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子どもにとって、専門スポーツが抱える問題点

皆さま、こんにちは!引原です。

noteでは、子どもたちの遊びと心身の成長との関係などについて、ご紹介していこうとおもっていますが、今回からはより具体的な内容を紹介していきたいと思います。

今回のテーマは、「子どもにとって、専門スポーツが抱える問題点」についてです。

子どもと専門スポーツの付き合い方

前回、『身体活動の不足』が深刻な問題になっていること、そして、それを解決する方法として、子ども時代の「運動習慣」や「ライフスタイル」の中に「遊びの中で身体を動かす(運動遊び)」という経験が有効であると紹介しました。

では、なぜ幼少期、児童期の子どもによい専門的なスポーツ活動ではなく運動遊びを推奨しているのか。その理由をスポーツが抱える問題に焦点を当てながらお話させていただきます。

(Photo by Sandro Schuh on Unsplash)

近年、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催や日本人アスリートの活躍なども相まって,スポーツクラブへの早期加入やスポーツの専門的な指導の早期化の風潮があります。おそらく、マスメディア等を通じた情報により、早くから専門的なスポーツに取り組むことが、その後の成果(成績)に結びつくという考えになってしまうのかもしれません。

しかし、アメリカ小児学会の専門員の見解によると、早くから特定の競技スポーツを実施する子どもの10人中7人が13歳までにそのスポーツから離れてしまうという実態が明らかにされています。また、旧東ドイツやロシアなどの東欧諸国における子ども期からの選手育成では、早期に離脱していくことや、シニア競技で活躍する可能性が低いこともわかっています。

早期に離脱する原因の1つに、過度に競技性を追求したことよるプレッシャーなどの精神的なストレスや、オーバーユースによるスポーツ障害があげられます。

シニアクラスで活躍する選手の多くは、必ずしも競技開始年齢が早いとは限らないことや、児童期に1つの競技スポーツに特化していないというデータもあることから、子どもにはあまり早い段階で特定の専門スポーツに注力させることは避けたほうがよいでしょう。

(Photo by Jose Morales on Unsplash)

子どものスポーツ離れと、不活発なライフスタイルになる理由

ある東京都の調査によると、東京都の児童の60%が1日に60分も運動していないことが明らかになっています、さらに、運動・スポーツや体育授業への嫌悪感を抱いている児童は最大で10%程度、運動したいと思わない児童の割合は最大で15%程度にのぼります。

そして、その傾向は、学年進行に伴いより目立つようになり、その理由として考えられるのが、前述したプレッシャーに加え、スポーツ時にしばしば起こる序列や優劣を決めてしまうことにありそうです。

実際に、身体を動かすことが嫌いな非アクティブ層では、「上手な人と運動やスポーツをするとき」や「勝ち負けにこだわる人と運動やスポーツをするとき」に特に否定的な感情を抱くことがわかっています。

これは、専門スポーツ活動における勝利を追及する雰囲気、選手の序列や優劣が明確になってしまうことが身体を動かすことへの抵抗感を高めてしまっているのかもしれません。つまり、運動・スポーツ活動を通じた成功体験が不足し、自己肯定感情が醸成されていないということが、子どもをスポーツから遠ざけている要因の1つになっている可能性があります。

さらに、競技スポーツを前提とするスポーツコミュニティ(民間スポーツクラブ、学校部活動)以外の運動実施環境(組織団体)が周囲に少ないことも、子どもが非アクティブなライフスタイルになってしまう要因の1つだと考えています。

(Photo by Markus Spiske on Unsplash)


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