カスタマーサポートの経験がデザイナーとして成長させた

十数年前、大阪のまだ当時小さなASPを提供するベンチャーでの仕事が最初のキャリアだった。

入社まもなくして創業期のデザイナーが辞め、UIデザインとコーディングを兼ねてやることになり、結果としてその経験が今でも活きている。

このとき、開発者としての仕事だけではなく、カスタマーサポートもやっていたのだが、それが今「ユーザーのことを考える」ことの起点になっているような気もするな、と最近振り返ったときに思った。

まずカスタマーサポート業務として、自分たちのサービスを利用しているユーザーの声を聞くことができる。何が問題で、何を求めているのかを知り、必要があればすぐに対応できた。

そしてメールによるサポートだったので、テキストによるコミュニケーション能力も伸びた。相手の感情がテキストだけでもある程度読み取れるし、どういうタイプなのかもわかるので、ある程度相手に合わせた言い回しもできる。ライティングはデザインの大きな要素だが、言葉選びのセンスのようなものもこのときの経験が今も活かされている。

またメールによるカスタマーサポート業務においては、そのやり取りの回数をいかに少なくして問題を解決するかというのが重要で、テキストでいかに求めている回答を与えるか、という能力も身についたように思う。もちろん重要なのは回数を減らすことではなく、早く解決すること、である。
メールのテンプレートはもちろんあるが、前述の通り相手にあわせた伝え方にしたり、何を求めているかを想像して「提案する」というのを心がけていた。ああ、今思えばこれはカスタマーサクセスだったのかもしれない。

提供していたサービスはSEO関連のツールであったが、オプションでWebサイトに対する診断のようなこともやっていた。それもサポート業務の一貫としてやっていたので、SEOに影響することのアドバイスはもちろん、ユーザビリティとしてどうあるべきかというのを提案していた。

手を動かしてデザイン筋を身につけることも重要だが、業務的にユーザーと接する、言葉の伝え方を考える機会があったのは良い経験だった。

明日の元気の素になります。