろし Virtual Feelings」を購入させていただいていただきました。1曲目のアップテンポとは違い、バラード調でしたがすごくあたたかい曲だなという印象を受けました。特に「とても確かな 幻の感触」という最後の言葉は、VRでの関わりをうまく表した言葉だなと感じました。ボーナストラックのメッセージでも解説いただいていたと思うのですが、改めて読者に向けて、曲に込めた想いなどを教えていただければと思います。

Virtual Wonderland
単品でのアップはないのですがVIRTUAL FESTIVAL2018で披露されたものがあります(1:41:10から)。「まぼろし Virtual Feelings」の作曲もされているまんじゅうさんがカバーされていますのでこちらも参考にどうぞ。
まぼろし Virtual Feelings
こちらも単品での試聴動画はありませんが、アルテマ音楽祭で歌っている様子のアーカイブがあります(3:04:32から)

おきゅたんbot:「Virtual Wonderland」はじーえふさん(現在のエハラミオリさん)に「VR応援ソングが欲しい」みたいな話をしたことがきっかけでできた曲なんですよ。作曲は赤山コウさん、編曲がじーえふさんです。最初はじーえふさんの「My Virtual Reality」という楽曲を提供していただいて、VRChatでMVを撮影して公開しました。素敵な歌で、今みてもぐっときます! でも、これは初音ミクちゃんが歌っている音源のみが残っている曲だったから「歌の依頼してもいいですか?」と相談して。作詞なんてはじめてだったんだけど、じーえふさんの「個人的にはおきゅたんが伝えたいことをどんな形でもいいから書いて欲しいですね」って言葉を聞いて、よしって、作詞しました。応援歌がテーマなので、バーチャルに関わってる人が元気がでるような歌詞を意識しました。「この街に いま重なる世界」のように心やARや未来のことを意識した言葉も混ぜてあります。バーチャルはバーチャルだけで完結するのではなく、リアルとの関わりがあって互いに良くなっていくものだと思っているので。といいつつ、笑っても欲しいので、VRCのミームなんかも混ぜてあります。

―――そのような想いがあったのですね。「まぼろし Virtual Feelings」についてもよろしいですか。

おきゅたんbot:限界孤狼祭というものがあって。主にVRCの中で人には言えない本当の気持ちを抱えている人から、匿名のお悩み相談を受けている企画で。そこで感じたバーチャルの中のリアルがあって。あとTwtitterなどで誰かが成功してるのをみていいなと思いつつ、自分はそこまでできないなとダメージを受けたりすること、誰しもありますよね。まぼろしには、友達との関係や恋愛、VRとの出会いから未来、ひとつの歌詞に何重にも意味を込めました。わたしたくさん曲があるわけじゃないから欲張っちゃって! ぐふふ。また、原作漫画のセリフをもとにした「わざわざ視界をすべて奪われてもっとも欲するのは愛でしょ」という言葉を大事に歌ってもいます。この長い長い歌詞をまんじゅうちゃんがとても素敵な曲にしてくれたんです。

―――色々な想いをもった人と出会って感じたことを歌詞へ……。だからVirtual Feelingsなんですね。

おきゅたんbot:すごく色んな人に聴いてほしい! まぼろしのMVもいずれ作りたいです! 先にVirtualWonderlandのMVを作ろうとしてるので、そちらから先に公開ということになりそうですね。

―――それは公開が楽しみですね! もっと多くの人に届いてほしいです。

バーチャルの未来について

―――最後に、バーチャルって今度どうなっていくと思いますか?

おきゅたんbot:VRの普及には一切疑いはもっていなくて、大きく普及するのは機器やソフトがもっと安く、快適になった後だと思っています。なので私はどちらかというと「いまVR機器をみんなに買ってほしい」という活動より、今後普及したときに素敵なVR世界になるような活動をしたいって思ってるんです。絶叫体験も興奮するけど、ほかにもいろいろ楽しいことあるんだよーっ!

―――比較的安くなってきたとはいえ、まだ機器が高いですからねぇ。

おきゅたんbot:最初はARから普及すると、有識者の方の意見を目にします。テレビ見ながらスマホをいじるみたいに「ながらプレイ」ができるので、生活に馴染みながら使えるんですよね。ただ、ポケモンGoなどではなく、ゴーグルやメガネ型のデバイスの場合は、ハードの値段や性能、実際に体験できるコンテンツの質などから考えて、当分の間はVRの満足度の方が高いと思います。ビデオシースルー型のARもあるし、2つは融合していくのであまり区別に意味はないですけど。

―――HoloLens2などが普及したら、VRとかARとかって意識しなくなりそうですからね。

おきゅたんbot:Magic Leap OneはNTTドコモさんが提携してたり、NrealLightはKDDIさんが提携してたりと携帯会社さんが協力しているので、Apple Watchが流行ったように「あったらちょっと便利かな」感覚で、いずれARデバイスは普及していくのかなと思っています。ハードの進化を待ちつつ!

―――ガジェット好きにはたまらないですからね!

おきゅたんbot:その裏ではVR機器も周りの景色が見れるようにする開発も進んでいますからね。そういうのが普及して5Gも始まったら、例えば秋葉原エンタスさんで行わせていただいたアルテマ音楽祭の演出をAR機器を通して会場で楽しんだり、Vtuberさんを家にやってきて一緒に食事をしたりとかできるかもしれませんね。

―――それはぜひ実現してほしいですね! その時代になったら、おきゅたんbotさんの活動がもっと増えていくと思います。

おきゅたんbot:これからも頑張っていきます!

―――本日は本当にありがとうございました!

終わりに

この記事だけでは伝えきれないほど多くの想いを聴かせていただけました。

普段の配信ではすごく優しい方というイメージだったのですが、その内に秘めているものは情熱的なものでした。インタビューの最中も「○○さんはこんな素晴らしいことをやっていて……」と語る声がすごく嬉しそうだったことが印象的でした。

様々な人が協力し、盛り上げていることで界隈というものは広がっていくと思うのですが、おきゅたんbotさんの活動はバーチャルの盛り上がりに確実に貢献しているものと思います。

ここまでお読みいただけた方は、ぜひおきゅたんbotさんの動画一覧を見てほしいです。きっと「VRCってこんなことできるの?」と驚くと思いますから。そして感動したのであれば、ぜひ一緒に応援してほしいと思います。