Cityscape Vol.1 : アムステルダム「De Hallen」

旅行とリサーチを兼ねて、ヨーロッパをまわった際の旅行記。それぞれの都市で印象に残ったスポットと事例をまとめています。
→ ヨーロッパの街歩きから見えた景色

オランダ・アムステルダムの南西エリアにある「De Hallen Amsterdam」。アムステルダム市内に滞在中、市内の各地域で歴史や文化の残る場所を探訪したいと調べていたところ、この De Hallen が施設の成り立ちとして興味深く、ホテルや周辺施設の雰囲気も面白そうに感じたため、宿泊を兼ねて訪れました。

De Hallen とは、もともと1901年に建てられた旧トラムの駅舎。その役目を終えたのち、現在では改築を経て、ホテルやアパートメント、フードコート、レストラン、映画館、図書館、自転車の駐輪施設やリサイクルショップといった、様々な機能が一体化された施設として再活用された場所。

特徴的だったのは、併設のフードコート「Food Hallen Amsterdam」。ワイン・ビアバーをはじめ、イタリア料理・スペイン料理・ドイツ料理・メキシコ料理・ベトナム料理・中華料理、そしてラーメンや手巻き寿司や、もちろんオランダ料理のクロケッなど、様々なフードスタンドが立ち並ぶ。

また、訪れた当時はたまたまW杯の最中。フードコートの一端には特設の会場が設けられており、観光客から地元の人まで様々な国籍をもった人々が1つのスクリーンを囲んで賑わう。その景色を眺めながら、様々なスタンドで購入した料理を口に運んでいると、オランダがいかに国際色の豊かな国柄かを実感できます。

フードコートだけでなく、併設のホテル「Hotel De Hallen」の設計も面白い。旧駅舎の構造を生かし、かつて建材として利用されていた鉄柱、古い赤レンガやコンクリートに、オーナーによって集められたアートやミッドセンチュリーの家具が共存。約1世紀前の建築と現代的なテイストが程良く(というか若干カオスに)組み合わせられた雰囲気は独特です。

さて、これらの体験を踏まえて De Hallen の歴史や成り立ちを調べてみると、なかなか興味深い歴史がありました。

駅舎としての利用が終わった建物が廃墟化したり、その状況を解決しようと著名人を集めて商業活用を計画するも地元住民の反対によって失敗したり、この計画が頓挫した後には建物が不法占拠にあったり・・と、2015年に行われた改築前には、かなりの紆余曲折があったことがわかります。

その歴史と経験を経て、2015年の現在の再利用には様々な立場の人々がマネージメントチームを組み「地域活用できる場所」として価値提供しています。(昨今では表面だけリノベーションされた再活用施設も少なくない中、骨太な系譜を残していることに感激)

施設再利用が地域に与えた影響は周辺の町歩きでも実感。裏通りを出た先の道路が改修されていたり、新しい店舗が建設中だったり、若くオシャレな人々が集まれるショップが(まだ点々とながら)あったり・・と、街の変化の兆しのようなものが辺りに偏在していました。

日本国内でも、「旧施設の再活用」というテーマはこれから大きく増えていきますが、その中で De Hallen の成り立ちや歴史、施設としての"いま"は、大きなヒントになりそうです。

P H O T O G R A P H

麦田ひかる / Hikaru Mugita
THE GUILD アートディレクター / SCNR Inc. 代表。ブランドデザインやエクスペリエンスデザインを通じて、企業や事業の価値を高めるお手伝いをしています。
TWITTER : @HikaruMugita
ありがとうございます:)
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麦田ひかる

Cityscape

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