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不適応者の居場所

フリーライターの鶴見済(つるみわたる)さんが主催する『不適応者の居場所』というイベント。その3回目が1/11に開催されるというツイートを年末に見ました。2回目までに参加した方の感想がとても楽しそうだったので、気になっていたんですよね。

私は冬になってから、めっきり遠出をしなくなったことで、自分が続けたい習慣も途切れずスムーズに生活ができるようになっていました。家から出ることに腰が重くなってしまっていたのですが、このままの生活では広がりがないよなあと感じ、3ヶ月ぶりくらいに東京に行ってみることにしました。

『不適応者の居場所』がどんなイベントかというのは、こちらに詳しく書いてあります。

「日頃つながりをなくしがちで、つまらない思いをしている人」が、駄弁ることで楽になろうという会を開くことにしました。仮に名付けて「不適応者の居場所」。ひきこもりがち、フリーランス、労働週4以下、メンヘラ等々、様々な理由で、つながりがなくなりがちであり、かつ、それもつまらないなと思っている人、飲んで食べて、ゆるく話しましょう。

一人でつまらない思いをしている人が、各々出会わずにいるだけというのは、あまりにももったいない。イベント会場内に花見のように敷物を敷いて座り、飲み食いしながら駄弁るだけです。支援活動ではないので、仕切りや討論もなし。自己紹介くらいはしたいと思います(パスも可)。

私の現状は、たしかに「つながりをなくしがち」。とは言え、今がつまらないわけでもないのだけれど、とにかく何かひっかかる......という気持ちで参加してみました。

参加者は最終的に30人ちょっとくらい。(うち、女性は8名だったそう。)鶴見さんが会場を押さえて、お酒、ソフトドリンク、ヴーガン料理のケータリングを用意してくださり、会場費+飲食物の費用25,000円~30,000円くらいを参加者のカンパで賄うというシステムです。

場所は、高円寺にある素人の乱12号店。20㎡くらいのところにマット+布を敷いて、みんなで花見のように座り、飲みながら食べながら話すというスタイルでした。(下は、以前に撮影した同じ場所の写真です。)

行く前のイメージは、みんなそんなに喋らないんじゃないかなあ...というものでしたが、実際はおおいに盛り上がり、いろいろな輪のなかで、笑い声や白熱した議論や、ゆるい会話が5時間以上繰り広げられていました。

自己紹介タイムがあったのですが、学生時代に不登校だったという方が結構多かったです。今働いていないという人は1/3くらいだったかな。病気やいろいろな悩みを抱えている人がほとんどという印象でしたが、私が滞在していた18:30~24:00まで、ほぼ初対面の人ばかりのこの集いに、笑顔が絶えることはありませんでした。

飲食物を取りに行ったり、トイレに行ったりするのに、声をかけないと歩けないほどの狭さだったのですが、逆にこの狭さがいいのかも。ポツンとなりようながいんですよね。密集具合はこんな感じです。

私も全員とは話せませんでしたが、学校教育のあり方・家族との関係・職場での悩みなど、今まで気になっていたことをたくさん語り合うことができました。

私は、自分が学校に通えなくなってしまったりとか、会社にある日突然行けなくなってしまったりとか、そういう経験は無いのですが、でもこれまでの時間生きてきて、今もなお感じている社会の中のいろいろな疑問を、ここまで自然に、そして深く話せる場所に初めて出会いました。

誰かのトークショーがあるわけでもなく、話すテーマが決まっているわけでもなく「なんとなく似たような悩みを抱えていそうな人たちが、ただ集まって飲み食いしながら話す」ということが、ほぼ初対面の参加者を(だからこそ?)こんなにも生き生きさせるとは、本当に驚きでした。

たとえば、会社に入社して、同期のメンバーが初めて集まったら、一体感もあるし、就職において同じ苦労もあっただろうし、話もはずむと思うのだけれど、自分の本質みたいなものを相手に開示していくことってかなり先になると思うんですよね。そういう場面で一人一人が持っている建前みたいなものが、最初から存在しないような空気がありました。

会が始まってからすぐに、あれ?ここ、ものすごくコミュニケーション能力の高い人たちの集まりじゃない?という不思議な気持ちになったのだけれど、たぶん「何も飾る必要がない」ということを最初から思えるような、現代社会において、とても珍しい場所だからなんじゃないかと後から思いました。

もちろん鶴見済さん主催だからこそ来たという方も多かったと思うし、鶴見さんが本当に気さくにいろいろな輪の中に入っていて、私もお話しできたことも、とても嬉しく楽しかったです。

ただ、これは、たとえば鶴見さんのトークイベントがあって、その後みんなで打ち上げをやろうとなっても同じ空気はちょっと生まれないと思うんですよね。

最初から、「たぶん似たような悩みを持っている人が来るんだろうな。その部分は自分が最初から出してもいいんだな」という気持ちが、コミュニケーションを非常に円滑にしているんじゃないかと思いました。

こんな場所を設けてくださったこと、とてもありがたいなあと思いました。

この会はこれからも続いていくそうなので、気になっている方は是非次回以降に参加してみてはいかがでしょうか。

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いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。