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メタファーと記号接地問題

言葉に代表される記号と、現実世界とのつながりがどのように形成されるのか? AI時代の到来を迎え、ますます重要度が増してきている問題を、記号接地問題と言うそうです。

『言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)では、その原初的な段階をオノマトペに求め、それを論証している点で注目されます(https://note.com/hima_gine/n/ne38ac31b97e2 参照)。

ところで最近、この記号接地問題で、やはり抜きにできないのではないかと密かに考えているのがメタファー(=隠喩、暗喩)のことです。

メタファーというのは、いまさら解説するまでもなく、ある種の喩え、全く別物である2つの記号を、その内包の共通性などを足掛かりに等号で結ぶ、レトリックの代表的な技法の一つです。

ではなぜそのメタファーが、記号接地問題に関わってくるのかというと、喩えとして用いられる言葉≒記号には、腹落ちした内実≒現実感があり、だからこそ喩えられる記号を補完する説明になると考えられるからです。

もちろん、それこそ単なるレトリックとして、記号間の戯れ、お遊びとしてのメタファーが数限りなくあることは重々承知しています。ですから、そのすべてがそうだというつもりはありません。ただ、認知の過程において、いわゆる気付きとしてのメタファーには、そうした側面もあると考えてみたいのです。