見出し画像

あたたかな日々を、忘れないように|シニア犬日記#1

ずっと「めいこ」のことを書きたいと思っていた。めいこは、一緒に暮らしている愛犬だ。日々写真は撮っているけれど、写真だけでは残せない気持ちや、匂いや、温度がある。それをじぶんの言葉で書き残せないまま、時間だけ過ぎていくことに、心のどこかでずっと焦りを感じていた気がする。

めいこは、トイプードルの女の子。
出会いは4年ほど前、めいこがもうすぐ6歳になる頃。元々は夫が飼っていた犬で、夫と付き合うのをきっかけにめいことも出会った。

出会った頃のめいこ 警戒されてる

最初はしばらく警戒されていて、つめたい視線を向けられていたけれど、一緒に過ごすうちに仲間だと認めてもらうことができた。今では子のような、姉や妹のような、群れの一員のような、不思議で、特別で、大切な存在。

ふたりで出かけた日

甘えん坊で、繊細で、臆病だけど気は強くて、好奇心いっぱいのめいこ。おもしろい行動やかわいい仕草でたくさん笑わせてくれるし、癒しをくれる。

どんな日も一緒に暮らし、散歩をしてご飯を食べ、そばで眠る。一緒に旅行をしたり、キャンプをしたりもした。言葉は通じないけれど、信頼と愛情を伝えようとし続けて、つみかさねて、私たちの今がある。

めいこはいつも、私に「まっしろな気持ち」を思い出させてくれる。ただ朝起きて、家族と今日も会えることが幸せだということ。大切な相手と一緒に散歩をして、遊んで、寄り添いながら安心して眠れることが、生きるよろこびだということ。

時々、誰にも言えないどうしようもない気持ちがあると、めいこに話を聞いてもらうことがある。ただぎゅっと抱きしめるときもある。めいこはいつも、ただじっと黙って、私の話を聞いてくれたり、そばにいてくれたり。何にも染まっていない、まっしろで無垢なめいこがいてくれる、それだけで、何度も救われてきたし、こころから感謝している。

どんなときも、そばにいるとあたたかい気持ちにさせてくれるめいこは、私にとって陽だまりのような存在だ。

めいこの10歳の誕生日をお祝い

先日、めいこは10歳になった。人間でいうと、56歳くらいらしい。もう立派なシニア犬だ。

犬は人間より、ずっとはやく歳をとっていく。少しずつ、体にも変化があらわれ始めてきた。お腹の調子が良くない日が増えたし、寝る時間も長くなった。出会った頃の活発さは減ってきて、穏やかに過ごす時間が増えている。そんなめいこをそばで見ていると、命には限りがあることを思い知らされて、きゅっと切ない気持ちになる。

あまり悲しいことは考えたくないけれど、一緒にいられるのはあと2、3年かもしれないし、長生きしてくれたら10年近く過ごせるかもしれない。その時間の長さはわからないけれど、この10年のなかでお別れがくることを、頭ではわかっているわけで。

一緒に桜を見た日

めいこと過ごす日々はあたたかくて、愛おしい瞬間にあふれている。シニア犬との暮らしは、ちいさなことで嬉しくなったり、ときどき切なくなったりもするけれど、そういうことも含めて、愛おしいと思う。

思い出をどれだけ文字にしても書ききれる気はしないけれど、私はめいことの日々を書いていきたい。せわしなく過ごしていると、気づかないうちに忘れていってしまうから。

一緒に過ごしたあたたかく幸せな午後のこと、やさしく無邪気な寝顔のこと、体調が良くなかった日のこと、一緒に旅をしたこと。

陽だまりみたいにあたたかな思い出を、いつまでも忘れないように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?