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44.マーケティングに目を向けよう 勇気を持った値上げの重要性

 久しぶりに中小企業診断士としての話。コロナが落ち着いても業況が厳しい事業者さんは多いです。今問題なのは売上が上がらないこと、この点をマーケティングの4P(特にPrice)から考えてみました。

 コロナ以前と比べて売上は同程度には回復しています。しかし、それでは足りない。なぜならコロナ前と比較して費用が相当高くなっているからです。

 いくつか例に上げてみます。

 人件費。最低賃金の引き上げも問題ですが、人材不足による人材獲得競争が激しくなっており、賃金を上げないと採用できない状況となっています。

 光熱費。特に電気代の高騰。「前年比1.5倍程度になっている」などとも聞かれ、製造業や小売業などで電気を多く使う業種では、死活問題となっています。

 荷造運賃。円安の影響もあり、ガソリン代が高騰しています。運送業だけでなく、小売業等物流を利用する企業は大きな影響を受けているようです。

 このような状況で何をしなければいけないか。当たり前ですが、売上を増加させること。もっと言えば、単価を引き上げること。

 経営者の方から「簡単に言うなよ」と言われそうですが、早期に単価の引き上げをしなければ急速に業況の悪化が懸念されます。

 コロナ前までであれば、ある程度「経費を削減しましょう」といった改善策を立てることができました。しかし、今は数年前と全く違う。経費を削れる企業がほとんどありません。前述のように各種経費の上昇と、コロナ禍で経費削減をすでに進めた結果によるものと考えます。

 経費負担が大きくなっている以上、利益を維持、あるいは増益となるためには、売上をこれまで以上に上げるしかありません。当たり前の事ですが、意外に理解していない経営者の方も多い。

 売上は単価×販売量ですから、いずれかをあげなければならない。販売量は顧客が決める要素が強いため、売上増加は一朝一夕には難しい。となれば、単価を上げるしかない。

 確かに単に単価を上げること(いわゆる値上げ)は勇気が入ります。値上げをすると、顧客がライバル企業の商品に流れてしまう要因となってしまうからです。

 しかし、今は値上げをしやすい環境。ニュースでも「●月から●品目の値上げがされます」など、値上げに対して「しょうがないよね」という風潮が強い。また、「リベンジ消費」という言葉ができたように世間の消費意欲は高めです。サービスや嗜好品に対して、一定の値上げは許容されると思います。

 また、単に値上げをするのではなく、商品やサービスの見直しを同時にする事で、より値上げを受け入れやすくさせることも可能です。サービスであれば、繁忙期は値上げする一方、閑散期には値下げする事も一案です。より魅力的な商品にするため、個々の商品を見直す事も大切です。

 今一番良くないことは「動かない事」。経費の上昇も当面続く中で、何もせずに我慢し続ける事は限界がきます。「まずはやってみる」「失敗だったら見直す」といったアジャイル思考が必要。トライアンドエラーを繰り返しながら最適解を求めていくという、経営の基本が今こそ必要だと思います。中小企業診断士として、経営者の背中を押し伴走していきたいと思っています。

 最後まで読んでいただきありがとうございました♪

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