本を読んで何をどう感じたかとまとめることって難しいのだけど、残したい感情だから少しだけでも書いておこうと思う。記事内容が重複してる感もあるのだけど。
この記事のタイトルにもした『「死ぬ瞬間」と死後の生』というテーマそのものが私にとって心の奥底にある問いだったんだと今はっきりと自覚している。

幼少期に何をきっかけにして考え出したのかは思い出せないのだけど、人は死ぬということを意識して怖くなったことを覚えている。人は死んだら息をしていないのだから、自分も息が止まったらどうなるんだろう…と息を止めることを繰り返しながら苦しくて怖くなっていた時期があった。今思い返せば、幼少期は死んだらどうなるんだろうというよりかは死ぬ瞬間に恐怖していたのかもしれない。
成人してから長い間苦しんだパニック障害だって、結局は死を恐怖しているからこそのパニック発作だったと思う。パニック発作を体験してからは、死に関連することを意識することが多くなった。
そして、最も身近な存在である親の死を体験して人は死んだらどうなるのかは常に考えるテーマだったし、二人の親を亡くしそれはより大きな問いかけとなり私を圧倒した。ずいぶんと長い間意識の下でくすぶり続けていたことが一気に意識の上にハッキリ姿を現したのだけど、この流れは私にとっての必然だ。

エリザベス・キューブラー・ロス博士の著書『「死ぬ瞬間」と死後の生』は彼女がおこなった講演の録音テープにもとづいて編集されたもので、私が特に惹かれたのは「生、死、死後の生」という1980年の講演内容だ。
その時点で既に彼女が死や死後の生について研究を始めてから10年が経っている。
「死」という根源的な謎について宗教的観念からではなく、医師の立場から（ときに科学者の視点で）追及していった生涯に心底感動する。
私はたまたま死ぬことが怖いという強烈な感情に囚われたことがあるので、そしてその恐怖心が癒される環境下にいたこともないので、こうした感情を持てるのだろう。

ロス博士は死がせまった膨大な数の患者の側にいたのだけれど、臨死体験についても症例を集めていたようでその話には共通項がある。患者が語る臨死体験を真実の話として受け止め紹介してくれているのだけど、それだけではなく、彼女自身が体験した幽体離脱の時の様子も説明されている。

肉体から意識が離れてその意識が存在していること、完全な存在として全知を得ること、それはとても素晴らしい状態であること・・・
死ぬ瞬間は決して苦しいものではない、ひとりきりでもない・・・

臨死体験を体験した人の話では、死にそうになってる自分の肉体を見ているという共通性があるのだけど、そうであれば死の瞬間というか死への移行というのは決して苦しくはないはずと思える。

このようなことはスピリチュアル系の書籍などでも割とでてくる話なのだけど、私は思考が優先してしまってるタイプなので、表現方法によってはただのファンタジーにしか受け取れない。それでも、ロス博士の論理だてて説明される話の中にでてくる臨死体験や幽体離脱体験についてはストンと理解できてしまった。
（実をいえば、これは確かなことだろうなって思える話の動画やブログなどもほんの少し出会っている。）

同じ内容の話でも表現者によって受取手の感受性がこんなにも影響を受けるんだなあと痛感してる。相性もあるだろうし、それで良いんだと思う。
私がこうして書いてる内容だって相性が合う人にしか届かないだろうし、ましてや死ぬことについて真剣に考える事のない人の目には止まらないはず。
それでいい。
死に怯えることなく人生を送れる人は幸せなことでもあると思うから。

私は今ここにきてやっと、もっともっと死について探求したいと思っている。
それが生きることに勇気と喜びを与えてくれるし、今まで囚われたり振り回されてきた恐怖心を手放す機会になると信じて疑わないから。