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コラム・エッセイ・雑記

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デカい夢を語るのは、好きじゃない。

デカい夢を語るのは、好きじゃない。

僕は一応起業家の端くれのくせに、デカい夢や目標を口にするのが苦手だ。

「さあ世界を変えよう!」みたいな起業家界隈に立ち込めるスーパー・ポジティブな空気(勘違いかもしれない)も、実はとても苦手だ。

もちろん会社の経営者として、事業の中長期の計画はあるし、それにコミットして働いてはいるのだけれど、いざそれを「夢」として口に出すとなると個人的にはどうも口憚ったい。

しかしどうして経営者たる者、いろ

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セプテンバー・イレブン

セプテンバー・イレブン

2001年9月11日。
歴史的事件の最中、僕の髪はまだ焼きそばの香ばしい匂いをほのかに醸し出している。

巷の話題といえばイチローだった。
この年、シアトル・マリナーズに鳴り物入りで移籍した彼は、連日のようにヒットを量産していた。
メジャーリーグの豪腕達をいとも簡単に打ち崩していく姿を、ワイドショーやスポーツニュースが嬉々として報道している。
「同じ日本人として誇らしいですね」なんてコメントを聞く

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インベーダー・ゲーム

インベーダー・ゲーム

「はい、これからはマイコンの時代になります。もうこれホント。絶対そう」

僕が高校生の頃、急に訳の分からないことを言い出した父が、大金をはたいて買ってくれた謎のマシンが届いた(当時はパソコンの事をマイコンと言う人が多かった)。
買ってくれたと言っても、僕は一言も欲しいなんて言ってないし、そもそもマイコンの事もよく知らない。こんな乱暴なプレゼントがあっていいのか。
という旨を抗議したら、
「プレゼン

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ハロー・ワールド

ハロー・ワールド

「ヘアースタイルにこだわりがあるの?」
ブロンズヘアの少女が、宝石みたいな青い目を向けて言う。
僕は何とも言えない気恥ずかしさを覚えて、うまく答えられない。

* * *

話は25年前に遡る。

初めての海外はカナダのバンクーバーだった。

嫌々書いた夏休みの作文が、どういうわけか地元新聞社が主催していた作文コンクールの優秀賞に選ばれ、特典として用意されたのがカナダへのホームステイ・プログラム

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