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戸籍上の性別の取扱いの変更申立時 必要書類の集め方

ども、Hikaruです。
X(旧twitter)を始めて、アカウントは何度か作り直しましたが、なんと14年経過しようとしています。これまでは ただ写真1枚 コメント無のような投稿、特に私見を述べる訳でもない投稿ばかりしてきました。ところが 2023年11月から戸籍上の性別変更申立したことをキッカケに Xのポスト内容や方向性も大幅に変更、水を得た魚のようになって、仕事に全力なのは昔からですが、プライベートの方も 充実してきて、ふむふむ、自分は 本当はこんなことも やりたかったんだな と気づきがありました(私の本業は サラリーマンであって、書き物やポストをすることではありません)。
話が長くなりました。本題へ移ります。

注意

このnoteは 既にGIDのガイドラインに則った 治療等を受けるために 発行されるような簡易な診断書を2枚お持ちのFtMの方で、裁判所が掲げる要件を満たしている方を対象にしています(手術要件については、無視して構いません)。

申立にあたって必要な書類の集め方

そもそも このnoteを投稿しようと考えた理由ですが、必要書類の収集に非常に苦戦しまして、申立に行きつかない人ばかりになってしまうのではないかな と考えたからです。
当初想像した何倍も大変でした。特に 私は一切の外科的手術を受けずに申立していますので、法改正がない現在の状態では 欲しい書類の作成を「前例がないから」と拒まれるなど まず人を説得することから始めなければなりませんでした。また 家族との関係についても 性同一性障害だけではない 諸事情から 様々な問題があり、結果書類の取得が困難な場面が ありました。
書類の取得にあたり、様々な勉強をして ためになったことも無くはないですが、どれもこれも健常者なら しない労苦と言われたら、そうかもしれない。
当事者の方は皆、申立に至るまでに 様々な障壁と向き合ってきていると思いますので、あと一歩のところで 躓いてほしくない と考え、決断を応援したく、noteに したためます。

まずは 裁判所HPを確認して要件や必要書類をチェック

ご自身が要件を満たしているか、申立すべき管轄の裁判所がどこか については ご自身でお調べください(要件について、手術要件は除く)。自力で調べる力が無い方は さすがにどれだけ周囲のサポートがあっても、申立に至らないでしょう。

必要書類を取得すべき順番

必要書類① : 申立書
必要書類② : 戸籍謄本(生まれてから現在まで)
必要書類③ : 診断書(裁判所提出用)

記載順は裁判所HPに合わせました。
順番て どゆこと という話ですが、特に②戸籍謄本については「発行から3ヵ月以内」の指定があり、③診断書の取得は 人により それ以上かかる場合が往々にしてありますので、②を先に取得してしまうと、取得しただけ無駄になる可能性がありますので
③→②→①の順で遡って 書類収集をすることを推奨します。
とはいえ 取得する書類の説明する順序は裁判所HPの上記に合わせますので すみませんが ご理解ください。

必要書類① : 申立書

書式をダウンロード上、プリンターが無い方は コンビニの印刷アプリをダウンロードして印刷するのもアリですね。

先述の通り 作成は最後でも良いのですが、ご自身が どのような理由から申立をするのか 実際に書いてみると見えてくることがありますので、試しに軽く 書いてみるのも良いと思います。必要書類②③を集めるのは 正直面倒であるため、そういったことを含めても 申立したいか 自分に問うてみる良い機会にもなります。

原則 裁判所HP記載例に従い、オリジナリティある文章は避けた方が良いです。裁判所が 何を書いて欲しいのか 理解できる方であれば それでも構わないのでしょうが、独創性の高い文章は 裁判所が求める 真の内容が抜け落ちている場合が多いので、あえてリスクを取る選択はされない方が良いです

そして 申立には印紙代がかかりますが、申立する裁判所で購入できますので、心配することではありません。裁判所でなくとも コンビニや市役所、法務局等で購入できます。印紙の費用については裁判所HPを確認ください。
家庭裁判所の窓口で 書類を確認してもらって、問題なかったら 初めてそこで印紙を貼って提出しましょう。

記載例 実例 : 

模写した ものなので、エラい字が汚いですが、実例を添付します。

文章は短く端的に書きましょう笑
いや、枠はみ出ている お前が言うんかい、という話ですが ちょっと言い訳させてください。
私が申立した 2023年11月8日は、手術要件が違憲となった同年10月25日から2週間しか立っておらず、SRS無しに戸籍上の性別変更をした例が 違憲判決後 一例もなかったため、そういったニューストピックや 特に今や死文化されています手術要件についても 今後 各地域の裁判所が どのように判断していくか未知数な時期であったため、今となっては余計な文章を 当時は書くほかありませんでした。
皆さんは 手術要件について言及する必要がありませんし、ただ素直に 戸籍上の性別変更を希望する理由を書いていただければ と思います。

必要書類② : 戸籍謄本

申立書は 印刷できれば簡単に済みますが、戸籍謄本は 役所に取りに行く必要があります。一見簡単そうですが「申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)」と書かれていることに注意が必要です。多くの方は、現在の戸籍謄本だけでは 出生時から現在まで を現在の本籍地の戸籍謄本だけで網羅できないと思います。そうです。生まれたその日まで遡る必要があり、人によっては複数の役所巡りをする必要があります(最短で2025年より 戸籍謄本含めマイナンバーカードの利用によりコンビニで一括取得できるようになる、とのことです。朗報ですね)。

本籍地や筆頭者の生年月日が分からない方へ
本籍地や筆頭者の情報がわからないと戸籍謄本の取得ができません。本籍地が分からない場合でも、ご自身の住所は分かると思いますので、現在の住所地 に本籍地や同一世帯の者全員の記載有にチェックをして、住民票を取得して 読み込んでみましょう。現在の住所地で 筆頭者記載の住民票が取得できなかった場合は、過去の住所地の住民票も 当時の住所地の市町村で取得できますので、取得してみましょう。
世帯全員の情報が載ったものを取得してください。

最新の戸籍謄本を取得しましょう

最新の謄本から順に 辿っていくのが良いです。理由は後でわかります。最新の戸籍謄本が取得できたら、その戸籍が登録された日付について 特にご自身が記載された日付について ご自身の生年月日まで遡れているか確認ください。

実例(一部) : 

例えば 添付は私が取得した戸籍謄本の一部ですが、「従前の戸籍」と「転籍日」の記載があり、私の生年月日が平成9年5月22日のため、この戸籍が作成された平成21年7月21日までの記録では、生まれてから今まで全ての戸籍を網羅したとは言えず、不十分です。
従前の戸籍がある市町村へ「除籍謄本」の請求を行います。除籍謄本は 過去の戸籍謄本であり、記載内容の趣旨は同じですが、コンビニでの取得ができず、除籍謄本がある市町村へ直接請求する必要があります。このまま繰り返し過去に遡って 平成9年5月22日に遡れればクリアです。

除籍謄本 取得時の注意

除籍謄本の取得の際は、既に取得済みの戸籍謄本を一式持っていきましょう。ご自身の家庭環境により、特に 改名している場合や両親が離婚等している場合には 過去の戸籍謄本上 氏名が現在と異なっている場合があり、その繋がりを 今まで取得した戸籍謄本の記載事項で証明していくことになりますので、何も考えず役所に行くと 行っただけ無駄になる可能性が高いです。

私の場合、私自身の改名の他、両親が離婚再婚しており、氏名 両方 出生時と異なっていたため、私が本人であるのに 本人が取れるはずの除籍謄本が取れず、とても苦労しました。

戸籍の場所が 遠方であり 直接出向くことが難しい場合は、郵送にて請求することもできます。詳しくはご自身の市町村の案内を検索して確認ください。この場合、除籍謄本の請求にあたっては 今まで取得した戸籍謄本の写しを添付することで 取得することができます。

私の場合になりますが、氏名が全て異なることや、両親の離婚再婚、それに伴い何度も筆頭者が変わったり、転籍回数も多かったりしたため、他の人の何倍も書類収集に時間がかかり、書類の枚数自体多くなりました。
私が出生した日が記載されている謄本、つまり最も古い除籍謄本は 縁もゆかりもない遠方にあり、金銭的な事情もあり 郵送申請せざるをえなかったのですが、突き返される 可能性も 十分考えられたため、wordで数千字の「解説書」を自作して、必死さが伝わるように 行き帰りの封筒全て 速達にして「不明点があれば 必ず記載の番号に電話して欲しい。」とメモを書きました。
郵便局に出した翌日には 市役所に届き、電話が鳴ったため出ると
「電話してしまい、すみません。不備は無いんです。既に郵送手続きはしましたので、明日には手元に届くと思います。とてもお辛いと思いますが、頑張ってください。びっくりさせたようなら、すみません。大丈夫なので、安心してください。」
良い担当者だと思って、涙が出ました。

戸籍謄本を自力で収集することが難しい方へ
人により頭を使う作業となるため、投げ出してしまいそうな方は、③診断書 既に取得していることを前提に、①申立書も揃えて 申立をしましょう。裁判所としては 要件を満たしている•満たしていない であれ、書類が揃っている•揃っていない であれ、印紙を貼った申立書を持っていけば 受付してくれますので、担当書記官に相談しましょう。

戸籍謄本が必要な理由

戸籍上の性別変更審判を受けるにあたって戸籍謄本が必要となる理由ですが、現に婚姻していないこと など要件を満たしているかどうか確認するためだと考えられます。裁判所等 役所同士連携はしないので、戸籍謄本は自分で取得しないといけない という訳ですね。

必要書類③ : 診断書(裁判所提出用)

取得難易度が高いのは言うまでもなく 診断書となります。そもそも 性同一性障害の診断そのものを 受けたことがない方については、半年から1年要す 医者とのカウンセリングや 身体検査を経て 診断書を取得する必要があります。多くの当事者は そこから数年をかけて治療歴を積み上げ、ようやく裁判所提出用の診断書の作成を依頼する至ったと思います。

診断書作成を拒まれても諦めない

今どき こんな対応を医療機関からされる方は あまりいないと思いますが念のため。私のように SRSの他 胸オペもしていない当事者の場合、医療機関から 書類作成を拒まれる場合があります。私の場合、窓口に作成を拒否され なんとか説得して 面談予約を取り付けても 勝手に予約取り消しを受けるなど、散々な目に遭いました。何度も説得して 院長と対面、私の生活歴等 をお話ししてようやく「私は裁判官ではないが、あなたなら できるかもしれない」と診断書を書く気になってくれました。
「胸オペしていない人には診断書を作らない」と声高に言う医師も存在しています。このような場合は クリニックを変えながら 説得を続けてみてください。繰り返せば 必ず実現できます。不可能は無いです。

診断書の取得にあたって身体検査も必要です

GIDのガイドラインに沿って診断書を取得している方は、身体検査(染色体及び 内性器の検査)にかかる書類を既にお持ちの筈ですが、ガイドラインに沿わずに診断書を取得された方は 別途 身体検査を受ける必要があります。費用は 医療機関により異なりますが 私の場合、診断書作成に約37,000円、紹介状を貰い2人目の医者から印を貰うのに約13,000円、身体検査書類は過去に網羅していましたが 当時かかった費用で言うと約30,000円でした。

裁判所提出用の診断書作成をしてくれるクリニックが見つからない方へ

GID認定医から診断書を取得する必要は無いのですが、お困りの方は こちらを参照するものアリだと思います。

実例 : 診断書(裁判所提出用)

添付の診断書は 私のものですが まだ添削途中だったもので よく見ると作成日付等おかしい部分があります。
私の場合は 私が急いでいることもあり 院長の意向で面談1回で作成することになり、面談時間が足りないことは言うまでもないので 「加筆修正してほしいことがあればlineください」とwordデータを院長のアカウントから送っていただきました。で、その内容に全く満足できなかった私は 大幅にwordデータそのものを書き換え、添付の診断書内容で 押印するよう打診、院長が医療的見知の部分を修正してくださいまして、そのまま印を押してくださいました。このような診断書作成もある、という例です。

これで申立完了できます

上記の資料を集められましたら 申立の土台に立つことができます。他に必要書類を求められることもあるかと思いますが、まずは上記資料を集めるために奔走しましょう。

手術無しで戸籍上の性別変更審判をうける方へ

手術無しで戸籍上の性別変更審判を受ける方は 申立後に別途 裁判官、書記官と(必要あれば参与員も交えて)面談を1-2時間程度行います。精神的にキツい質問も あるかもしれませんが、素直に気持ちを述べて 乗り切っていきましょう。

最後に

申立される方の足しになったら良いと考え、noteを書きました。私自身、現在申立中で この先どうなるか 不安でいっぱいですが 戸籍上の性別変更許可が出ると信じています。皆さんも頑張ってください。
今回は必要書類について、できる限りニュートラルな記載を心がけました。
晴れて 私が戸籍上の性別変更審判許可が得られましたら、必要書類集めのみならず 他に提出した資料や 色々な出来事についても 総括してnoteを書きます。良かったら それも読んでみてください。

追記
名の変更申立についてnoteを掲載しました。名の変更も される方はご一読ください。


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