地方漁港寿司より銀座寿司が美味いのを説明してみる/寿司美食論の続き

関連記事

はじめに

この記事の続きというか、この記事だと「美食論」に偏っててきちんと説明できてなかった部分があったと思ったので、補足説明です。

地方漁港寿司はたいして美味くない

前の記事は、「銀座は寿司屋横丁と言ってもいいくらい寿司屋だらけで、淘汰圧があるのでマシな店が残りやすく、また切磋琢磨してめちゃくちゃ美味い店もある。」「地方は淘汰圧もないので当たり外れが大きすぎるし、切磋琢磨がないので超美味いは生まれにくい」という話をした。

そうではなく、地方寿司がなぜたいして美味くないのかについて説明しよう。

地方漁港そばの強みとは

ちょうど今くらいの季節しか食えない究極の超高級ウニとして、「赤うに」というのがある。「赤うに」でググって出てきたのを見ると、「60gで21600円」する。

画像1

では、このウニは地方なら安く食えるか?

このウニは銀座のほうが安くて美味いのだ

このクラスの最高級品になると、豊洲市場という日本で最高の市場で競りにかけないと、きちんとした値段がつかない。だから、たとえ産地であっても、「産地から輸送して豊洲市場で競りにかけられたものを競り落とし、Uターンで産地に送り返す」のだ。よほど漁師に強いコネでもないと、銀座で食べたほうが新鮮で原価が安い(帰りの運賃がかからない)ということになる。

一流の食材は輸送すれば東京銀座が高く買ってくれるので地方で売る理由がない。銀座の値段から輸送費引いた値段(大して変わらない)くらいで安定した量を常に買ってくれるなら考えるけどって感じ。地方にこんな高級なウニを大量に毎日消費できる店は無いので、ありえないわけだ。(ごくごく少数、地方でミシュランとって物好きが通ってるような店はある)

逆に、売れても安い三流の食材は、輸送費かけて豊洲市場に送るより地場で買ってくれるなら凄く格安になる。

整理するとこうだ

100gで3万円の超一流ウニ=豊洲に運ばないと売れない、輸送費手数料、経費3000円で27000円の儲け。地方で輸送費かけずに売るなら27000円

100gで3000円の三流ウニ=豊洲に運ぶと経費で2000円、1000円の儲け。地方でそのまま売れるなら1200円でいいよ

そう、地方の強みとは、「豊洲市場に送るほどでもない三流品が東京の半値以下の格安で手に入ること」なのだ

観光地という強み

北海道とかに旅行したことある人は、そりゃまあごまかしのないソフトクリームやメロンは値段に比べてすごく美味いけど、海鮮丼とかはわりと観光地価格でぼったくられて大したことないし、カニラーメンとかは最悪、という経験をしたはずだ。漁港のそばの寿司屋もこれと同じことである。

北海道の、道の駅とかで出てくるうに丼5000円。ご飯がみえないくらいミッチリと「三流品」のウニが乗っている。同じものを東京で食うよりは500円くらい安いかな?

店の人=輸送費上乗せ丸抜きして5000円の丼で3000円の儲け

お客さん=東京なら5500円する丼を5000円で食えて500円儲け

ウィーンウィーンですね。味は東京で食うのと大差無いから客は不満かもしれないが、観光地なのでリピートは気にしなくていいです。最強!

逆に、周りの店が5000円で三流ウニ丼を出してる中で、誠実に10000円の原価70%ごえの究極ウニ丼を出してたら、味のわからない客から「高いボッタクリだ」と思われて店が潰れます。

そもそも観光地で銀座よりうまいもん食えると思ってるやつはバカなんだからバカ相手の商売するなら三流品でボッタクリしてボロ儲けするよね。

地方で本当に食うべきもの

地方で食うべきは高級寿司じゃなくて、銀座とかでは絶対におめにかかれない、その地方だけで消費されてる超マニアックな海産物とかなんだよな。

それこそフジツボの味噌汁とか、そこでしか採れない聞いたこともない魚や貝を食ったほうが美味いし、いい経験だと思うぞ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?