見出し画像

高村友也著『スモールハウス』

私も、いつか自分で家を建てることはできないだろうかということは、去年からちょっと思っていて、『小さなキットハウス超入門』という本を買っていた。また、自作とはちょっと違うけれど、トレーラーハウスのことを調べたりもした。(思っていたより安かった。)

10㎡くらいのキットなら、誰かに手伝ってもらって恐らく2日くらいできる。キットの価格は70万ほど。これ以上大きくなると、難易度が飛躍的に上がる。(DIY大好きな人が、時間をかけて楽しんで作れるレベルではあると思う。私にはできない気がする。)

私は、ものづくりに興味はあれど、「そこそこ」が好きなんだなあと思っている。自分だけ、もしくは、せいぜいもう1人程いてできそうなことが、おそらく自分の自作したい意欲を持続できる上限だ。

そうして、“いつか建てたい家”のことはしばらく忘れていたけれど、今日この本を読んで、この本に出てくるスモールハウスには、改めて憧れた。

著者の高村さんは、山梨に3坪のセルフビルドの小屋を10万程度で建て、今は東京と山梨の二拠点生活を送られている。
http://mainennetaro.blog.fc2.com/blog-entry-600.html

この本は、ある意味スモールハウスのカタログとも言えるかもしれないけれど、なぜスモールハウスを必要とする人がいるのかは、現代社会が抱える問題や不条理などとも深くリンクしていて、様々な切り口から語ることができる、とても深い内容だと思う。


私は今は実家に住んでいるけれど、使っていない部屋はけっこうあって、ほんとうに勿体無いなあと思っている。このスモールハウスの概念が、20年くらい前に浸透していたらよかったのに。

でも寒冷地なので、自作できるような家だと、寒くて住めないんじゃないかなあという気もする。断熱材をDIYでどう駆使しても、今住んでいるこの家には勝てないと思う。今のこの家ですら、気温5度以下になる朝がある。

もうあるものは仕方ないので、今あるものの無駄を、少しずつ削っていけたらいいなあと思っている。もちろん、この家で好きなところもたくさんある。

この『スモールハウス』という本は、佐々木典士さんが解説を書いているということを、ご自身がツイートされていて知った。

佐々木さんは解説の中で、こんなことを書かれている。

~モノを手に入れたり、手放すことに終わりわなく、小さな家を建てたからといって長い幸せが訪れるわけではない。ぼくのひとつの誤解は、ミニマリズムというものにどこかで「完成する」というイメージを持っていたことだった。~

ミニマリズムとは、目的地ではなく通過点であり、身軽になれていろいろ試すことができるけれど、それは問題が解決することとイコールではない、ということを書かれている。

私は、自分の記事やツイートで、よく佐々木さんに影響を受けた話を書いている。そして実際、今も日々影響を受けている。

でも、なのに、と言うべきか、自分はミニマリストには憧れるけれど、まだまだミニマリストの境地にはたどりつけていない。

去年夏に、単身引越し分くらいのモノを処分したのだけれど、未だにたくさんのモノが部屋に存在していて、ほんとうに謎だなあとよく思っている。

ついでに、メルカリを始めて包材を買ったりダンボールをとっておいたりしているのでモノが増えた。

そういう中で、不要なものも、まあ、あと2年くらいかけて減らせたらいいんじゃないかなあと思っている。まだ自分にとって必要なものがたくさんあるし、ゆっくり自分のペースで減らしていきたい。今の部屋はぜんぜん嫌いではない。

その代わり、今自分の人生において、ストレスはほんとうにミニマムだ。ストレスの元凶を、ここ2年で極限まで断捨離した。

絶えずできていた酷い口内炎が一切出なくなったし、とにかく心に余裕が出来た。物理的に自由な時間が倍ぐらいに増えたし、ストレスで日々食べていた大量の甘いモノをやめることができた。(これは2ヶ月続いているけど、ずっと続くかは経過観察中。)

ミニマリストの境地ではないけれど、以前の自分と比べてかなりモノを減らした。そして、以前の自分と比べてストレスをほぼゼロにした。

そういう自分に今何が起きているかといえば、新たに興味が湧くことがたくさんあって、欲しいものも出てくるし、買うし、新たな悩みはやっぱり尽きない。

そう、ここに住めば・これだけ身軽になれば・これだけお金があればなどと、そういったことで永久に約束されるような幸せは、たぶん無いのだ。

幸せとは、日々自分のコンディションを微調整しながら、自分なりの方法で、ゆるやかに継続させていくようなものではないかなあと思う。

何が自分にとっての幸せかということも、考えながら。たぶん、折に触れてその考えを更新しながら。

私が今興味があることのひとつに、自分で自給自足にどれだけ近づけるかということがある。

著者の高村さんがスモールハウスを推奨する理由のひとつに、小さな家に住むことで、社会で当たり前に存在している過剰な消費活動から距離を置けるということを挙げている。

大きすぎる、何千万もする、ローンに苦しめられる家を買うことが当たり前の社会ってちょっと考えたら、やっぱり不思議なのである。それを、多くの人が当たり前だと思っていることが。

だから高村さんの生活には憧れる。ただ、最初にも書いたけれど、私は、ものづくりに興味はあれど、「そこそこ」が好きで、自分だけか、せいぜい2人程でできそうなことが、自作したい意欲を持続できる上限なんじゃないかとは思っていて

そういう私は、どのくらいまで自給自足に踏み込めるのかなあとかを考えること、実際野菜を育てたりすることはすごく楽しいし、幸せだ。

そして、私はこれからもたくさんの人と話がしたいと思っている。会いたい人がたくさんいる。実際に会っている。

だけど、話せば話すほど、時にぶつかったりすれ違ったり、自分が情けなくて悲しくなったりもする。

悩みは尽きない。

そういう時に、自分のコンディションを整えてくれるのがスモールハウスであったり、シンプルな住まいであったり、厳選した自分の好きなものであったりするんだと思う。

「これを達成すれば一生苦労はない」という物事や場所はきっと存在しない。

でも日々自分なりの幸せをゆるやかに継続していくために、自分の環境を整えたい。

私は、いつかスモールハウスを作れたらなあと日々思うことだけでも、私の幸せのゆるやかな継続の一助になっている。

#高村友也 #スモールハウス #佐々木典士 #ミニマリスト #ミニマリズム

いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。