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ハム飼いさんに聞いてみた!「ハムスターの好物は何だ?」アンケート

何でも食べるといわれるハムスター。
しかしハム様にだって好き嫌いはある!
第1回のごはんアンケートでは、どんなごはんを食べているのか、ごはん全般についての調査でしたが、今回は質問を細かくしてハム様の食の嗜好性について検討してみました。
果たしてハム様の好物第1位は? 不人気第1位はやはりペレットなのか?
調査結果を紹介していきます。

本調査は、Googleフォームで作った簡単なアンケートをTwitter(X)上で告知しただけの簡易調査なので統計的に有効なデータとはいえませんが、思いがけない発見があるかもしれません。一つの読み物としてお楽しみいただければ幸いです。

調査期間:2024年1月28日~2024年2月11日
調査方法:Twitter(X)上にてアンケートを告知(URLを提示)
回答数:69
質問内容:Q1=ハムスターの個体に関する質問(Q1-1~5)、Q2=ごはんに関する質問(Q2-1~13)の二部構成で、全15問。

※お詫びと訂正
一部選択肢に誤りがありました。
調査票作成時、どういうわけか私が「ビーツ」をマメ科と思い込んでいたため、質問の選択肢に「豆類(大豆、豆腐、ビーツ等)」「赤色の生野菜・野草・花(加熱調理含む;トマト、ニンジン、赤パプリカ等)※ビーツは豆類なのでここに含まず」と書いてしまっていましたが、ビーツは豆類ではありません。選択肢でいえば、赤色の野菜でカウントすべきでした。訂正してお詫びします。
回答結果を見た限り、アンケート結果全体にはさほど影響していませんが、あってはならないミスで、質問票の作成段階で念入りに確認すべきでした。今後アンケートを作る際は、事前の確認を怠らないよう注意します。

1. [Q1] みんなのハム様についての質問

1.1. 今回答えてくださったハム様の種類

 今回も前回同様、まずは飼っている(いた)ハム様に関して、種類(Q1-1)、性別(Q1-2)、年齢(Q1-3)、体重(Q1-5)を聞いてみました。さらに今回はお迎えルートについても聞いてみました(Q1-4)。これは、ハム様の食の嗜好性に育った(幼少期の)環境が影響するのかどうかを考えてのことです。嗜好性に何らかの傾向が見て取れたときに参照します。
 それでは順に見ていきましょう。

図1:みんなが飼っている(いた)ハム様の種類(Googleフォーム上のグラフ)

 種類については今回、「シリアン」「ドワーフ(ジャン・キャン)」「ドワーフ(ロボ)」「その他」という分類にしました。
 ジャンガリアンとキャンベルを同じ括りにしたのは、ジャンガリアンとキャンベルを一般回答者が正確に判別するのは困難だろうと考えたためです(私も判別できません)。ジャン・キャンとロボを分けたのは、前者と後者とでは野生下における生息環境が異なるため、回答結果にも差が出るのではないかと考えたためです。しかし分けてはみたものの、今回はなぜかロボロフスキーの回答が1つしかなかったので、両者の比較はできなくなってしまいました。残念。

1.2. 今回答えてくださったハム様の性別

図2:みんなが飼っている(いた)ハム様の性別(Googleフォーム上のグラフ)

 次に性別です。前回はオスが67.7%、メスが29%、不明が3.3%とかなりオス多めでしたが、今回はオスが56.5%、メスが43.5%と少し差は縮まりました。

1.3. 年齢と体重

 年齢については、今回は記入例に”例:「2歳3か月」「享年3歳1か月」 など”と記載し、すでに他界している子と現役の子とで区別しやすくなるようにしてみました。回答者の皆さんがその例に従ってくださったかはわかりませんが、すでに他界している子の回答は17、現役バリバリの子の回答は52ありました。好物と寿命に何か規則性や関係が見られるかどうか、気になったときに参照します。

 体重は今回、自由記入の形で作ってしまったのですが、これは単に「選択式にするのを忘れた」だけで、特に深い意味はありません。日々変動しているデータであるため任意項目にしているので、ちょっと気になることが出てきたときの参照用として設けています。
 今回の調査で参照するとしたら、例えば嗜好性が脂質に偏った子がいた場合その子は肥満体型なのかなど、嗜好性と体型が影響し合っているかを見るときです。

1.4. お迎えルート

図3:お迎えルート(Googleフォーム上のグラフ)

 新たに追加した質問の「お迎えルート」ですが、予想どおりペットショップ出身の子が圧倒的でした(専門店/ホームセンター合算で8割を占めました)。グラフには出ていませんが、次に多い里親ルートは10.1%(7ハム)、友人・知人ルートは4.3%(3ハム)、その他が1.4%(1ハム)でした。「その他」については記入欄を設けていないので(質問を追加で別に建てないと設けられないため、設けなかった)、いったいどのルートから来た子なのかは謎です。

2. [Q2] みんなのごはんと好きなもの

 さて、ここからはごはんに関する質問とその回答です。
 今回は食の嗜好性を探るということで、選択肢を細分化しました。ペレット以外は基本的に「タンパク質系」「脂質系」「糖質系」とグループに分けました。三大栄養素ではどれが嗜好性が高いのかを見るためです。ペレットはものによってバランスが違ううえ、3つともそれなりに多そうなので「総合栄養食」として分類しました。
 野菜等の自然食材については「生(加熱調理含む)」と「乾燥(加工)」とに分けて好みに差が出るか、野菜と果物でも好みに差が出るか、野菜や果物の色によって好みに差が出るかなど、細かく見られるように設定しました。そのため選択肢の数が21個になってしまいましたが、そんな面倒なアンケートにもかかわらず、たくさんの方に答えていただけて本当にありがたい限りです。

2.1. [Q2-1]その子の普段のお食事は?

 まずは普段どんなものを食べているかについて聞いてみました。

図4:普段のお食事(Googleフォーム上のグラフ)

 飼育用品の定番「ペレット」が強く、9割のハム様が普段ペレットを召し上がっているようです。
 前回の「メインで与えている(最も多く与えている)フードを一つだけ選んでください」という質問では「穀類」が2位だったのですが、今回の2位は「緑色の生野菜・野草・花」(52票)、3位は「種子・ナッツ類」と「穀類」でした(ともに50票)。その下には僅差で「豆類」(38票)、「肉類」(37票)、「緑色の乾燥野菜・野草・花」(36票)と続いていきます。ペレットだけでは不足するだろうタンパク質を、豆や肉で補っているものと思われます。
 タンパク質系食材の下に「緑色の乾燥野菜・野草・花」がくるわけですが、緑色の野菜は生・乾燥とも多く食されており、生・乾燥で分けなければ(生・乾燥いずれかの緑野菜を出されている数は)61票もありました。ペレットに並ぶほどの定番メニューといえるでしょう。ハム様が食べられる野菜の代表格に緑の野菜が多いこと、店舗のフードコーナーを見ても緑色の野菜は多いこと、入手しやすくコストパフォーマンスの面でも優れていることなどから、納得の結果だと思います。

 逆に少ないものを見てみると、「緑色の生果実」が8票、「緑色の乾燥果実」が11票、「黄色の果実」は生・乾燥とも14票、それに続くのが「赤色の乾燥果実」で16票という具合に、果実は生・乾燥ともあまり食されていないようです。緑色の果実はそれ自体のバリエーションが少ないからともかく、黄色の果実はバナナ、マンゴー等市販品でもメジャーなほうだと思うのですが、普段のお食事にあまり提供されていないのは少し意外でした。

2.2. 普段のお食事のバリエーション

 普段のお食事についてはもう一つ、いくつの食材にチェックが入ったか(普段何種類の食材を召し上がっているか)を数えてみました。各ハム様の普段の食事のバリエーションです。

表1:各ハム様の普段のお食事の種類の多さ

 最多は20種類、最小は2種類とかなり幅はありましたが、平均すると9種類の食材を召し上がっているようです。選択肢がかなり細分化されているとはいえ、なかなかバリエーション豊富でグルメですね。
 これを見ると「えぇ~、ハムスターって、そんなに何種類もの餌を用意しなきゃダメなの?」という声も上がるかもしれませんが、市販のミックスフードなら1パックで複数種類の食材を含んでいますし、生の野菜や果実なら飼い主の普段のお食事からおすそ分けするだけなので、必ずしもあれこれフードを買い集める必要はないと思います。
 ちなみに20種類の子は「生野菜、種子が大好き。果物系は生も乾燥もほぼ食べなかった。カボチャや芋類もほぼ食べなかった。飼い主に似て偏食」とのこと。偏食ゆえに、ごはんのバリエーションを増やさざるを得なかったのかもしれません。
 一方、2種類の子はまだ6か月と若いうえに「そもそもあまりご飯やおやつに興味を示さない子」とのことでした。チェックが入っていたのは「ペレット」と「赤色の生野菜・野草・花」のみでしたが、好きなものは「ペレット」、嫌いなものは「赤色の生野菜・野草・花」ということなので、ペレットだけで満足されているようです。これから好き嫌いが出てくるかもしれませんが、かなり珍しいタイプではないでしょうか。ちなみに、お迎えルートは「友人・知人から」でした。

2.3. 普段のお食事の中で、その子が特に好んで食べるもの

 Q2-1で選んだ「普段のお食事」の中で、特に好むものにチェックを入れていただいた結果がこちらです。

図5:普段のお食事の中で特に好むもの(Googleフォーム上のグラフ)

 これだけ見ると、「種子・ナッツ類(ひまわりの種、クルミ等)」(39票)と「緑色の生野菜・野草・花」(38票)が突出しています。その下に「穀類」(26票)、「豆類」「肉類」(ともに25票)と続いています。齧歯類といえば種というステレオタイプはダテじゃありません。2位の「緑色の生野菜・野草・花」については、同じ緑色の野菜でも生と乾燥とでは、かなり好感度に差がありますね。

 しかし、このグラフに出ている数字はあくまでも”チェックが入った数(単純に「好んで食べるものは?」という質問で多く票が入ったもの)”です。普段食べているいないにかかわらず好んで食べるものはこれ、というものなので、これだけ見ても特に好むのであると断言できません。
 そこで普段食べている票数で割ってみて、「普段その食材を食べている子のうち、どれくらいの子がその食材を好むのか」(好き率)を調べてみました。

表2:Q2-2の普段の食事における好み傾向ランキング(得票数と好感度の割合)

 割合を出してみると、1位は変わらず「種子・ナッツ類」(78%)なのですが、2位には思いがけず「黄色の生野菜・野草・花」が食い込んできて、「緑色の生野菜・野草・花」は3位に転落します。普段緑の生野菜を食べている層のうち、緑の生野菜を好む子の割合は73%なのに対し、普段黄色の生野菜を食べている層のうち、黄色の生野菜を好む子の割合は75%もいるんですね。黄色の生野菜・野草・花は、緑色に比べると僅かながら好き嫌いが割れにくいようです。
 好き率の4位は同順位で「豆類」と「肉類」が入り(ともに66%)、わずか1%差でその次に「虫類」(65%)がきます。その下は50%台で「穀類」(52%)と「乳製品」(50%)でした。逆に、好き率の低いものは「ペレット」(22%)、「緑色の生果実」(25%)、「黄色の乾燥野菜・野草・花」(26%)、「緑色の乾燥野菜・野草・花」(28%)、「黄色の乾燥果実」(29%)でした。

2.4. 好物の詳細

 では、具体的にどんなものが好みなのかを見てみます。

表3:Q2-3:上記(Q2-2)で選んだ好物の具体名や商品名等(自由記入)

 ここでは「ピューレ」の回答が目立ちましたが、今回はあえて選択肢にピューレやゼリー、栄養剤等の加工食を含めませんでした。補助的加工食はPFC(タンパク質主体/脂質主体/炭水化物主体)での分類が難しいうえ(フレーバーや目的によってバランスが変わりそう)、ペレットのような主食にはなりづらく、ものによっては食す時期が限られ、扱いに困りそうだったからです。しかしここで多く名前が挙がるくらい、食いつきはいいようです。

 そしてもう一つ、「普段の食事で好むもの」にいくつチェックが入っていたか(好物の種類の多さ)もカウントしてみました。

表4:Q2-3の好きなものの種類のトータル数

「好んで食べるもの」にチェックが入った数(好んで食べる種類のトータル数)は最大で13、最小で1、平均4.39でした。ハム様がお気に召すものはある程度限られていそうです。10種類前後チェックが入った子は、ごはん選びにはあまり苦労しないのではないでしょうか。
 ちなみに、最大の13種類にチェックが入った子は、2年5ヶ月11日目のドワーフ(ジャン・キャン)のオスで、里親出身。体重は60gとちょっとぽっちゃり体型ながらも、かなりのご長寿さんです。「甘いものが好きな気がする」とのことですが、好物の具体名を参照してみると「茹でた笹身」、好物ベスト5を参照してみると「ラクトバイト>卵の白身>乾燥ミルワーム>ヨーグルト」とあり、高タンパク食がお好みのように思いました。飼い主さんから見たその子の傾向としては「ペレット以外は食べる」そうで、何でも食べるのが長寿の秘訣でしょうか。

2.5. 食いつきのいいものトップ5

 では「Q2-4:Q2-3で回答した好物のうち、トップ5」にはどんなものが挙がったかを見てみましょう。

表5:食いつきのいいものトップ5

 皆さんに好物トップ5を自由に書いていただきました(5つない子もいました)。実際はかなり細かく書かれていますが、集計しやすいようにこちらで定めたワードにあてはめてみました(例:「はむはむぴゅーれ」->「ピューレ」など)。
 表中の色は、薄赤がタンパク質系食材、青が炭水化物系食材、黄色が脂質系食材、緑がそのどれにも分類されない総合栄養食としています。
 なお、ここでは野菜や果実の生と乾燥を区別すると集計がとんでもないことになるのと、すでに生と乾燥とでは生のほうが好まれやすいという傾向がわかっているので、生/乾燥の区別はなくしました。
 このほか、種子類も全般的に好まれやすいのと、ほとんどが「ひまわりの種」になってしまうため、「ひまわりの種」と「カボチャの種」は同じ「種」として合算し、同じ理由で「ナッツ」と「クルミ」も「ナッツ」として合算し、「チキンペースト」や「ササミ」は同じ鶏肉なので「鶏」として合算しました。ただし、ピューレのチキン味は扱いが複雑になるので、「ピューレ」としてカウントしました。
 ここまで絞り込んでも項目数が多いので、明らかに少数な項目は省き、それなりに票の入った項目だけをピックアップして集計しました。

表6:好物トップ5(Q2-4:の結果)を品目別に集計した結果

 トップ5に多く名前が挙がったもの(獲得票数=表中「Total」の値)を見てみますと、やはり「種」が強いです(28票)。2位は「豆腐」(23票)、3位は「ブロッコリー」(21票)、4位は「キャベツ」(17票)、5位は「鶏」(16票)でした。ちなみに「種」については、一応「カボ種」単独でカウントしたところわずか3票だったので、合算していなくても「種」が1位であることに変わりはありませんでした。
 上位5食材だけを見るとまあ妥当な結果かなと思いきや、6位にはなんと、食いつき悪いイメージの強い「ペレット」が(15票も入っていた)! 自由記入のベスト5という形式だと、1位~5位までまんべんなく票が入っているから不思議です。みんな嫌いじゃなかったんでしょうか。あるいは、他の食材の票が割れてしまったか、ペレットに比べると与える機会が少ないがゆえにランクインしづらかった、という可能性もありますが。

 ついでに、各順位別に多く名前が挙がったものも見てみました(表6の黄色セル)。
 最も多く1位に挙げられたものは「豆腐」、2位と3位にはどちらも「種」が多く挙げられ、4位は同数で「ペレット」「ブロッコリー」「豆腐」、5位も同数で「チーズ」と「トウモロコシ」という結果です。選択式のとき(Q2-2)とはわずかに順位に違いがみられるものの、種子、緑と黄色の野菜、豆腐は嗜好率でも上位だったので、このへんは予想どおりといったところでしょう。
 「ペレット」は3位や4位に挙げられることが多いようなので、「まあまあかな」といった位置づけになるんでしょうか。同じ4位の「ブロッコリー」と「豆腐」は1位~5位まで票がほぼ均等に入っているのに対し、「ペレット」は3位、4位に集中していているんですよね。
 5位の「チーズ」ですが、選択肢の質問において「乳製品」の嗜好率は50%でした。これに関しては、同じ乳製品グループにあたる「ヨーグルト」と比べると好みの差が歴然なので、「乳製品」という括りではなく「チーズ」「ヨーグルト」に分けると、もしかしたら「チーズ」の嗜好率は悪くないのかもしれません。
 ちなみに、同じ「乳製品」でも「チーズ」は高脂質・高タンパク・低糖質なのに対し、「ヨーグルト」の場合は糖質も多いので、選択肢の場面で両者を「乳製品」(分類は総合栄養食)という括りにするのは少し迷いましたが、ペット用のおやつとして売られているチーズは小麦粉等で加工されていて糖質もそれなりにあること、PFCどれもそれなりに高いということで「ペレット」と同じ”総合栄養食”として扱うことにしました。

 さらに、せっかく順位づけを行ったので、ポイント換算という形で順位に重みをつけて集計してみました。1位を5ポイントとし、順に2位を4ポイント、3位を3ポイント、4位を2ポイント、5位を1ポイントと設定しています。

表7:好物トップ5(Q2-4:の結果)をポイント換算した結果

 ポイント換算した場合の結果は、1位~3位までは「種」(98pt)、「豆腐」(81pt)、「ブロッコリー」(64pt)と変わりませんでしたが、4位が「鶏」(60pt)、5位が「昆虫」(51pt)という結果に。票数ランキングで4位だったキャベツは「鶏」や「昆虫」との票差は4~5ありましたが、ポイント換算すると順位が入れ替わります。「鶏」や「昆虫」のほうが上位に入りやすいということでしょう。

3. [Q2] みんなのごはんと嫌いなもの

3.1. 食いつきの悪いのは……

 ここからは食いつきのよくないものについて見ていきます。

図6:Q2-5:その子が嫌いなもの、残しがちなものは?(Googleフォーム上のグラフ)

 1位は「ペレット」、こうなることは誰もが予想したと思いますが、まさかここまでダントツの1位になるとは、ペットフードメーカー勤務じゃない私でも悲しくなりました。各メーカー、栄養と健康と風味を考えて作ってはいるものの、どうしても生の野菜や種子類などに勝つのは難しいのでしょう。とはいえ、この不人気圧倒的1位のペレットでも好んで食べる子は少なからずいるようなので、メーカーの企業努力は賞賛すべきものと思います。
 1位が圧倒的すぎて2位以下は大差ありませんが、2位に「穀類」が入ったのは意外でした。雑食性の動物で穀物嫌いはあまりいないイメージがありますが、そういえば同じ「穀類」でも「粟玉」は食べるのに「えん麦」は残すという子が私の歴代ハム様の中にもいましたし、今うちにいる16代目はキヌアは飽きずにがっついて食べるのに、ミックスフードに入っている大麦を残しがちです。この質問は「穀類」という括りの選択式なので、複数種類の穀物を与えている場合に好き嫌い両方でチェックが入ってしまったのかもしれません。
 そんなわけで、単純に嫌いにチェックが入った数だけを見てもわからないので、ここでも普段食べているものの中での嫌いな(残しがちな)割合を見てみます。

表8:Q2-2の普段の食事の中での嫌いな傾向(得票数と嫌い度の割合)

 嫌い率でも1位は、もはやお約束と言っていい「ペレット」で66%。2位はなんと「黄色の生果実(バナナ、みかん、オレンジ、マンゴー等)」で57%、3位は「魚類」の53%でした。チェック数のみの評価で不人気2位だった「穀類」は率にすると7位(32%)まで下がりました。
 1位は言わずもがな、3位の「魚類」(ほぼ煮干し一択)もあまり好まれにくい食材というイメージはありましたが、2位の「黄色の生果実」は意外です。具体名を見てみると、「バナナ」が目立ちました。私の歴代ハム様たちにはバナナ嫌いはほぼいないのですが、アンケートを取ると見えるものが違うものですね。

 嫌いな(残しがちな)ものと好きなものとで比較してみると、野菜に関しては興味深いことがわかります。
「緑の生野菜」は嫌い率が10%なのに対し、「黄色の生野菜」の嫌い率は「種子・ナッツ類」と並んでわずか4%しかありません。乾燥野菜で比較しても、緑色より黄色のほうが嫌いな割合が低いです(緑=25%、黄=16%)。「2.3. 普段のお食事の中で、その子が特に好んで食べるもの」での結果と合わせてみても、野菜の中で好かれやすいのは黄色の野菜なのかもしれません。
 なお赤の野菜に関しては、生だと好きの割合が33%(表2)に対して嫌いの割合が36%(表8)でやや嫌われ傾向、乾燥だと好きの割合が36%(表2)で嫌いの割合が18%(表8)とやや好まれ傾向でした。
 赤の野菜はほぼトマトかニンジンなので、「Q2-3:上記(Q2-2)で選んだ好物の具体名や商品名等」、「Q2-6:上記(Q2-5)で選んだ嫌いな食べ物の具体名や商品名等」において、それぞれの獲得票数を見てみました。好物に「トマト」が入っていた数はわずか2、「ニンジン」が入っていた数は14。嫌いなものに「トマト」が入っていた数は4、「ニンジン」が入っていた数は8でした。
 赤の野菜の中でも「トマト」は好まれにくいようですが、「ニンジン」もそれなりに嫌いな子が多いので、「赤の野菜は緑や黄色に比べると嗜好性は落ちる」とみてよさそうです。ちなみに、トマト好きの2票はいずれもドワーフで、トマト嫌いの4票のうち3票はシリアンでした。

3.2. 普段の食事の中で、あまり好まないもの

「普段の食事で嫌うもの」にいくつチェックが入っていたか(好き嫌いが多いか)もカウントしてみました。

表9:Q2-5の嫌いなものの種類のトータル数

 好きなものの種類のトータル数(表4=好んで食べるものに何種類チェックが入ったか)はMAX13で平均4.39だったのに対し、嫌いなものの種類のトータル数(嫌いなものに何種類チェックが入ったか)はMAXで7、平均2.38と少なめです。しかも嫌いなものにチェックが1つしか入っていない子も多く、嫌い・残しがちなものが1種類しかない子の総数は25、その割合は36%でした。しかもこの質問は必須回答になっているので、必ずどれか1種類はチェックを入れなければなりません。回答の中には「回答必須なのでチェックつけましたが、嫌いなものがなく今のところあげたものは全てその場で食べます」というコメントもありました。
 以上のことから、基本的にハム様は何でも食べ、嫌いなものはあれどその種類は多くないと見てよろしいかと思われます。

表10:Q2-5で選んだ嫌いな食べ物の具体名や商品名等

 食いつきの悪いものの具体名を挙げていただくと(表10)、当然ここでも「ペレット」が多いんですが、それに次ぐ多さだったのが「バナナ」と「ニンジン」でした。嫌いなものの割合でも「黄色の生果実(バナナ、みかん、オレンジ、マンゴー等)」は57%でしたが、その多くはどうやらバナナのようです。
 嫌いなものの具体名に「ペレット」がいくつ挙がっているのか数えてみたら、なんと34もありました(好物の具体名に挙がっていた数は20)。これは、一ハムあたりに複数種類のペレットが書かれていたことも影響していそうです。そして複数種類のペレットが挙げられるということは、ペレットの食いつきが悪く、いろいろな種類のペレットを買って試さずにはいられないからだと思われます(10種類以上試したというコメントもありました)。あるいは、年齢や体調に合わせて使い分けているケースもあるかもしれませんが、いずれにしても「食いつきの悪いもの」に複数名前が挙がってしまうので、第1回の結果も踏まえると、飼い主さんにとってハム様のペレット選びが成功するか否かはもはや「運」でしょう。
 もう一つ意外だったのが、ミルワーム嫌いな子も目立った点です。この食いつきの悪い具体名記入欄において、動物性タンパク質でのワーストは「煮干し」でしたが(5票)、次点で「ミルワーム」と「チキン」でした(ともに4票)。ミルワームについては第1回のアンケートのときに悪評がなかったので、ミルワームも結構好き嫌いが分かれるんだなぁと思いました。

3.3. 食いつきの悪いものトップ5

 好物同様、食いつきの悪いものも順に5つまで挙げていただきました。

表11:Q2-6で回答した嫌いな食べ物トップ5

「ペレット」が目立ちますが、青のセル(炭水化物系食材)もなかなかの数です。単純に種類が多いので青のセル自体が多くなってしまうわけですが、よくよく見ていくと一部の野菜・果物が頻出しています。

表12:食いつき悪いものトップ5(Q2-7:の結果)を集計した結果

 不人気トップ5に多く名前が挙がったもの(獲得票数=表中「Total」の値)を見てみますと、「ペレット」がぶっちぎりの46票。67%ものハム様が食いつきワーストに入れていました。2位はなんと「ニンジン」で12票、3位は「バナナ」と「煮干し」で7票、5位は「イチゴ」と「昆虫」で6票でした。甘めの食材が3つもワーストにランクインです。

表13:食いつき悪いものトップ5(Q2-7)をポイント換算した結果

 ポイント換算すると、1位の「ペレット」が194ととんでもない数値を叩き出してしまいました。さすがです。2位は「ニンジン」で44pt、3位は「煮干」しで30pt、4位は「イチゴ」と「昆虫」で25pt、5位(4位が2つあるので正確には6位)が「バナナ」で24ptと、僅差ですが順位がひっくり返りました。
 各順位別に多く名前が挙がったもの(表12、13の黄色セル)を見てみると、ワースト1位にあげられている食材は「ペレット」の極端な数字(120)に目がいきがちですが、ペレットに次いで多いのが「煮干し」と「昆虫」です(ともに20)。ワースト1位に挙げられるということは、明らかに他の食材に比べて食いつきが悪いわけなので、もともと好みが分かれるイメージのあった煮干しはまだしも、昆虫が多く挙げられていたのは意外です。

 好物と違い、食いつきの悪いものは一部の食材に票が固まる傾向があるようで、好物ほどランキングに変化がありませんでした。そして表5と表11のリストを見比べると明らかなように、食いつきの悪いものは好物に比べて空欄が目立ちます。しかも今回は必須回答だったため、それほど嫌いでなくても嫌いなものとして名前を挙げたという例もありました。それを考えると、実際はこの値よりも下がる可能性は高く、やはりハム様は「稀に偏食な子もいるけど基本的には何でも好んで食べる生き物」なのだろうという信念が強まります。

4. [Q2] 今までに食べたことのあるものでの比較

4.1. 今まで食べた中で特に好むもの

 普段のお食事に出ているとは限らないけど、今までに食べたことがあるものすべてを対象にし、その中でのナンバーワン好物はどうなるかを見てみました。

表14:今まで食べた中で最も好反応だったもの(択一)

 これは思いのほか票が割れました。1位は「種子類」でしたが、それでも13票(19%)、2位は「肉類」で10票(14%)、3位は「緑色の生野菜」で8票(12%)、4位「穀類」と「虫類」が同数の7票(10%)で並びました。野菜対決、嗜好率では「黄色の生野菜」に軍配が上がったものの、ここでは「緑色の生野菜」が勝ちました。「黄色の野菜」は、”好かれやすいが、1位になるほど強い支持を集めるタイプではない”ようです。

表15:今まで食べた中で最も好反応だったものの具体名

「今まで食べた中で最も好反応だったもの」の具体名を挙げていただきました(表15)。これを見ると種子類の中でも特に「ひま種」が多いです。種子類を与える際に、ひまわりの種とそれ以外の種子を一緒にあげるという人より、与える種子類はひま種一択という人のほうが恐らく多いからではないかと思われます。
 カテゴリ部門(表14)での2位は「肉類」でしたが、具体名となると「チキンペースト」や「ササミ」、「ジャーキー」などで票が割れてしまうため、具体名部門においては「ミルワーム」のほうが多かったです(7票)。
 具体名部門において次に多かったのが「ブロッコリー」と「豆腐」でした(ともに6票)。カテゴリ部門(表14)だと第6位だった「豆類」ですが、野菜や肉類は票が割れてしまったため、具体名部門では上位に浮上したようです。

4.2. 今まで食べたことのあるものでのワーストは……

表16:今まで食べた中で最も食いつきが悪かったもの(択一)

 その子が”今までに食べたことのあるもの”のうち、最も嫌っていたものを一つだけ選ぶとしたら? はい、とてもわかりやすくペレットが不人気です。といっても22票(32%)なので、過半数を超えるほどの圧倒的不人気ではありません。

表17:今まで食べた中で最も食いつき悪かったものの具体名

 今まで食べた中で最も食いつき悪かったものの具体名を挙げていただきました。
 Q2-2(普段のお食事の中で、その子が特に好んで食べるもの)やQ2-3(好物の具体名や商品名等)では大人気だった野菜ですが、表17には「野菜全般」という回答がいくつかあります(生・乾燥問わず「野菜全般」で数えたら3票ありました)。他には「イチゴ」、「バナナ」、「トマト」という回答も多いのですが、「ミルワーム」も多いです。
 食いつきの悪いもので「ミルワーム」がちょくちょく出てくるので、ミルワームが嫌いな子ってどんな子だろうと思い、Q2-6(嫌いな食べ物の具体名や商品名等)とQ2-11(今まで食べた中で最も嫌っていたものの具体名)両質問で嫌いなものに「ミルワーム」を挙げていた子を参照してみました。

表18:「ミルワーム」が嫌いな子

 どういうわけか、シリアンの子が多いようです。出身はバラバラであまり影響がなさそうです。
「シリアンの子は虫嫌いが多いのか?」と思い、今度は逆に、好物の具体名にミルワームを挙げている子を参照してみました。すると上記の結果を裏づけるかのように、ミルワームを好物に挙げている子のほとんどがドワーフで、シリアンでミルワームが好きと答えた子はたった1匹だけでした(シリアン|メス|享年3歳|ホームセンター出身)。シリアン飼いの皆さん、皆さんのハム様たちはいかがでしょうか。

5. [Q2] 飼い主はみた!

 今回も、飼い主さんから見たその子の情報を書いていただきました。自由記入なので空欄の方もいますが(※絵文字は表示されなかったので、絵文字部分は空欄にしました)、多くの方からコメントをいただきました。
 今回は食の嗜好性に関するアンケートなので、その子の食の傾向と食事の際のリアクションについて聞いています。見づらいですが、どうぞご覧ください。

表19:飼い主さんから見たその子についての情報一覧(前半)
表19:飼い主さんから見たその子についての情報一覧(後半)

 食の傾向はざっと見た感じ、特に規則性はなさそうです。何でも食べる子、偏食な子、甘党、野菜嫌いなどなど、いろいろな特徴が挙げられていますが、ドワーフとシリアンで比較してみても、性別でみても明確な差はありませんでした。

 リアクションに関するコメントを見ていると、好物を食べるときに「目を閉じる派」と「目を見開く派」があるようです。目を閉じて食べていると単に眠いのかなとも思うんですが、だとしたら
「めちゃくちゃ眠い……でも食べたいッ! やめられないッ! ムシャムシャ……」
という見方もできるので、これはこれでものすごい食いつきぶりなのかもしれません。
 一方の「目を見開く派」も
「うっ、うめぇ……なんだこれ……うますぎるッ!」
「うまい、うまいぞぉぉぉぉ!!」
と感動してがっついているようで、どちらのほうが食いつきが強いかは判定しがたいですね。はっきり言えるのは「どちらにしても、かわいい」ということだけです。
 そのほか、すっ飛んでくる、強奪する、掃除機のように吸うなどのパワフルなしぐさも多々あり、読んでいて楽しかったです(笑)。

6. 各食材ごとの総合評価

 以上のアンケート結果からなんとなく感じられた、各食材ごとの評価をまとめてみます。

ペレット

 グラフや表を見ると嫌いな子が多くて目立つので、ハム様はみんなペレットは大嫌いと思いがちですが、よ~く見ると、そんなに食いつきがいいわけではないが食べるといったニュアンスだったり、好意的な票もそれなりにあるので、「ハム様はペレットがお嫌い」と断言はできないように思います。
 一口にペレットといっても、栄養バランス重視のものだったり、ダイエット目的だったり、嗜好性を追求したものだったりとメーカー各社いろいろな工夫をしています。ペレットに関しては好き・嫌い両方にチェックが入っていた子が複数いたのですが、商品(ブランド)による好みの違いが反映されているようなので、評価が難しいです。
 ペレットを評価するにあたっては、お迎えルートが鍵になるんじゃないかと思い、今回お迎えルートの質問を入れました。私の観察範囲では、ペット専門店だとペレットを与えていることが多く、ホームセンターだとミックスフードを与えていることが多いです。そこで、小さい頃からペレットを食べ慣れている子だとペレットを好きになるのかと予想しましたが……

表20:ペレット好きな子の情報

ご覧のとおり、特にこれといった傾向が見られません。私の予想は外れました。

 具体名を聞く質問において、いくつかペレットの名前が挙がっていたのでまとめてみました。

表21:ペレット好き嫌い表

 本アンケートはX(旧Twitter)で募集告知を行ったこともあり、SNSでよく見る「ひかりハムハム」が強いです(好きも嫌いも票が多かった)。好きの項目で名前が挙がった数と、嫌いの項目で名前が挙がった数はほぼ半々で、この好き嫌いの割れ具合は実にペレットらしい結果かなと思います。
 他のペレットもだいたい、嫌いの項目で名前が挙がることが多かったんですが、「GEX ハムスタープレミアムフード」と「ハムスター・リスのまんまスペシャル」は、好きの項目で多く名前が挙がっていました。比較的好まれやすいんでしょうか? 「まんまスペシャル」のほうに関しては見た目がクッキーっぽいので、クッキーのような甘さ・おいしさがあるのかもしれません。
 とはいえ、ショッピングサイトのレビューを見ると、どのメーカーのペレットも高評価・低評価どちらもそれなりにあるため、結局のところペレットを食べてくれるかどうかは買ってみないとわからないんですが。

種子・ナッツ類

 種子・ナッツ類に関しては、「だいたいどれも好き」と結論づけてよさそうに思います。種類による好みの差は今回の調査では見出せませんでしたが、種類によって主な栄養素が違うので、時々違う種子・ナッツをあげるとよいのではと思います。ただし、カシューナッツは他の種子・ナッツに比べ糖質が多いそうなので、糖質の過剰摂取にならないよう注意が必要そうです。

 私は時々、飼い主が食べる無塩のミックスナッツを一部おすそ分けしたりもしているんですが、カシューナッツやクルミは比較的食いつきがよく、アーモンドはその二つに比べると食いつきは劣っているように感じます。カシューナッツの糖質の多さが影響しているのかと思いましたが、同じく食いつきのよいクルミは低糖質なので、甘いから食いつきがいいとは限らないようです。

穀類

 穀類も比較的人気で、穀類のパフなどの加工品であれば食いつきよさそうですが、細かく種類を見ていくと好き嫌いが分かれるようです。好き嫌いの具体名で挙がっていた穀類を見てみると、「えん麦」は好きの票が4、嫌いの票が1とかなり高評価でしたが、「粟」は好きの票が9、嫌いの票が6あり、嫌いという子も多いようです。
 そのほか、好物の具体名に挙がっていた穀類は、「ソバの実」「麻の実」「九穀ポップ」「ひえ」「米」「キヌア」などがありました。嫌いの具体名に挙がっていたものは「粟」「えん麦」を除くと、「大麦」「穀類全般」といった回答がありました。ペレット同様、どれを気に入ってくれるかは買って与えてみないとわからなそうで、これも運要素の強い食材のように思います。

野菜

 野菜は乾燥より生のほうが好まれるようです。フレッシュなほうがおいしいですからね。人間も一緒です。ただどういうわけか、赤の野菜に関しては乾燥のほうが嗜好率が高く、生と乾燥とでそれほど差も大きくありませんでした(赤の生野菜嗜好率=33%、赤の乾燥野菜嗜好率=36%)。

 色別での差は、緑と黄色は嗜好率が高く、赤はいまひとつでした。
 緑色の野菜では特にブロッコリーが人気で、好物TOP5や今まで食べた中でのナンバーワンでも上位に名前がたくさんありました。
 黄色の野菜は嗜好率等の数値で見ると高評価なんですが、好物TOP5や今まで食べた中でのナンバーワンにはそれほど名前が出てこなかったので、例えるなら「スター性に欠ける人気者」といったところでしょうか。ただ、黄色の野菜の名前があまり出てこなかったのは、単に「普段のお食事で食べているもの」での票数が多くなかった(=黄色の野菜を普段食べていない子が多かった)ことも影響していると思うので、緑の野菜と黄色の野菜でどちらが好まれるかは実際にハム様に食べていただく実験を実施してみないとわかりません。 

果物

 炭水化物系食材の中でも、果物はやや嫌い寄りに位置づけられているように感じました(特に、イチゴとバナナはネガティブ票で目立っていました)。「雑食なので食べるし、好きな子は好きだけど、好みが分かれやすい食材」のように思います。

芋類

 そこそこ与えている人が多く(23票)、嗜好率もそれほど悪くない(48%)芋類ですが、記事を書いていても危うくすっ飛ばしそうだったくらい、今回のアンケートでは存在感が薄い食材でした。「まあまあ」「可もなく不可もない」そんな表現があてはまります。好き・嫌いどちらにおいても中途半端で、ランキングに入ってこなかったからでしょう。
 しかし実はネガティブ票がとても少なかったです。嫌いなものの具体名にはまったく挙がっていませんでした。おやつとして与えても、そんなにポイされたり残されたりしないのではないでしょうか。

豆類

 豆類といっても主に豆腐ではありますが、基本的には好きな子が多いようです。豆腐のネガティブ票は1~2票程度しかありませんでした。豆腐は食いつきがよいだけでなくタンパク質も豊富なので、おやつに最適な食材かもしれません。

 一つ分類に迷ったのですが、好物の具体名記入欄に「バタフライピー」という答えがありました。挙げられていたのは花(乾燥)のほうなので、形状的に豆類とは言い難いんですが、バタフライピーはマメ科の植物です。しかも青いので、今回の野菜・野草系の分類である緑・黄・赤にも該当しません。困りました。
 しかしマメ科といえば、なんと落花生(ピーナッツ)もマメ科らしいので、落花生を「種子・ナッツ」にカウントしてしまっている以上、バタフライピーをマメ科だからという理由で豆類にカウントするのは無理があります。しかたないのでバタフライピーはノーカンにしましたが、「今まで食べた中で最も好反応だったものの具体名」に名前が挙がっていたので、食いつきはいいようです。ペット専門店で売られていたのを見たので、今度私も試してみようと思いました。

 豆類に関しては、冒頭でも触れたとおり、質問の選択肢に誤りがありました。「豆類(大豆、豆腐、ビーツ等)」と書いてしまいましたが、ビーツは豆類ではなく、ヒユ科アカサ亜目フダンソウ属の野菜で、カブのような見た目でありながらホウレンソウやテンサイの仲間だというので、マメ科にかすってすらいません。アンケートを作っていたときの私はなぜかマメ科だと思い込んでいて、そしてこのまとめ記事を書いていて「あれ? ビーツってマメ科だっけ?」と思って調べなおし、ミスに気づきました。質問を作る際に全項目チェックしておくべきでした。
 ただ幸い、ビーツの名が挙がっていたのは「好き」で2票、「嫌い」で1票とかなりマイナーなので、アンケート結果全体には大きく影響しないものと思われます。また、好物にビーツが挙がっていた2件については、食いつきのいいものを選ぶ選択肢で「豆類」が選ばれていなかったため、「豆類」のポジティブ票がグンと減ることもありません。ビーツを「赤色の野菜」としてカウントしたとしても、「赤色の野菜」の位置が好き嫌いどちらにおいても中間的であるため、大きく順位が変動することもなさそうです。
 今回はマイナーな票だったため、アンケートそのものがすべて台無しになる事態にはならなかったものの、本来あってはならないミスなので、今後は念入りに選択肢をチェックするようにします。そして今思えば、少し慌ただしいスケジュールだったり、選択肢をかなり複雑・細分化したり、いろいろと無理があったので、自己管理面でも気をつけます。

乳製品

 乳製品も芋類同様、そこそこ与えている人が多く(26票)、嗜好率もそれほど悪くなく(50%)、中途半端で存在感の薄い食材でした。乳製品と一括りにしていますが、「チーズ」と「ヨーグルト」で分けるとチーズのほうが好まれやすいようで、好物トップ5に出ていた具体名では「チーズ」が10票、「ヨーグルト」はわずか2票でした。好物ワースト5を見ると「チーズ」が2票、「ヨーグルト」は0票で、ちょっとだけ「チーズ」にネガティブ票が入っていましたが、10対2ならばチーズは好かれやすい食材とみてよいと思います。ヨーグルトのほうは票が少なすぎて、今回の結果からでは評価しがたいです。

動物性タンパク質(肉・魚・虫)

 動物性タンパク質は、肉≒虫>魚といった具合で、魚介系は肉や虫に比べてやや好かれにくいようです。肉類(主にチキン)と虫は本当に僅差で、甲乙つけがたいですね。
 前回のアンケートでは嫌いなものに「虫」や「ミルワーム」が入っていなかったため、ミルワームを嫌う子はあまりいないのだろうと思っていました。しかし今回のアンケートではシリアンの子にミルワーム嫌いが多かったので、シリアンだと虫は好き嫌い分かれるのかもしれません。

タンパク質、脂質、炭水化物(糖質)による嗜好性の差

 今回はタンパク質主体の食材、脂質主体の食材、炭水化物主体の食材とで嗜好性に差が出るかどうかも見てみました。

表22:今回のアンケート結果における好き嫌い度合い

 好きなものの割合は赤字で、嫌いなものの割合は黒字で記しました。
 だいたいラインナップは一緒で、いちばん好かれやすいのが種子、次点は野菜が来たり、タンパク質系食材が来たりと安定しません。しかし、

 ●炭水化物主体の食材は緑と黄色の野菜が強く好まれるだけでそれ以外の好感度はそれほど高くなかった
 ●肉・豆・虫類(タンパク質系ながら脂質もやや多め)はやや安定して好かれやすい傾向にあった
 ●嫌いな食材の上位に炭水化物系は入ってくるが、脂質系やタンパク質系は入ってこなかった(煮干し以外)

 ということを考えると、栄養素別でハム様が好む食材は「脂質系食材」>「タンパク質系食材」>「炭水化物系食材」なんでしょうか?
 これまで見てきた結果においても、炭水化物系食材の中でも特に甘味の強い果実系は、嫌いな食材として挙げられることが多かったので、ハム様はそんなに甘党な生き物ではない(甘党な個体はいるが全体の傾向としては甘党ではない)のかもしれません。
 しかし、好感度の高い「黄色の野菜」の代表格であるトウモロコシやカボチャは糖度が高く、どちらかといえば甘い食材です。あまり嫌われていなかった芋類も比較的甘めの食材です。甘党ではなかったとしても、この矛盾点は解決できていません。また一口に糖質といっても、ブドウ糖だとか、でんぷんだとか、乳糖だとか、いろいろ種類があり複雑です。
 この矛盾点を解くためには栄養学的見地から掘り下げていく必要がありそうですが、あいにく私は栄養学の専門家ではないので、気になる方は調べてみてください。

7. 総評

7.1. 嗜好性の結果から考える理想のミックスフード?

 市販のミックスフードの食材構成が何を基準に作られているのかはわかりませんが、今回のアンケートで特に嗜好率の高かったもので構成する、「きっとこれならハム様があまり残さずよく食べるだろう、理想のミックスフード」を考えてみたいと思います。

 まず、ミックスフードに絶対入っているペレットですが、ペレットはだいたい食いつきが悪く、好みもバラバラで、与えてみないと食べるかどうかわからない、ガチャのようなものなので、ここでは考えないことにします。
 次に野菜ですが、これは嗜好性の高い黄色の野菜と緑の野菜は必須でしょう。黄色の野菜はトップ5の得票数やコスト面で選ぶならトウモロコシですが、ビタミン重視にしたいならカボチャでしょうか。一方、緑の野菜はブロッコリーかキャベツになりますが、これは単純にブロッコリーのほうが高評価なので、ブロッコリーを採用したいところです。
 種子類はどれも大差ないので、ヒマワリの種でよさそうですが、どれも大差ない分、コスト面や他の食材との見た目や栄養面などバランスを考慮して好きに選ぶこともできます。調整しやすい部門です。
 そして穀類代表もある意味大差ないので(どれも好き嫌いが分かれやすい)、コスト面や見た目で調整しやすい部門だと思います。
 以上の品だけだとタンパク質が少ないので、タンパク質系の食材も必要です。嗜好率が高く、嫌われにくく、トップ5/ワースト5の結果から見ても、タンパク質系食材には「乾燥豆腐」を選出したいです。おそらくコスト面でも、保存・管理面でも悪くないと思います。
 以上の食材で十分だとは思いますが、赤色の食材が入っていない分、見た目は寂しいかもしれません。しかし赤色の食材の食いつきは、野菜も果物も中途半端です(好き嫌いが分かれやすい)。どうしても入れるのであれば、コストが低そうで定番イメージのあるニンジンが無難そうです。

 皆さんの考える理想のミックスフードはどんな構成になるでしょうか。特に正解はないので、自由に想像してみてください。

7.2. 調査の振り返りとまとめ

 今回の調査を振り返ってみると、調査票の作り方に関しては大いに反省するところがありました。選択肢の細分化によって、作成者本人の頭が混乱してしまっては元も子もありません。結果的に括り方が雑で曖昧になってしまったり、こうして記事を書くにも多くの手間と時間がかかってしまったり、いろいろと私自身のキャパシティを超える無謀な企画だったかなと反省しております。

 調査を通じて感じたことを簡単にまとめると、こんなところでしょうか。

 ●やはりハム様は種子・ナッツ類全般大好物
 ●緑と黄色の生(非加工)の野菜もかなり好き
 ●高タンパク食材(豆腐、肉、虫)もかなり好き
 ●甘いものは大好きというほどではなさそう(好みが割れやすい)
 ●ペレットは失敗覚悟で試してみるしかない

 しかし各個体でかなりバラつきがあるうえ、食べ物の好みはその時々によって異なる場合もあるため、この傾向にあてはまらない子も少なくないと思います。
 人間もそうですが、雑食性の生き物は雑食であるがゆえに好みが非常に複雑で、把握しづらいものなのでしょう。筆者も好き嫌いが激しく、キノコ類は大嫌いなのに、なめこだけはおいしく食べられます。甘いフルーツ大好きですが、カボチャやニンジンといった野菜の甘さは嫌いです。ただし、芋の甘さは別で大好きです。自分でも規則性がわかりません。理屈じゃなく、誰が何と言おうと、うまいものはうまい、不味いものは不味い、ただそれだけです。きっとハム様も同じなんだろうと思います。

 そして調査を通じて新たに「シリアンの子はミルワーム嫌いがちなのだろうか?」という疑問が出てきました。ただの偶然かもしれませんが、ミルワーム嫌いの票がシリアンの子に集中していたのは気になります。番外編で「ミルワーム好き? 嫌い?」の簡単な二択アンケートを1問実施してもいいかなと思いました。シリアン飼いの皆さんももし気になったら観察してみてください。

 結論としては「なんとなくこんな感じの”ふわっとした傾向”が感じ取れた」としか言えなそうです。ほぼ”みんなのイメージするハム像”どおりだったのでは? と思いますが、皆さんの回答を見て、またさらに思わぬ気づきや発見がありましたので、調査自体は決して無駄ではなかった、やってよかったと確信しています。本記事を読まれた方にとっても、今回の調査結果が多少なりとも参考になれば幸いです。

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