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同人誌をやってみて思ったこと

自分が何をやりたかったのか?ということを
ことばにしてみようと思う。
商業誌でやる「仕事」と同人とは、どう違ったか。

漫画を描くなら仕事だろうが同人だろうがネームは切ると思うけど、
(ネームってのは、漫画の下書きのさらに下書き、設計書みたいなものです)
この、ネームができた時点で
「あれ?いつもの自分とたいして変わらないな」って思った。
これってつまり、仕事でもわたしは ほぼ自分の好きなように描かせてもらってるってことだ。
すごいな。
稀有なことだと思う。すごくありがたいことだ。
では、
なぜ同人誌をやりたいと思ったのか。


たとえば、
「これを描くと、解釈によっては傷つく人もいるかもしれない」とか
「これを描くと、意地悪に解釈した人から責められるかもしれない」とか
「わたしの描きたいことと、皆の正しいと思うことが違うかもしれない」とか
「ここまで手を入れてしまったら、わたしはむしろウルサイ画面になると思うけど、でも、手を入れなかったら、読者からは手抜きだと思われそうで怖い」
とか。
そういう、
ごくごく些細な不安・小さな不安から、自分を解放してみたかった。
これに尽きます。

それらの不安は、作品の本質にはほとんど影響しないけれど、
描いている本人にだけ、手足が縮こまったような息苦しさを与え続ける。
わたしは、
好きなことを好きなように描く僥倖(たとえ売れっ子であっても、なかなかそんな機会には恵まれないくらいの僥倖)に恵まれ続けたくせに、
自分で自分を苦しめてきたんだと思う。
わたしはこの息苦しさから、いちど解き放たれてみたかった。


つまりね。

正直に言うと、
仕事と同人は(わたしにとっては)大して変わりはなかったです。


でもね。
同人の原稿やってるときの楽しさったら、ものすごいものがあったよ。
はじめてペンを手にして原稿を完成させた日の高揚よりも、はるかに。
これってすごいことだ。
つまり、わたしはすっっっっっごく、楽しかったんだ。
あと、
自分を解放することと読者を大切にすることとは相反しない ってことが
わかって、(これ重要)お仕事のほうにも、気力が湧いた。
いいことづくめだ!
唯一、モトは…とれないけど…、うまく売れたら赤字は出ない…
…かもしれん(笑
そこは不慣れなので、お得なやりかたをよく知らなかったせいもあると思う。
そういうところも含めて、同人だなあ楽しいなあと思えた。


今回出した同人誌を、あとがきまでぜんぶ読んでいただけた方には
もしかしたら、なんとなく
なんとなーーーく、
わたしのやってみたかったことが伝わるかもしれんです。
でも、そんなの伝わらなくても、読んでもらえたらそれだけで嬉しいです。

コミックマーケット88 三日目
8月16日(日曜日) 西館 れ57a サークル名「親不孝Street」にて
二宮ひかる個人誌「親不孝STREET ハヤブサ」を頒布します。

おでかけのついでがありましたら、ぜひ。
ふと思い立って来るには大変ハードなイベントではありますので、
体力・金銭的な無理はけっしてなさらぬように
どうぞよろしくお願いいたします。

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