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才能と運は別。

さて、今日も呟きを書いていきます。前回の記事はグリーズマンについて。

今回も苦境に立たされている選手についての呟き。リキ・プッチです。

本文

リキ・プッチという選手は才能に恵まれた選手である。

特にボールを持った時のテクニックが素晴らしい。パス精度、縦への意識、プレス耐性、ボールを受ける位置。間合いの作り方。ボールを受ける→ターンする→スルーパスの流れるような動作は見ていて惚れ惚れする。

この一連の動作は現トップチームの中盤の誰よりもスムーズだと思う。今のチームでシャビやイニエスタに最も近いのは間違いなくこの男である。昨季の後半戦、それまでの主戦場がセグンダBであったにも関わらず、プリメーラのチーム相手にも臆することなく自分のプレーができていた。メンタル的にも成熟している。

そしてバルサの中盤になるために生まれてきたような選手にさらにスピードが備わっている。彼を見たことがない人がいたら多分意外だろうが、リキはかなり足が速い。その速さは特にハイプレス時に活かされる。フルスプリントで相手にプレッシャーをかけていく様は爽快感すら感じる。

だが1番の才能はそのスキルやスピードではなく「愛され力」かもしれない。リキがトップチームで出場したのはまだ10試合程度。つまり、所謂「未知数」の選手である。

にも関わらず、なぜ多くのクレが「彼を使え」と叫ぶのかと言えば、もちろん彼の能力故なんだけど、そもそも大前提として好かれているから。シャツをパンツに入れてピッチを走り回る姿は可愛げの塊であるし、フットボールを楽しんでいる若手を見るのはファンの楽しみの一つである。彼を見ているとサッカーって楽しいなって当たり前のことを思い返すことができる。

リキは今のバルサでセルヒオ・ブスケツと並んで最もバルサっぽい選手だと思う。バルサを愛する人間であれば、彼のスタメン定着を願わずにはいられないって人が多いのではないか。バルサがバルサらしくあるためには彼のようなMFが必要なのである。

その一方で。

リキ・プッチという選手は運に恵まれない選手である。

多くの若い選手にとって分岐点となるのは、18歳の年。アンスのように16でデビューする早熟の選手もいるが、大抵は18前後が基準になると考えていい。

リキが18歳になった時、バルサのトップチームはリオネル・メッシとルイス・スアレスの強力2トップが中心のチームになっていた。中盤の選手には創造性よりもフィジカル的強度や、戦術的柔軟性が求められるようになった。

そのような状況では、とてもではないがリキのような選手はお呼びではなかった。リキは時の監督であったエルネスト・バルベルデやメッシにその才能を評価されながらも、トップチーム昇格を果たせないまま、20歳を越えた。

リキがようやく運を掴みかけたのが、今年の6月。コロナウイルスによる中断で過密日程化したリーグ戦。さらにはアルトゥールの退団とフレンキー・デ・ヨング、セルジ・ロベルトの負傷がリキへの追い風となった。

選手層が薄くなった中盤で、リキは5試合に先発出場。中断明けで最大の大一番のアトレティコ戦でもスタメンを飾るなど、大幅に出場機会を増やし、来季に期待を持たせた。

そして今夏。攻撃の核だったスアレスの退団が決定。守備貢献度の低かった彼の退団はリキに明るい未来をもたらすはずであった。

しかし、今季新監督に就任したクーマンは従来の4-3-3ではなく、4-2-3-1のシステムを導入。純正インテリオールのようなリキにとって4-2-3-1にはハマるポジションがないのである。

かくして、リキはクーマンに戦力外通告を受けることになった。正確に言うと十分な出場機会を与えられないからという理由で、レンタル移籍を勧められた。

なんたるタイミングの悪さだろうか。もし、今季クーマンが就任しておらず、今季のメインシステムが4-1-2-3のままであればリキはインテリオールの選手として1番手だったかもしれない。僕自身の今季見たいイレブンの中にも彼の名前はあった。

サッカー選手のキャリアは往々にして運に左右される。才能があってもそれに見合うキャリアを歩けるのは一握り。タイミングとか主力の怪我とか。そういうのが本当に大事。

例えば17歳にして今季スタメンを勝ち取りそうなアンス・ファティも昨季序盤戦で前線に怪我人が相次いでいなければ、ここまで早くトップチーム昇格しなかったかもしれない。まあ今の活躍を見ると遅かれ早かれだったとは思うけど笑

状況が、時代が違えばリキはとっくにチームの主力の1人になっていたかもしれない。まあそんなことを言っても仕方はないんだけど、思わずにはいられない。歯痒い部分はファンも思ってるけど、本人が1番悔しいだろうなぁと。

ただ、その状況でも残るって言うリキのバルサ愛は半端ではない。近年、バルサはカンテラーノの流出が相次ぎ、その流出したカンテラーノから次々に苦言を呈されるという状況になっている。特に今のフロント陣のカンテラーノに対する扱いは酷い。

にも関わらず、この状況になってもリキは残留を選んだ。その愛の深さには頭が下がる。戦力外の状態からポジションを奪いに行くのは半端なく難しい。今季もBチームからのスタートになるわけだし、非常に厳しい状況に追い込まれた格好である。現実的にはかなりキツい。

21歳を迎えたリキに残された時間はあまり多くない。あのクオリティの選手がこの年齢でまだ3部所属というのはなかなか辛いことである。リキはレンタルでどこかのクラブに出たこともないので、同年代のトップの選手たちと比べると圧倒的に経験が不足している。タイムリミットは刻一刻と近づいている。

だからこそ今季は特に応援したい。僕はこれまで彼の起用にはどちらかと言えば、慎重派だった。クオリティに疑いはなかったけど、前述のメッシ・スアレス体制のバルサで活きるのは難しいと思っていたから。そしてスアレスはもう1シーズンバルサに残ると踏んでいた。今は状況が違う。

今季も過密日程であるし、コロナウイルス感染による主力の不測の欠場もあると思う。開幕戦を見る限り良い方向に進み始めたバルサには今まで以上にリキが必要なはず。絶対にチャンスは来るだろうから、それを活かしてくれれば。運を見返してほしい。

あとがき

特に解決策はない!気持ちを書きたかっただけ笑。

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