見出し画像

夏秋の舞台感想15連発

単発で書いたのもあったけど時間もないのでこうじゃ!
もはやメモじゃ…でもないよりましなのじゃ…

天才てれび君 the stage ~バック・トゥ・ザ・ジャングル~

画像1

・ひとそれぞれ自分の「天才てれびくん」との思い出があり、キャストたちだけが背負っているのでなく、キッズから30代まで幅広いひとたちがそれを抱えて観客として集っているのにほっこりした
・「あそびば」のゲスト出演から気になっていた長江崚行くんがW主演でさわやかチャーミングな役をこなしていて、すごく可愛かった
・安心して見れるサプライズなしの進行ながら、ほしいところにほしい喜怒哀楽をくれる感じで、案外こういうの観たことなかったなと思った
・伝承さくらホールに初めて行ったけどけっこう良い劇場

txt vol.2 id

画像2

・よみうり大手町ホールにあんなにSFっぽい空間が創出されるのを初めてみた
・主演の崎山つばさくんは刀ミュで推していたので、別の役で活躍しているのが観れてよかった、アドリブも上手い
・開始3分のダンスの演出で「実はこの人たちが操られている側だった」というプロットを察してしまい、なんだかいたたまれない気持ちになった…なんともいえないヒステリックな演出…まあ東映らしいというか…ライダー系の人のその後の活躍の場を舞台で作ろうとしているのかな…

音楽劇『THE GREAT PRETENDER』

画像3

・ナイスエンタメ!
・原作アニメも面白かったしキャストも商業演劇一直線で期待値も高かったけど、ジャジーな音楽から高い構成力、見事なキャスティングでした
・みやるりさんが退団されてからも男役やってくださるの有難すぎるし、アニメ原作の軟派で華奢な白人イケメンを女優さんが男装して演じるの正解なのでは?と思った
・舞台のオリジナル要素として語り手も兼ねた加藤諒さんが加えられていて、原作ものの舞台化の際のひとつの有効な手法だよなあと勉強になった

舞台『ナポリの男たち』

画像4

・ぶくぶの可愛いイラスト、ファンの規模に合った劇場、ご本人たちのクリエイティビティを全力信頼したみんなハッピーな作品
・実況集団が舞台コンテンツになったらどうなっちゃうのという不安を一瞬で消し、いつの間にか家でひとりだらだらYouTube見てる時みたいな気持ちにさせてくれる冒頭の人形の演出でもう安心を確信した
・フランス王が画面ワイプしてくれるところいちばん笑った

明治座7月純烈公演

画像5

・1幕の新喜劇風お決まり明治座ペースには正直心酔するのはむずかしい(笑)けど、常連のお客さんには安心を提供できていそうでよかったのかも
・とにかく2幕の歌謡ショーが最高だった、この人たちが引っ張りだこな理由が良く分かる!お約束をきちんとヒットしつつそこを超えるサプライズのエンタメも必ず用意してくれている
・4人それぞれの絶妙なキャラと傷一つない歌謡能力、とくにリーダーの話術がピカイチでエンターテイナーだなあと唸らせた。中高年にとっての純烈は、カッコいいだけの20代アイドルとは違う、「人生これでいいんだな」と寄り添ってくれる存在なんだね

ミュージカル『レ・ミゼラブル』

画像6

・帝劇ってなんでいつもこんな重いんですか…と思いながら心していったけど…レミゼは何度見ても「人生…」てなるね
・旧演出もロンドンで数年前に観たけどそこまで劇的な違いを感じなかった
・日本のテナルディエ夫妻っていつもなんか違う気がしてしまう
・屋比久さんがほんとうにMVPでした、あのエポニーヌの演技力と歌唱力はおそろしい

野田地図『フェイクスピア』

画像7

・野田地図はいつもぎゅんぎゅんに好みな訳ではないにもかかわらず「演劇が好きなのであれば絶対に見逃してはいけないし同時代に生きていることを感謝すべきもの」だと思って観ている
・高橋一生、あれを1日2ステやってはいけないだろうと眉間にしわが寄るくらい魂を削る作品だと思った
・御巣鷹山でのジャンボジェット機墜落事件とどれくらい心の距離が近いかによって全然感じ方も変わる作品だと思うけれど、「野田さんもシェイクスピアものについに挑戦するんだなあ」とか思っていた私は後半で気が付いたその瞬間、前後不覚になるかと思っちゃった
・汗と唾が飛び散る俳優たちと同じ劇場空間にいることでしか感じることのできない、どうしようもない言葉の圧が襲い掛かってきて動けなくなった
・こういうのは年に1本くらいで十分なんだけど、なしでは生きていきたくないし、このクオリティでなければと贅沢にも思う

リズム&バキューム『衛生』

画像8

・私てきにかなりヒット作品、戯曲も買ってしまった
・日本のオリジナルミュージカル、やるじゃん!と奮い立ったよ
・この国の経済成長はこういう綺麗ごとだけでは済まないあくどい人たちのしぶとい根性によって支えられた部分もあったんだよなと思った
・古田新太の存在に頼らない舞台ってすごくないですか?咲妃さんは見るたびに女優として殿上人になっていくし、右近くんの揺ぎ無さも天晴れだった
・ともさかりえと咲妃さん(2役)の女性たち、薄氷1枚割れば狂気があふれ出るような秘められたしたたかさがそれぞれに魅惑的だったし、そこをさらに超えていく主人公たちという構造によって「これが世の中だぞ」と鼻先に突き付けられるようで痺れた
・社会とお金と人々――ストレートにしても映える題材だったろうに、高精度なミュージカル作品にしたことでぐんぐん観客の体内に染みていく感じがあり、福原さん良いね!と思った

舞台『ウエンディ&ピーターパン』

画像9

・映画かと思う様な、シンフォニックな音楽(かみむら周平さんすごいよほんと)と精巧なセットが、作品全体をすごく高いところへ連れて行ってくれて、たいへんに美しい舞台だった
・黒木華さん初生!ピーターパンの物語をウエンディの視点で語りなおす海外の作品なので彼女が重要になるんだけど、やっぱり演技がバチぼこに上手かった
・ネバーランドのみんなはウエンディが好きなのではなく結局のところ母親的役割を求めていただけなのではとか、男の子はみんな団結しているのにウエンディとティンカーベルとタイガーリリーはいがみ合ってしかいないとか、独自の問いかけがあって興味深かった
・ワイヤーアクションは別にそこまでなくても良いのではと思った

ミュージカル『ジェイミー』

画像10

・森崎ウィンさん本当に良い俳優さん!ヒールが綺麗で似合う!最高!
・ゲイのカミングアウトがゴールでなくプロムでいろんな人に認めてもらい夢をかなえる1歩を踏み出すのがゴールというのが、「もうそこの議論してないから」という感じで良かった
・お父さんも実はドラァグ趣味があったというハッピーエンディングを期待したのだけれど、お父さん役のひとがドラァグクイーン役も兼ね役しているという惜しいところまでだった
・石川禅さんの役者としての表現力の幅をまざまざと見せつけられて惚れた
・先生の役どころが謎すぎて不可解
・ホリプロは2.5次元俳優に汚れ役を押し付けるのにハマっているのか?と憤慨もしたけど、佐藤流司くんの陽キャしか取り柄のない陽キャは心に残った

ミュージカル『エニシング・ゴーズ』

画像11

・クラシカル作品なだけあって話の筋はけっこう突っ込みどころ満載だしちょっと長いけど、コール・ポーターはやはり天才なのよ
・紅さんの漢気が「ただのヒロインじゃなくてよ」って感じでつかみから良かったと思う
・廣瀬さんがコミカルなところをすごく上手く演じていて、こういう「ちょっとクリーピーなんだけどまっすぐ」な役どころってうまくやると美味しいよなあと(『ウエイトレス』のおばたのおにいさん以来)再認識

ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』

画像12

・根強い原作ファンもいて何度も再演されていると思うけど、たしかにカートゥーンネットワークとかでやってるホラーっぽいのにけっこう笑える系に近いような、B級ホラーだけでは終わらないコミカルでユニークな雰囲気があって納得した
・三浦宏規くんの刀ミュ以外の役を初めてみたけど見事にカッコよくない植物オタク青年になっていてはえ~と思った
・オードリー2号(人食い植物)が今どき珍しい有機的で大がかりな舞台装置であの中の人MVPで!って感じだったのに、一方で3D眼鏡の配布でヒロインの妄想のなかに入れたりもして、演出の引き出しが凄く多かった
・suddenly seymourって英語圏でいう「青天の霹靂」てきな慣用句だと思ってたら全然このミュージカルでしか出てこないバラードのフレーズで笑った

ミュージカル『Come From Away』(配信)

画像14

・後世に伝えられるべき物語をこれ以上ないくらい真摯に舞台表現にした作品
・「日常と非日常」がいろいろな階層で混ぜ合わされているのが終始印象的で、そこが切り替わる瞬間に自分の身体のなかにある実際の経験とリンクして物語を身近に感じていった
・伝統的に伝わる漁師の歌(?)を愉快にパブで踊るシーンが好きだった
・曲だけ先に知っていたMe and the Skyを作品の流れの中で聞くともっと「一人の人のストーリー」というのが分かって見え方も変わった(ミュージカルってその楽しさあるよね)

ミュージカル『刀剣乱舞』静かの海のパライソ

画像13

・初現地ありがとうございます!!!
・華奢すぎ生き写し尊い賞 笹森松井江(YouTubeみてます!)
・カリスマ性と自信が輝きすぎて舞台のために生きてる賞 岡宮鶴丸
・馴れ合わないくせに良いバディぶり見せつけてきてノックアウト賞 牧島倶利伽羅
・顔が端正すぎるはむしろ2.5映えない説を覆し脱ぎ衣装で全員死んだで賞 立花豊前
・史実のなかの戦に対する考え方を議論するという意味で興味深かったし、泰平の世と謳われる徳川政権のなかの天草を描くの面白かった
・KPOPの常識に慣れると「この曲でほかスタイリングもはよ」「目が足りない無理チッケムはよ」という気持ちになってしまった

BAKUMAN。THE STAGE

画像15

・鈴木裕樹さん初生!中学生役を概念的にでも演じきった38歳凄すぎる
・漫画についての漫画が原作なので、背景とか効果音とか手書き風とかその辺でみんなが欲しい演出しちゃいますよ~~というところだけに終わらず、ちゃんと演劇であることを生かした演出が凝っていて感動した
・水のにおい、口々に発される効果音の響き、ひらりと兼ね役で顔を変える舞台俳優さんたち…まだまだ記憶が鮮明だなあ
・やっぱりバクマン。は面白いし、作中作品とキャラが魅力的だし、ヒカルの碁やデスノートを生み出した2人組が2人組漫画家についての漫画を描くという時点でもう勝ってしまっているので、舞台も良い作品でよかったと心底安心した
・結局、メディアミックス万歳と思った、これについてはまた考えたい

まとめ

・どうやら私は舞台を見るときに「安心して観れる」ことをひとつの指針としているらしいことが書いていて分かった。昔は「安心して観れる」って「サプライズがないこと」であり誉め言葉ではあまりなくて、やっぱり「期待を超えた瞬間が1秒でもあればそれがチケット代の価値があったなと思う」宗派にいたんだけれど、そうでもなくなってきたのかも。「やりたいこと」が見えていて、その「手段」も明確に選び取られている作品であれば、飛び道具とか逆張りとかしているよりもずっと尊い

・刀剣乱舞ミュージカルを見て界隈の俳優さんたちに詳しくなり、そして彼らの人気が2.5の域を飛び出して他の作品にも出演するようになっていることで、観ることのなかった作品を観に行っている自分がいる――良い循環だなあ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?