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情報・メディア教育の鍵は「意識」の変容

講師の役割

 情報・メディアリテラシー教育における講演や研修の際には、参加者が終了後にいかに行動に移せるかということが重要です。話を聞いて終わり、聞いて満足の講演や研修では参加者の貴重な時間が無駄になります。「勉強になりました」「目から鱗が取れました」というコメントも要りません。具体的に「xxという行動をしてみます(しました)」というコメントが出てくる方向に意識が向けられるようにすることが講師の役割です。

行動につながる鍵

 行動できるかかどうかは「意識」に左右されます。「知識」だけがいくらあっても「意識」がなければ行動には移せないものです。行動につながる意識変容を狙って実施するのが鍵になります。
 前向きに「よし、やってみよう!」「自分がやらないと!」と意識変容に繋げることが講師の重要な役割であると同時に、行動に繋がる鍵です。

参加者の意識

 一般的に意識変容に繋げやすいのは「自由に参加>義務で参加」「有償でも参加>無償なら参加」「自費でも参加>経費なら参加」です。但し、問題意識を持ち、自ら積極的に参加する人は当てはまりません。

 参加者の意識は以下のように幾つかのタイプに分かれます。
  (1)問題意識を持ち積極的に参加している人
  (2)具体的な問題を抱えてヒントを求めて参加している人
  (3)義務で仕方なく参加している人

意識による違い

 自ら有償かつ自費で参加する積極的な人は、目的意識を持っているため要求レベルも非常に高いのが特徴です。元々意識が高いため、意識変容に繋げるのはさほど難しいことではありません。ちょっとしたヒントを提供するなど背中を押してあげれば良いだけです。既に十分な行動をしており、意識変容が必要のない人もいます。

 具体的な問題を抱えてヒントを求めて参加している人は、その問題解決に繋がることには注目しますが、それ以外のことはどうでも良いと考えているケースがあるため、一番行動変容をしやすいタイプでもあります。問題の本質を紐解くと、実は今自分が目を向けていないところにヒントが隠れているからです。そこに気がつくことができると意識が変わり、行動にもつながります。

 一方、義務で参加し、始まる前から寝る気満々どころか寝ている人がいる場合は意識変容以前の難しさがあります。講演や研修の60-90分でどうにかというのは事実上不可能です。寝る時間を別のことに使った方が良いのではないかと思ったりもしますが・・・。

講演時のターゲット

 担当する講演会や研修は義務感満載の人と目的意識を持つ人が混在しているケースが多いため、この意識の落差をどのように捉え、誰をターゲットにするかということが重要になります。最初の頃は大いに悩みましたが、回を重ねるにつれ、どのように対応するのが良いかというのが見えるようになりました。

 混在する場合、「意識の高い人をターゲットにする」方が結果的に全体の満足度が高くなります。混在する講演会や研修において意識の高い参加者は全体の1割程度の場合もありますが、その1割に向けに話をします。もっというと、一番意識の高そうな人一人を対象にするくらいで丁度良いのです。

 講演会や研修の目的が意識変容に繋げて行動してもらうことに設定している場合、変容する可能性のある人を一人でも生み出すこと、一人でも増やすことが重要です。ターゲット設定は自ずと意識の高い人になります。

 最後までガッツリ寝ている人もいますが、ターゲットとした1割以外にも意識変容する人が出てくるから不思議なものです。全体の2-3割程度ですが、3-4割の人の意識に作用し、何某かの行動につながるのであれば大きな成果と言えるでしょう。
 一人も役に立たないような結果であったならば講師失格ですね。

意識変容

 人の意識はちょっとしたきっかけで変わります。意識が変われば行動が変わります。行動が変われば結果が変わります。
 何かを変えたければ、まずは関与する人の意識に注目してみることです。


著者:原田光久(ひかりば 代表 / コミュニケーション・プランナー) ●社会問題解決アドバイザー、新規事業開発・地域創生・経営支援 ●行政・教育機関・民間企業で研修・講演・IT推進をサポート ●連絡先:harada@hikariba.com