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講演資料を全て提供する理由

ノウハウを隠すところにノウハウなし。

ビジネスにおいてノウハウは金のなる木だと言われていて世の中のお金の流れを見ると一見すると正しく見えます。特許や著作権もその流れの一環です。しかし、それが成功のためのノウハウと言えるものかというと必ずしもそうではありません。技術や手法、アイディアがあっても使いこなせないと成果は出ないからです。

ノウハウとはなにか?技術や手法を使いこなす、アイディアを具現化するその人固有の能力とも言えるでしょう。技術や手法、アイディアそのものではないのです。

フルオープンにしている人はオープンにしてもなおその人は価値を提供しています。なぜならその人だからできることをやっており、更には常に進化、挑戦しているから、オープンにしたところで他に真似されて困ることはないのです。上っ面だけ真似してもうまくいきませんし、その真似でうまくいくことはノウハウというレベルの話ではありません。単に経験したこと(やったことがあるという話)ですね。

ノウハウだと言って大したことでもないことを出し惜しみしている人は実は大したノウハウを持っていないものです。周りを見渡してみるとその様子がよく見えてくると思います。

情報を提供する人のところに情報も人も集まってきます。次は何が出てくるのかなという期待や役にたつ情報が得られるのではないかという思惑もあるでしょう。一人で一時的なぼろ儲けをするつもりでなければそれで良いのです。

前置きが長くなりましたが、講演時にあらゆる資料を提供するのは、前述したようなビジネスの世界での経験に基づきます。

一般的には同じネタで繰り返しお金をいただくのが教育、学習、研修、講演の世界の常套手段です。いかにネタを使いまわして効率的に稼ぐかということを生業にしている人たちは考えています。

しかし、情報道徳(モラル)やメディアリテラシーというものは社会全体として向上する方が社会全体の益になります。それを犠牲にして一人で利を貪ることに何の意味があるのでしょうか。寧ろリテラシーが低いことによる損害の規模、社会のモラルの低下、犯罪の誘発を招くのであれば大きな社会損失です。

何のために自分が関与するのかという観点からも、より多くの人に関わってもらいたいということがあります。講演で話すことは難しい話は一切ありませんが、知らないことは多いようです。知ってしまえばあとはそれを実行するか否か、ただそれだけのことです。

もちろん人に伝えるというのは一つの能力です。伝えるための情報の整理の仕方、見せ方、話し方、身振り手振りと声のトーン、緩急のつけ方からフォローの仕方まで、複合的要素はあります。

中身は誰もが言われれば知っていること、気がついていないだけのこと、やっていないだけのことだったりします。内容は誰が伝えても良いことです。

これらを僅かな金儲けのためにノウハウだからと出し惜しみするようなやり方をすることに何の意味があるのでしょうか。それで本来の目的である問題の解決につながるのでしょうか。そもそも多少のノウハウはあるにしても、コンテンツさえあればより良いやり方ができる人がいるかもしれません。その人にパスをしても良いのではないでしょうか。

目指すべきは問題の解決です。そのためにやるべきことを見誤らないよう、より良いやり方をやる人が出てきても良いようにコンテンツは公開するようにしています。

今はまだそのコンテンツを活用して新たにこういうことをやったという事例は数件しかありませんが、意欲があればいくらでもやりようがあります。たたき台として活用してもらえるようになれば大きな成果と言えるかもしれません。

そこに権利料はありません。広く伝えてもらうことが大切だと考えているからです。

講演活動本格開始から約7年、情報を積極的に公開するようになって4-5年、まだまだ途上ではありますが、今後もこの取り組みは続けていきたいと思います。

代わりにやりますよという人が出てこないのはお金になりにくいからでしょうか。職人の世界と似ています。その課題も根深く、資本主義社会の制度の問題もあるので、そこにくさびを打ち込むこともやっていかないと変わらないのだろうなと最近強く感じています。


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著者:原田光久(ひかりば 代表 / コミュニケーション・プランナー) ●社会問題解決アドバイザー、新規事業開発・地域創生・経営支援 ●行政・教育機関・民間企業で研修・講演・IT推進をサポート ●連絡先:harada@hikariba.com