永劫回帰

歩いていた
目的のない暗闇を
薄汚れた焼け野原を
歩いていた
ふと気がつくと、教会が見えた
誰からも忘れられてしまったような、古い教会が見えた
形の崩れたステンドグラス
傾きかけの十字架
聞こえてくるのは名前も知らない賛美歌
少し進んで 足を止めた
少女が数人 倒れていた
制服を纏い 血にまみれ
傷だらけの娘たち
手向けられた花に残る 優しい百合の香り
彼女たちは戦ったのだ
この荒野で人目に触れず 戦ったのだ
生きる為に生き残る為に 戦ったのだ
シスター達が歩いてくる
その手にあるのは制服だった
彼女たちと同じ けれど中身のない制服
あぁ 彼女たちもまた戦ったのだ
そして消えていったのだ
この戦場の向こう側へ
シスター達は知らない歌をうたい 去っていく
ふと見やると 少女達は消えていた
わたしはまた歩きだす
少しだけ光の差した この荒野を

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