美しい人

しずくだうみを知ったのは爆裂じろう祭りだったと思う。

そのひとは闇ポップを自称してパッとしない主人公が出てくる歌をめんどくさそうに歌っていた。面白いなって思ったけど、そこに共感して触れ合うのも痛い気がしてずっと遠巻きに眺めていた。なんとなく、自分と同じ匂いを感じたからなのかもしれない。水色という曲が好きだと思った。

以来、つかず離れず。アルバムは買うけどライブに行かないという感じの人になっていた。いいかなって思う新曲があっても、わたしのなかで水色は超えなかったし正直誰かに推したいとも思えなかった。たまに絡むTwitterでも音楽の話題なんて出たことがなく、闇ポップシンガーというよりちょっと病んでるお姉さんというポジションに変わっていった。

だから新しいアルバムを出してライブを休みますと言った時も、それ以上でも以下でもない。ジャケットはきれいだなって思ったけど、発売日に予約するでもなくトレーラーを見るでもなくライブを予約するでもなく、ずるずると聴くのを延ばしていた。そのうち世の中は緊急事態になって彼女のワンマンも飛んでしまった。

昨日やっと聴いた彼女の新しいアルバムは軽く衝撃だった。ライブにも縁ないのに気にかけ続けていたことがすっと腑に落ちた感じ。そうか、これを待っていたのかもしれない。過去作で不安定だったボーカルもアレンジも全然不安感なかった。だうみ、やるじゃん。(姐御目線)

魂が共鳴する感覚が久しぶりに訪れている。

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