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チョ・ナムジュ 著『82年生まれ、キム・ジヨン』

2016年に韓国で刊行され、100万部を超えるベストセラーになり16ヵ国語に翻訳。日本では2018年12月8日に邦訳が刊行されました。

著者のチョ・ナムジュさんは、放送作家として10年間社会派ドキュメンタリーの番組を担当していたそうです。この本は小説なのですが、まるで自伝やドキュメンタリーのような感覚があり、韓国の実際の歴史が、ノンフィクションでも描ききれない部分までつまびらかになっているような現実味があります。

小説の主人公であるキム・ジヨンは、'82年に韓国で生まれた女性で一番多かった名前だそう。そして私もちょうど'82年生まれなので、自分の子供の頃から現在までを彼女に照らし合わせて読みました。

日本でも現行の問題である、女性に対するあらゆるハラスメントや、男女の様々な格差などが、韓国では、よりあからさまに執拗に激しく行われているのだという驚きと苦しさがこみ上げてきます。つい、日本も酷いけれど、韓国に比べたら、これでもまだ良い方なのかなと思ってしまいます。

・子供は男を生むことが推奨される
・家族の中でさえ明らかな男尊女卑がある
・学校では女生徒により厳しい罰則がある
・会社の面接で性的な質問をされる
・満員電車などで妊婦が虐げられる

まだまだ、他にも多くの事象がとりあげられていましたが、私の感覚としては、日本でも'80年代くらいまで普通に行われていたようなことが多いのではないかと思いました。そこから10年、20年と経過するうちに、日本においてこういった問題はすこしずつ改善されていき、とくにここ数年の間には、テレビなどでもかなり意識的に問題視され、今社会が大きく動いているのを感じています。

とはいえ、日本でも「やっと変わり始めた」という、まだまだ入口の段階だと思います。そしてこの本を読んで、韓国でも日本でも、そして世界においても、理不尽さを感じながら、女性がひたすら我慢をしてきたことを考えると胸が苦しくなります。

私もまだ知らないことがたくさんあるし、男性側ともこの本の内容のようなことについて話してみたいと思うし、いろいろな人の意見を聞いてみたいと思いました。

いろいろな方にインタビューをして、それをフリーマガジンにまとめて自費で発行しています。サポートをいただけたら、次回の取材とマガジン作成の費用に使わせていただきます。