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ルーテシア3RSという車について

 この記事は私が現在所有している、ルノールーテシア3RSという車を紹介しているものになります。中古車で購入をしてから9年目に入り、その間に20万km走りました。新車で販売されていたのは約13年前になる車です。今の水準で見ると、どんな立ち位置になるかも含めて紹介できればと思います。



日本車でいうとフィットやヴィッツ?

 ルーテシアという車は、フランスのルノーというメーカーが生産・販売している車になります。ルノーは1899年に設立された歴史あるメーカーで、日産と資本提携を結んでいる関係です。そんなメーカーが生産している、ルーテシアという車を一言で簡潔に表現すると…。

 “フィットやヴィッツみたいな車“

 こんな表現がピッタリです。大人が4人無理なく座れる程よい大きさのボディを持ち、使い勝手が良くて価格も抑えられている「これで十分だな」と、思える車。フィットやヴィッツは、そういう存在の車かと思います。ルーテシアも、フランスではそういう位置づけの車です。そのため欧州では、年間に何十万台と売れているヒット車種だったりします。

 そんなルーテシアですが、現在は5代目のモデルが販売されています。私が乗っているルーテシアは、3代目のモデルになります。ボディ形状はハッチバックだけではなく、ステーションワゴンも本国では販売されています。グレードも多岐にわたり装備が簡素なモデルから、革シートのモデルも設定されています。その中でも私が乗っている「RS」と呼ばれるグレードは特別な存在になり、とにかく走りを極めたグレードになります。

速く走れるのは付加価値?

 日本人の感覚からすると、理解し難いかもしれませんが…。欧州では高性能な車を買えば、所要時間が短く・快適に移動できるという感覚があります。速度無制限のアウトバーンがある、ドイツでは特に意識が強いと思います。そう「速く走れる車は付加価値がある」世界なのです。

 そして移動する道具という側面だけではなく、車の運転は楽しいもの・楽しめるものという感覚もあると思います。その背景には日本とは違い、制限速度が実態に則したものになっているからです。例えばフランスでは人通りの少ない田舎道へ行けば基本は90km制限になり、高速道路の推奨速度は130kmになってます。日本だと”スピードは控えめに”というスローガンのもと、とにかく速度を抑える後ろ向きの施策ばかりですが…。欧州では正しくルールを守り・正しく車を走らせることを目指せば、高い速度で運用しても何も問題ないという発想に基づいてます。

 ちょっと話はそれましたが、そんな環境なので欧州メーカーの車は基本的に運動性能がいいです。走りを楽しめる環境があり、速さが付加価値に繋がるとなると…。どんな車にでも、走りを楽しめるグレードが設定されていくようになります。それは実用的なハッチバック車にも設定されるようになり、当然のようにルーテシアにも設定されることになります。

ルノースポールという存在

 前置きが長くなりましたが、こうして走りが楽しめるグレードがルーテシアにも設定されるようになりました。ところが競合他社も同じ様な車を発売してきます。ルノーはライバルに負けないように、より一層走りに磨きを掛けていくことになります。その流れで「ルノースポール」という、F1マシンを開発していた部署に開発を依頼することになります。全てはライバルに負けないため、より走りを楽しめる車にする目的のためにです。

 ルーテシアだと2代目からルノースポールが開発するようになり、4代目までのルーテシアにルノースポールというグレードがあります。やがてルノースポールの頭文字をとって「RS」と表現される様になります。そのRSの中でも、私が乗っているのは3代目になります。通称”ルーテシア3RS"と呼ばれる車です。ルノースポールが手を加えた主な個所は以下の通りです。

・7500rpmまで回る高回転2リッターエンジン
・専用6速ミッション
・専用に強化されたボディ
・強化されたブレンボブレーキ
・特別な構造をしたサスペンション
・ボンネットなどを軽量な素材に変更
・F1のテクノロジーを取り入れた空力デバイス
・乗り心地と操縦性をバランスさせたダンパーセッティング

 主だった項目としては、こんな感じです。目に見えるとこから、見えないところまで手が入れらたものになりました。このRSというグレードはメガーヌという車にも設定されていて、シビックタイプRとニュルのタイムを競っていたことで知られた存在かもしれません。

走らせてみると…

 ルノースポールが開発した、ルーテシア3RSを走らせると…。その完成度に驚きます。マニュアル車の免許がある方であれば、苦も無く普通に転がすことが出来る車です。高回転NAエンジンの割には下からトルクもあるので、低速域が乗り辛いこともないです。乗り心地も至って温和で、シートも快適です。

 ところが、いざシフトダウンしてアクセルを踏んでいくと、別の顔を見せてきます。アクセル開度に開度に応じて粒ぞろいの気持ちいい音を発しながら、淀みなくエンジンが回っていきます。4000rpmあたりから可変バルタイが切り替わり、レッドゾーンへ向けて更に勢いよく回っていきます。このアクセルに呼応するエンジンは、NAエンジンならではの気持ちいいレスポンスが味わえます。素人でもギリギリ扱え切れそうなパワーになっていて、速さ・乗りやすさ・スリルが、いい具合に混ざってます。

 そのエンジンを支えるシャーシ性能は前後のグリップバランスが素晴らしく、程よくリアが逃げるセッティングになっているので、どこからでも曲がっていけそうなコーナリングを見せてくれます。車の回転軸が車両の中央にある感じで、FF車なんですが一味違うコーナリングです。7割ぐらいのペースまでは誰でも安心して踏み込めて、8~9割は頑張れば使える領域で…。10割ぐらいまでのペースになると、結構シビアな動きを見せる側面もあります。でもそのシビアな領域に挑みたくなる、挑ませるような車になっています。

 足回りに関しては、ダブルアクスルストラットという特別なサスペンションになっており、スクラブ角がゼロに近い自然なステアフィールになっています。車重も1240kgと、現代の基準でみれば軽い部類です。自分が思った場所へピタッと車を運び・留めることが出来る完成された車です。

最後に…

 ルーテシア3RSは2006年から発売され(日本への正規輸入は2009年より開始)、当時の考えられた走りに役立つ全てのものが装備されている状態です。その一方で古典的な面もあり、20世紀と21世紀が混在している車に思います。ガソリン車の終焉が見え隠れしてきている時代になりましたが、そんな時代だからこそ輝く1台になってきたかと感じています。楽しいですよ、この車。スイフトスポーツやシビックタイプRなどを検討されている方は、ルーテシア3RSも検討されてみてもいいと思います。

 私はこの車を中古車で購入して、今年で8年目になります。通算で24万km乗っており、それでもまだ乗っていたいなと思える車です。ただちょっとメンテナンスなどに費用が掛かる部分もあるので、次回の記事ではそんな部分を紹介できたらと思います。

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