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異空間摩訶不思議建物〜ドラード・和世陀〜

この日、友人が仕事で早稲田大学に用事があるということで私も一緒にくっついていくことにした。早稲田大学は友人の母校で、若き青春時代の話を聞きながら大学構内をぐるぐるまわる。


ここはキャンパス、学びの場である。当たり前だが、学生さんもたくさんいた。私は歩いている時、友人から「挙動不審だ」と言われる事がある。

けれどそれは仕方がない事で、私のもつ全視界を建物に集中させながら歩いているのだから他の事なんて考えてられない。自分の視界がシマウマ並だったらなあと思う。この日も変わらず挙動不審になりながらキャンパス内をふらふらと歩いていた。

一番見たかった演劇博物館は工事中だった為、納得のいく外観写真が撮れなかった。次回だ次回。


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しかしかわいい、いいね。

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講堂も見てみた。


程よく満足したので、早稲田大学を出て、駅方面へ歩くことにした。




交差点に向かっていると見えてくる摩訶不思議な物体。

若干怪しい雰囲気がありつつも曲線美の美しい少しヨーロピアンな雰囲気漂っている。


その名も『ドラード・和世陀』設計は異彩を放つ建築家・梵寿綱だ。

ドラード・和世陀は梵寿綱シリーズの中でもトップクラスにキュートで乙女チックな外観だなあ、と感じる。

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早稲田大学のOBでもある梵寿綱(早稲田大学理工学部建築学科卒業)…そうか、ここは思い出の地なんだね。

学び舎のある思い出の地に自分の作品を残し、それが今でも残って愛されているなんて素敵な話だ。

横断歩道を渡り、反対側の歩道へ移動し建物全体の写真を撮る。

やっぱかわいいよ!

だんだんテンションが上がってきた。

外壁のカピスのようなゆらゆらとパステル輝くタイルが宝石に見えてきた。お菓子の家みたいにキュートだ。

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梵寿綱の他にもタイル職人や彫刻家などの15、6名近くのアーティストが関わっているという。

外観からも感じられる気迫と遊び心に見ているこちらまでわくわくしてくる。

様々な和も洋もごちゃ混ぜな絵柄のタイルたち。


2020-04-27 2.00のイメージ (3)

いったいなにを連想して、想像して彫ったであろうか検討もつかないいびつな形をした彫刻もある。

抽象的かつ、激しく、訴えかけるなにかがある。それがなんやねん、って話なんだけど。
飲み込まれるような、いろんな人間の脳内を覗き見しているような感覚になる。

白い壁に赤い水玉模様の、ぷち草間弥生ゾーンから全身刺青ちっくな極道みのあるナイスバディなお姉さんの像。

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かわいいは毒であり、毒があるからかわいい…と夜中に裏アカにツイートするまでもない5流キャッチコピーが浮かんだ。

やはり梵寿綱の建築は内側からくるな、とじわじわと体の中に入ってくる建物だ。



はめ殺しの丸窓に描かれた時計の絵。

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ここは店舗部分で、メンズヘアサロンが入っているらしい。
エキセントリックなテナントにお店があるなんて、いい目印になるよなあ。


初回のお客さんはカット中に「特徴的な建物だったので、すぐわかりました(笑)」と話しをする率93%とみた。私なら絶対話す。か、あえて触れない。(捻くれ者)



入り口の床には謎の人物が…。

コミカル怖い。

さくらももこの作品に出てきそうなタッチだ。

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きっと「うんべろば〜〜〜!」と言っているに違いない激しめな口元。

魔除けというか、門番的なイメージなのだろうか。
たしかに一瞬入るのを躊躇ってしまうデザインだ。


アールの壁にはモザイクタイルで「WASEDA EL DORADO」と装飾されている。やわらかなグリーンとイエローのグラデーションがとても可愛らしい。

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いったいどんだけのタイルが使われているのだろうか。

よく仕事で主に洗面まわりに使用するタイル。年々タイルの種類も色合いも増えてきてSNSで見つけた画像をお施主様(奥様)から「こんな感じで造りたい」と理想の状態を見せていただく事も多くなった。そしてだいたい使用する色合いは3色くらい。なのでこのドラード和世陀の外観を見ているとタイルメーカーのカタログを見ている感覚になってくる。


ここから私は中へ入ろうと思ったのだが、下調べ0状態だった為奥に進むことを躊躇してしまった。あの足元の門番の仕業だろうか。

建物の中にはギャラリーも入っていて、そこまで行ってみる事にした。

もう異空間へ繋がっているのではないかと思うエントランスまでの通路。


お目当ての存在は私の前に急に現れた。少し薄暗い感じがまたいい。

知る人ぞ知る「ぶら下がった手のオブジェ」だ。

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私のボルテージは一気に上がった。

そして天井装飾。ステンドグラスに水滴モチーフのガラス装飾。

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意味がわからない。けどきっと意味はある。

そんな哲学的な気分になり、答えが見つかる見つからないは自分の頭の中にあるはずだ。

と、向き合うスイッチが入ってしまう位、難解でエンターテイメントな空間である。

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自分自身の脳みそで考えて感じて、楽しむアートの世界。
もぐもぐごっくんして、自分なりの答えを出そう。


あくまで私の感覚・基準だが、良い建物というのは酔うことができる。

私はこの場所、空間で非常に良い酔い方ができた。


おわり

※こちらの内容は2020年2月以前のものです。


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